キャプスタン方程式とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > キャプスタン方程式の意味・解説 

キャプスタン方程式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/28 15:47 UTC 版)

キャプスタン方程式の知識があればよかった事例。曲がった白色の管にはカーテンを上げ下げするための紐が通っているが、管は2か所で40度ほど曲がっている。青い線のように設計すればより効率的であった。
トールシップで帆を揚げるのにハンドキャプスタン、パワードキャプスタンが使用されている例。

キャプスタン方程式(キャプスタンほうていしき、: capstan equation)、別称ベルト摩擦方程式: belt friction equation)、アイテルワインの公式: Eytelwein's formula[1][2]は、しなやかなロープがボラードウインチキャプスタン等の円筒に巻き付けられているときに、荷重による張力(load-force)と巻き取りの張力(hold-force)とを結びつける等式である[3] [4]

張力と摩擦力が作用しあうため、キャプスタンに巻かれたロープにかかる張力は両端で異なっていると考えられ、小さな張力を他端においてより大きな力に変えることができる。これがキャプスタン型の器械の原理である。

手動キャプスタンはラチェット型の機構で、一方向にしか回転しない。一旦その方向へ動き出せば、ぐっと小さな力で引っ張ることができる。パワードキャプスタン(ウインチとも呼ばれる)は回転によってロープとキャプスタンの間の摩擦を増大させるものである。トールシップでは手動キャプスタンとパワードキャプスタンが併せて用いられる。小さい力で重い帆が揚げられるようにし、またパワードキャプスタンからのロープの取り外し、ロープ解きが簡単にできるようになっている。

トップロープクライミングと呼ばれるロッククライミングで、体重の軽い人間がより重い人間を支える(ビレイする)ことができるのはこの効果のためである。

公式は次の通り。

ロープとキャプスタンの間の力

最初のステップは、キャプスタンに巻き付くロープの任意の点での、半径方向の力(垂直抗力) (ニュートン毎ラジアン) を図に示すような張力 (ニュートン)と結び付けることである。キャプスタンがロープに与える y 軸上向きの力 は、ロープの張力の y 軸下向き成分 と等しい。

を0に近づけるとき(微小角度近似)、 となり、

よって角度 の間にはたらく摩擦力は

は摩擦係数)

となる。角度 の間の張力の増し高 はこの区間にはたらく摩擦力に等しいから

両辺を積分して

両辺の指数をとって

最終的に次式が得られる。

キャプスタン方程式のVベルトへの一般化

Vベルトに対するベルト摩擦方程式は

ここで はVベルトが相対するプーリーを挟む2枚のベルトがなす角(ラジアン)である[5] のところで効果的になる。

Vベルトや複数のVベルトが組み合わさったサーペンタインベルトでは、負荷が増すにつれてベルトがプーリーの溝に食い込んでいき(wedge into, くさびのようになり)、これがトルクの伝動効率を高めている[6]

同じ力を伝動をするのに、Vベルトは平ベルトと比べて張力がより小さくて済み、軸受の寿命を長くすることができる[5]

関連項目

脚注

  1. ^ http://www.atp.ruhr-uni-bochum.de/rt1/currentcourse/node57.html
  2. ^ Archived copy”. 2010年8月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月27日閲覧。
  3. ^ Johnson, K.L. (1985) (PDF). Contact Mechanics. http://www.knovel.com/web/portal/browse/display?_EXT_KNOVEL_DISPLAY_bookid=2685 2011年2月14日閲覧。 
  4. ^ Attaway, Stephen W. (1999). The Mechanics of Friction in Rope Rescue (PDF). International Technical Rescue Symposium. Archived from the original (PDF) on August 21, 2010. Retrieved February 1, 2010.
  5. ^ a b Jamshid Moradmand; Russell Marcks; Tom Looker. "Belt and Wrap Friction".
  6. ^ Alexander Slocum. "FUNdaMENTALS of Design". 2008. page 5-9.

さらに詳しく

  • Arne Kihlberg, Kompendium i Mekanik för E1, del II, Göteborg 1980, 60–62. (アーネ・キールベルク『力学概論(E1向け、第2部)』、イェーテボリ)

外部リンク



このページでは「ウィキペディア」からキャプスタン方程式を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書からキャプスタン方程式を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書からキャプスタン方程式 を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「キャプスタン方程式」の関連用語

キャプスタン方程式のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



キャプスタン方程式のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのキャプスタン方程式 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS