よきサマリア人のパラドックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 01:46 UTC 版)
「義務論理」の記事における「よきサマリア人のパラドックス」の解説
以下の二つの命題があるとする。 ジョーンズは、強盗の被害者であるスミスを助けなければならない。(It ought to be the case that Jones helps Smith who has been robbed.) スミスは強盗の被害者でなければならない。(It ought to be the case that Smith has been robbed.) 「ジョーンズが強盗の被害者であるスミスを助ける」ということと「ジョーンズはスミスを助ける、かつ、スミスは強盗の被害者である」ということは同値であるはずである。そこで「ジョーンズはスミスを助ける」を h、「スミスは強盗の被害者である」を r と記号化すると、上の二つの命題は次のように表現しうる。 O ( h ∧ r ) {\displaystyle O(h\land r)} O r {\displaystyle Or} さて、「ジョーンズは、強盗の被害者であるスミスを助けなければならない」は真であるとする。標準義務論理によれば、 O ( h ∧ r ) {\displaystyle O(h\land r)} から O r {\displaystyle Or} が論理的に導ける。よってこのとき、「スミスは強盗の被害者でなければならない」も真となる。しかし「スミスは強盗の被害者でなければならない」が真であるというのはいかにも奇妙である。このような問題を、よきサマリア人のパラドックスと言う。
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