こっちだヨウ平
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こっちだヨウ平(こっちだヨウへい)は、建設省(現・国土交通省)によって制定された「道の日」キャンペーンキャラクター[1]である。道の日である1986年(昭和61年)8月10日[1]にハンミョウをモチーフとしたキャラクターが制定され当初は名前がなかったが、1988年(昭和63年)8月10日の道の日に合わせて愛称募集が行われ「こっちだヨウ平」に決まった[2]。
1992年(平成4年)8月10日には「道の日」を記念して東京・渋谷の代々木公園で「『道の日』記念・ヨウ平ランド」が開催され、当時の山﨑拓建設大臣が「こっちだヨウ平」のTシャツを着て挨拶を行った[3]。建設省などが後援し「道の日」実行委員会が主催したイベントで、全国47都道府県の大物産展やコンサートなどと併せて、道路の役割についてのピーアールが行われた[3]。「ヨウ平ランド」はキャンペーンキャラクターの「こっちだヨウ平」にちなんで名付けられている[4]。1994年(平成6年)8月10日にも同様のイベントが行われたが、イベント名は「感・道ランド‘94」だった。この時も、当時の野坂浩賢建設大臣が「こっちだヨウ平」のTシャツを着て挨拶や見回りを行っている記録が残っている[5]。
1993年(平成5年)8月18日の毎日新聞の社説では、日本の役所は下手な標語を作ったりくだらないグッズをばら撒いたりとキャンペーンや宣伝やらをやりすぎるという批判とともに、当時下野していた自民党の総裁である河野洋平と「こっちだヨウ平」を絡めて、建設省はヨウ平君を呼んでいると綴られている[6]。
2016年(平成28年)の小松貴の著書「虫のすみか」では、道路脇の看板などでハンミョウをモチーフとした「こっちだヨウ平」を見かけなくなったことと、行政が自然に手を入れた結果として多くの種のハンミョウが滅びへの道を歩いていることを重ね合わせて、今の日本のハンミョウ類の置かれている様を如実に体現しているかのようだと綴られている[7]。
出典
- ^ a b 建設省九州地方建設局雲仙復興工事事務所(編)「◇道路をまもる月間<8月1日〜8月31日>」(pdf)『雲仙復興だより』第9号、建設省、1997年8月。「「道の日」キャンペーン・キャラクターの”こっちだヨウ平”はハンミョウ(別名 ミチシルベ)です。道などを歩いていると、目の前を飛んでいく虫(体長約20ミリ)に出会います。しばらく歩いて追いつくと、また飛び立って先へ行き、私たちを道案内します。(昭和61年8月10日決定)」
- ^ 建設大臣官房広報室(編)「平成元年度「道の日」記念式典等について」『建設月報』、建設省、1989年9月、104-105頁。「昨年度は「道の日」キャラクター“ハンミョウ”の愛称募集」
- ^ a b 建設省広報室(編)「「道の日」記念・ヨウ平ランド開催」『建設月報』、建設省、1992年9月、6-7頁。
- ^ 建設省広報室(編)「「道の日」記念・ヨウ平ランド開催」『建設月報』、建設省、1992年9月、84-85頁。「ヨウ平君は、ハンミョウという体長約二〇mmの昆虫で、道で出会うと人の前へ前へと飛ぶ習性があることから、ミチシルベとも呼ばれています。」
- ^ 建設省広報室(編)「「道の日」記念 感・道ランド‘94開催」『建設月報』、建設省、1994年9月、4-5頁。
- ^ 水野順右「[いまどき気になること]ウチワやタオル配る前に」『毎日新聞』1993年8月18日、東京夕刊、5面。
- ^ 小松貴「ハンミョウの幼虫ー深淵より来たる狙撃者」『虫のすみか 生きざまは巣にあらわれる』ベレ出版、2016年6月25日、25-26頁。ISBN 978-4-86064-477-2。
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