UVB-76 概要

UVB-76

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/27 21:44 UTC 版)

概要

UVB-76の送信所と思われる施設の空撮写真。

この送信所は、ほぼ1日中[注釈 1]、1分間に約21回から34回のペースで、短い単調なブザー音を繰り返し流し続けている[1][4]

電波型式SSBであり[1]、ブザー音の合間にロシア語による音声メッセージが放送されることもがある[1][4][5]が、この放送の目的は公には明らかにされていない。

名称

時折聞こえる音声(後述)冒頭の呼び出しから「UVB-76」の名で呼ばれているが、これが正式なコールサインかどうかは不明である。(UVB-76はUZB-76の誤記である可能性が高く実際に局自体によって使用されたことは無い)2010年9月の音声が放送されて以降は「MDZhBロシア語: МДЖБ)」、2015年12月以降は「ZhUOZロシア語: ЖУОЗ)、2019年3月以降は「ANVFロシア語: АНВФ)、 2020年12月以降は「NZhTIロシア語: НЖТИ)が用いられている。いずれもロシア語の人名を用いた、頭文字のフォネティックコードであると思われる。

コールサイン

UVB-76の主なコールサイン
コールサイン 使用された期間
UZB-76 (ロシア語: УЗБ-76) 1997年12月24日 – 2010年9月7日
MDZhB (ロシア語: МДЖБ) 2010年9月7日 – 2015年12月28日
ZhUOZ (ロシア語: ЖУОЗ) 2015年12月28日~2019年3月1日
ANVF (ロシア語: АНВФ) 2019年3月1日~2020年12月30日
NZhTI (ロシア語: НЖТИ) 2020年12月30日 – 現在

通常の放送内容

ブザー音は遅くとも1990年から放送されている[6]1982年の確認では2秒おきに短い電子音を繰り返し放送しており、1990年初頭ごろにブザー音へと切り替わった[6][7]2003年1月16日から音程が高く[要出典]、0.08秒長いブザー音に変更されていた時期があったが、2010年11月に元に戻されている[1]。2010年6月までは、正時1分前になると、ブザー音が途切れのない連続音に切り替えられており、この連続音は、ブザー音が再開されるまでの1分間続けられていた[6]。しかし、それ以降は途切れのない連続音は放送されなくなり、一定の周期(2秒おき)に変更されている[6]

2010年6月5日、切れ目なく放送を続けていたブザー音が突如停止したが、翌日には放送が再開された[8][9]。同年8月中旬ころから放送は断続的に停止されるようになり、8月25日には誰かが放送ブース内にいるかのような足音や物音、ガイガーカウンターのような音が聞こえるようになった[8][10]。9月第一週には音楽が流れてブザー音の放送が中断されるようになり、9月7日には新しいコールサインが放送された[8][11][12]

2022年1月4日、ブザー音が消えザ・ピップ (The Pip)に非常に似た音に一時的に変更されていたが、2022年1月27日に元のブザー音に戻された。

2022年ごろから、4612kHz(4625Khzとは同期していなく信号も非常に弱い)でもブザー音が発せられていることが確認されている。2023年6月からブザー音が消え、ビープ音になっていたが、現在は消失している。

2024年4月22日(日本時間4月22日15時43分)、FM変調での放送に切り替え、数日後にUSB変調に戻された。

ときおり、かすかな雑音や会話音がブザー音の背後に聞こえることがある(後述)[8][13]。これは録音放送や再生装置による自動送信によって放送されているのではなく、ブザーを発生させている装置からマイクで音を拾う形で生放送されているためであると考えられている。


注釈

  1. ^ UTC7:00〜7:50の間は音が無くなるが、これは送信機の保守点検を行っているためと思われる。よって正確には23時間10分である[3]

出典

  1. ^ a b c d e f g h The Buzzer – ANVF (Formerly UVB-76)” (英語). Numbers Stations (2014年10月). 2014年10月1日閲覧。
  2. ^ ピーター・サヴォドニック 2011, 位置16/216
  3. ^ a b c Radio Station UVB 76 "The Buzzer"”. 2002年6月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月16日閲覧。
  4. ^ a b c ピーター・サヴォドニック 2011, 位置4/216
  5. ^ Peter, Savodnik (2011年9月27日). “Inside the Russian Short Wave Radio Enigma” (英語). Wired. https://www.wired.com/2011/09/ff-uvb76/ 2020年10月25日閲覧。 
  6. ^ a b c d Morse Stations” (英語). Seventy-fifth edition of the N&O column / Spooks newsletter (2004年8月2日). 2019年9月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月27日閲覧。
  7. ^ Boender, Ary (1995年). “Numbers & oddities: Column 1” (英語). 2020年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月16日閲覧。
  8. ^ a b c d 2010” (英語). Priyom.org. 2020年10月25日閲覧。
  9. ^ ピーター・サヴォドニック 2011, 位置16-22/216
  10. ^ ピーター・サヴォドニック 2011, 位置22/216
  11. ^ ピーター・サヴォドニック 2011, 位置28/216
  12. ^ a b @priyom_org (2016年10月17日). "Today's extraordinary Russian military channel marker message stats" (英語). X(旧Twitter)より2020年10月25日閲覧
  13. ^ a b Pre2010” (英語). Priyom.org. 2020年10月25日閲覧。
  14. ^ UVB 76 in august 1976 MUST WATCH! RARE. Youtube (published 19 May 2015). 2 August 1976. 2020年10月25日閲覧
  15. ^ a b The Buzzer” (英語). Priyom.org. 2017年3月16日閲覧。
  16. ^ 2016” (英語). Priyom.org. 2020年10月25日閲覧。
  17. ^ UZB-76/UVB-76 record from 1997. 2011年9月21日閲覧
  18. ^ 録音サンプル” (英語). SoundCloud. 2017年3月16日閲覧。
  19. ^ Kužník, Jan (2010年8月27日). “Mysteriózní rádio už 30 let vysílá záhadný signál a teď i tajnou šifru” (チェコ語). iDNES.czチェコ語版. https://www.idnes.cz/technet/audio-foto-video/mysteriozni-radio-uz-30-let-vysila-zahadny-signal-a-ted-i-tajnou-sifru.A100826_231351_tec_audio_kuz 2020年10月25日閲覧。 
  20. ^ Cox, Joseph; Rose, Janus (2022年1月20日). “Pirates Spammed an Infamous Soviet Short-wave Radio Station with Memes” (英語). Vice. 2024年4月19日閲覧。
  21. ^ “40年続く謎の短波放送「UVB-76」がハッキングされる。ネットミームとなった音楽や画像が流される”. カラパイア (株式会社ミンキュア). (2022年1月24日). https://karapaia.com/archives/52309668.html 2022年1月27日閲覧。 
  22. ^ “El misterioso zumbido de la estación de radio UVB-76” (スペイン語). El Reservado. (2011年1月24日). オリジナルの2016年4月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160404120323/http://www.elreservado.es/news/view/261-correos-rebotados-internet-comic/895-el-misterioso-zumbido-de-la-estacion-de-radio-uvb-76 2011年1月31日閲覧。 
  23. ^ a b ピーター・サヴォドニック 2011, 位置88-106/216
  24. ^ Jason Walsh(湯田 賢司、長谷 睦 訳) (2004年11月18日). “スパイご用達? 短波「乱数放送局」の謎”. Wired. https://wired.jp/2004/11/18/%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4%E3%81%94%E7%94%A8%E9%81%94%EF%BC%9F-%E7%9F%AD%E6%B3%A2%E3%80%8C%E4%B9%B1%E6%95%B0%E6%94%BE%E9%80%81%E5%B1%80%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%AC%8E/ 2020年10月25日閲覧。 
  25. ^ ピーター・サヴォドニック 2011, 位置108/216
  26. ^ Russian HF beacons [MX]” (英語). Thirty-second edition of the N&O column / Spooks newsletter (2000年12月24日). 2020年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月26日閲覧。
  27. ^ Single letter markers – posts from the SPOOKS and WUN listservers” (英語) (2000年). 2007年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年8月29日閲覧。
  28. ^ Pleikys, Rimantas (1998). Jamming. Vilnius Lithuania: Rimantas Pleikys. http://www.oldradio.lt/jamming/jamminge.htm 
  29. ^ ピーター・サヴォドニック 2011, 位置58/216
  30. ^ Gorvett, Zaria (2020年7月16日). “The ghostly radio station that no one claims to run” (英語). BBC. https://www.bbc.com/future/article/20170801-the-ghostly-radio-station-that-no-one-claims-to-run?referer=https%3A%2F%2Fja.wikipedia.org%2F 2020年10月25日閲覧。 
  31. ^ Anisimov, S. V.; Dmitriev, E. M.; Aphinogenov, K. V.; Guriev, A. V.. “Geomagnetic observations in Borok geophysical observatory”. Russian Journal of Earth Sciences (Geophysical Center RAS) 10. doi:10.2205/2011NZ000104, 2011. http://elpub.wdcb.ru/journals/rjes/v10/2007ES000227/2.shtml 2017年5月20日閲覧。.  段落番号[33]参照。
  32. ^ Information-measuring complex and database of mid-latitude Borok Geophysical Observatory” (英語) (2008年4月17日). 2012年2月10日閲覧。





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