O級駆逐艦 装備

O級駆逐艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/27 04:38 UTC 版)

装備

本級の計画にあたり、艦砲が課題となった。イギリス海軍では、A級より45口径12cm砲(QF 4.7インチ砲Mk.IX)を装備化し、I級に至るまで、単装砲架と組み合わせて駆逐艦に搭載してきた。その後、駆逐艦の砲火力強化の要請から連装化が志向され、まずMk.IXをもとにしたMk.XIIが開発されて、1935-6年度のトライバル級で装備化された。また1937-8年度計画のL級より、新開発の50口径12cm砲(QF 4.7インチ砲Mk.XI)が装備化されていたが、これは強力・高性能であるかわりに構造が複雑で製造に時間がかかり、戦時急造艦への搭載は困難であった[7]

このことから本級では、まずI級までの艦と同様、45口径12cm単装砲(QF 4.7インチ砲Mk.IX)4基を搭載するものとして計画が進められた。しかし8隻のうち4隻は機雷敷設艦を兼任できるものとして発注されたことから、艦砲は45口径10.2cm単装高角砲(QF 4インチ砲Mk.V)3基に削減された。なお駆逐艦としての任務にあたる場合には、48時間以内に更に2基の45口径10.2cm単装高角砲を増備できるように設計されていた。また4.7インチ砲搭載艦でも、竣工後に後部魚雷発射管を撤去して45口径10.2cm単装高角砲1基を搭載した[1]

中間的駆逐艦であることから射撃指揮装置も冒険を避けて、方位盤はトライバル級に準じた機種に差し戻されたうえに対水上用の方位盤を省き、285型レーダーを備えたMk.V**方位盤のみとなった。また射撃盤の構成も簡素化され、対空用は従来の駆逐艦と同様にFKCを搭載したが、対水上用としては、スループ向けと同系統のFCB(Fire Control Box)が搭載された[1]

近距離用の対空兵器としては、当初はJ級と同様に39口径40mm4連装機銃(QF 2ポンド・ポンポン砲)1基と62口径12.7mm4連装機銃2基を搭載する予定であった。しかしいずれも防空力としては不十分だったため大戦中に撤去され、1944年1月の時点では、70口径20mm機銃の連装・単装銃架2基ずつが標準的な装備となっていた[1]




  1. ^ 1963年に変更後のペナントナンバー
  2. ^ 16型フリゲートに改修後の新ペナントナンバー
  1. ^ a b c d e f g h Norman Friedman (2012). “The War Emergency Destroyers”. British Destroyers & Frigates: The Second World War & After. Naval Institute Press. ISBN 978-1473812796. 
  2. ^ Roger Chesneau, Robert Gardiner (1980). Conway's All the World's Fighting Ships 1922-1946. Naval Institute Press. p. 42. ISBN 978-0870219139. 
  3. ^ 中川務「イギリス駆逐艦史」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 94-95頁、 ISBN 978-4905551478
  4. ^ 中川務「イギリス駆逐艦建造の歩み」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 149-155頁、 ISBN 978-4905551478
  5. ^ 岡田幸和「船体 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 158-163頁、 ISBN 978-4905551478
  6. ^ 阿部安雄「機関 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 164-171頁、 ISBN 978-4905551478
  7. ^ 高須廣一「兵装 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 172-179頁、 ISBN 978-4905551478


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