解毒剤 作用機序に応じた対応

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 化学 > 薬学 > > 解毒剤の解説 > 作用機序に応じた対応 

解毒剤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/08 09:06 UTC 版)

作用機序に応じた対応

経口摂取
毒を経口摂取した場合、毒を吸着し、消化器官から流し出し、それゆえ大半の毒を吸着して排出できる吸着剤活性炭経口投与することがしばしば対処法として用いられる。牛乳や卵などの緩和剤で内臓に壁を作り保護するために飲ませる対応も取られるが、牛乳の脂肪に溶けるガソリンや殺虫剤などの場合は飲ませると症状が悪化する[2]
解毒剤ではないが、胃洗浄・腸洗浄、血液浄化、下剤・強制利尿は有効な解毒法で、嘔吐を催促するのは飲み込んだ物と患者の状況による[2]。胃洗浄とは、人体に有害な物質を誤食・誤飲したとき、生理的食塩水などの洗浄液と胃チューブ(患者が意識を失っている時は誤嚥肺炎を起こす可能性があるため、気管内チューブを挿管し、カフを膨らませてから胃洗浄を行う)、活性炭などの吸着剤や解毒剤、チューブの挿管を容易にする潤滑剤を用いて、に残る未吸収物質を除去する目的で行われる。また、内視鏡検査手術の前にも行われることがある。
胃洗浄の有効性を左右する要素は、大きく分けて3つである。
  1. 摂取してから胃洗浄を行うまでの時間
  2. 摂取した量
  3. 摂取した物質の吸収速度などの臨床条件
特に重要なのが「摂取してから胃洗浄を行うまでの時間」であって、一般に1時間以内が目安である。
一部の毒には解毒・拮抗剤があるが、摂取した物が分からなければ対応ができない。トリカブトとフグの毒は拮抗し、毒に対して毒を使用して薬となり[3]、トリカブトの毒はローマ時代の『博物誌』や中国の『呂氏春秋』でサソリなどの毒への解毒薬として書かれている[4]。メタノール中毒ではエタノールの方が吸収されやすいため拮抗剤としてエタノールを使用する[5]
毒を注入された場合
有害生物に咬まれたり刺されたりして体内に毒を注入された場合、結束バンドを使用して毒を局所に留め、毒が血液リンパ液を経て全身に回るのを遅らせる方法が往々にして取られるが、しばしば手足を失うことがある。
解毒剤となる抗血清があれば投与する。

  1. ^ "antidote" - ドーランド医学辞典
  2. ^ a b 小瀧正年「身近な中毒 : その注意点と対処法」『名寄市立病院医誌』第8巻第1号、名寄市立総合病院、2000年、2-10頁、ISSN 1340-2749 
  3. ^ 大野曜吉 (2017年). “トリカブト毒性のフグ毒による遅延作用:沖縄トリカブト殺人事件”. 法医学の実際と研究. pp. 1–7. 2022年6月26日閲覧。
  4. ^ 第9回薬草だより (PDF) 松浦薬業株式会社
  5. ^ 【4】Q&A 薬物中毒について (PDF) 大分大学


「解毒剤」の続きの解説一覧




解毒剤と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「解毒剤」の関連用語

解毒剤のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



解毒剤のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの解毒剤 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS