自然環境保全地域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/29 17:44 UTC 版)
概要
自然環境保護の方法としては、自然保護区に分類される[1]。自然保護区に分類されるものには、自然公園法に基づく国立公園等(自然公園)などもあるが、自然環境保全法自体、自然公園法ほど日本社会において知られていない[2]。
自然環境保全法(所管は環境省)の体系では、まず自然環境保全地域、都道府県自然環境保全地域と原生自然環境保全地域が区分けされ、さらに、自然環境保全地域、都道府県自然環境保全地域が特別地区、海域特別地区(自然環境保全地域のみ)と普通地区に分けられる[注 1]。
自然公園との違い
自然環境保全地域は自然環境の保全を目的としていることに対して(自然環境保全法第1条)、自然公園については自然環境の保護と同時に利用増進を図ることを目的としている(自然公園法第1条)点が異なる[注 2]自然環境保全地域等の区域は、自然公園の区域に含まれないものとされている。また、原生自然環境保全地域は保安林の区域も原則として指定対象外とされている(自然環境保全法第22条、第45条)。
上記のとおり、自然環境保全地域等と自然公園は、目的も異なり、根拠法律も別だてである。一方で、両者に関する手続き面等では共通性も多く見られる(b:コンメンタール自然環境保全法とb:コンメンタール自然公園法参照)。例えば、自然環境保全法第4条に基づいて国が行う基礎調査は、対象は自然環境保全地域等に限られず、自然公園関連等においても活用されている[3]。さらに、自然公園法でも利用や立ち入りの制限規定があることなどから、自然公園との違いは明確ではないという見方もある[2]。
出典
- ^ 自然公園においても、特別地域、海域公園地区、普通地域等の区分けがある。一方で、自然公園特別地域における第一種から第三種までのような細分化は、自然環境保全地域の特別地区には規定されていない。
- ^ 環境省は、『自然環境保全法の運用について』で、「原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域は、自然環境を適正に保全し、将来の国民に継承していくという性格の地域であり、すぐれた自然の風景地を保護するとともにその利用を増進を図るという性格の地域である自然公園とは、その性格を異にする」としている。
- ^ 自然環境保全法第14条では、「森林法(中略)第二十五条第一項 又は第二十五条の二第一項 若しくは第二項 の規定により指定された保安林(同条第一項 後段又は第二項 後段において準用する同法第二十五条第二項 の規定により指定された保安林を除く」とも規定されている。)の区域を除く。
- ^ 『生態学からみた野生生物の保護と法律』35頁など多数
- ^ a b c d 環境法入門 143 - 144頁
- ^ 環境省生物多様性センター『自然環境保全基礎調査とは』2010年12月26日閲覧
- ^ 『生態学からみた野生生物の保護と法律』39 - 41頁
- ^ a b 『自然環境保全法の運用について』
- ^ 南硫黄島原生自然環境保全地域の例:林野庁『「小笠原諸島」を世界遺産一覧表に記載するための推薦書の提出について』2010年1月18日
- ^ 各都道府県知事あて農林大臣官房長通達『自然環境保全法による都道府県自然環境保全地域の指定等と農林漁業との調整等に関する方針について』1974年12月20日 2010年12月16日閲覧
- ^ 文化庁『文化行政のあらまし 過去の会議・計画等 文化振興マスタープラン 他省庁における文化に関連する施策(概要)』
- ^ 国土交通省国土計画局『国土数値情報 自然保全地域データの詳細』
- ^ 環境省『自然環境保全地域等選定要領について』2010年12月12日閲覧
- ^ インターネット自然研究所『原生自然環境保全地域』2010年12月12日閲覧
- ^ “自然環境保全法施行規則(昭和四十八年総理府令第六十二号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2019年11月1日). 2020年1月27日閲覧。 “2019年12月14日施行分”
- ^ 各指定地域の特徴
- 自然環境保全地域のページへのリンク