神の子どもたちはみな踊る 装画

神の子どもたちはみな踊る

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/16 08:54 UTC 版)

装画

単行本の装画に使われた北脇昇の「空港」

単行本の装画(表紙、裏表紙、扉絵)には、北脇昇の「空港」(1937年)が使用された。また各短編のタイトルに付けられた挿絵も北脇の作品である。文庫化された際も「空港」が表紙に使用された。1997年東京国立近代美術館で開かれた特集展示「北脇昇展」を見たときに村上は「とても心が惹かれ」たという。村上は次のように述べている。「東京の近代美術館で北脇昇さんの特集展示をやっていて、それを見てとても心を惹かれました。戦前のシュールレアリスト風の絵画から、戦争中のいささか国家主義的色彩をふくんだ作品、そして深く沈潜した戦後の作品へとスタイルは大きく変化するものの、彼の絵の中に一貫して含まれている『異様な個人的風景』は、僕の作品のある部分に通底しているような気がしたのです」[1]。なお、現在の新潮文庫版は英訳版と同じもの(カエルが3匹立ち並んでいるイラスト)を使用している。

ゴダールの影響

ドストエフスキーの『悪霊』の一節(江川卓訳)と、ジャン=リュック・ゴダールの映画『気狂いピエロ』の一節がエピグラフに引用されている。『村上朝日堂ホームページ』上で「ゴダールの影響は?」という読者からの質問に対し、村上は「はっきり言って、僕はゴダールの映画に強い影響を受けています」と答えている[2]。『村上朝日堂ホームページ』の別の箇所では「高校時代、神戸のアートシアターでヌーヴェルバーグものを見まくったんですが、(中略)あの当時、神戸の街で僕くらい深くジャン・リュック・ゴダールを愛していた人間はそんなにいなかったと思います」と述べている[3]

また、佐々木マキを論じた文章の中で村上はこう述べている。「『このマンガはいったい何を表現しようといているのか?』と僕は考えてみた。もちろんそれは何も表現してはいなかった。(中略) 問題はスタイルであるという気がした。佐々木マキは彼独自の強固なスタイルを所有しており、そのスタイル=文体そがすべてを統轄しているのだ。(中略) はじめてジャン=リュック・ゴダールの映画を観た時にも僕は同じようなことを感じた」[4]

収録作品

タイトル 初出 英訳
1 UFOが釧路に降りる 新潮』1999年8月号 UFO in Kushiro
(The New Yorker. March 19, 2001)
2 アイロンのある風景 『新潮』1999年9月号 Landscape with Flatiron
(Ploughshares. September 22, 2002)
3 神の子どもたちはみな踊る 『新潮』1999年10月号 All God's Children Can Dance
(Harper's. October, 2001)
4 タイランド 『新潮』1999年11月号 Thailand
(Granta. July 7, 2001)
5 かえるくん、東京を救う 『新潮』1999年12月号 Super-Frog Saves Tokyo
(GQ. June, 2002)
6 蜂蜜パイ 書き下ろし Honey Pie
(The New Yorker. August 20 & August 27, 2001)

  1. ^ 少年カフカ』新潮社、2003年6月、252頁。
  2. ^ 『村上朝日堂ホームページ』 読者&村上春樹フォーラム6(2006年3月18日~20日)。
  3. ^ スメルジャコフ対織田信長家臣団朝日新聞社、2001年4月、読者&村上春樹フォーラム156(1998年9月3日~6日)。
  4. ^ 村上春樹 「佐々木マキ・ショック・1967」 『佐々木マキのナンセンサス世界』思索社、1984年2月。
  5. ^ ジェイ・ルービン 著、畔柳和代 訳 『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』新潮社、2006年9月30日、307頁。 






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