月を眺める二人の男 ヴァリアント

月を眺める二人の男

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 01:18 UTC 版)

ヴァリアント

ベルリン国立美術館所蔵作

『月を眺める男と女』
ドイツ語: Mann und Frau in Betrachtung des Mondes
英語: Man and Woman Contemplating the Moon
作者カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
製作年1824年ごろ
種類油彩画
素材キャンバス
寸法34 cm × 44 cm (13 in × 17 in)
所蔵ベルリン国立美術館ベルリン
ウェブサイト公式ウェブサイト

月を眺める男と女』(つきをながめるおとことおんな、: Mann und Frau in Betrachtung des Mondes: Man and Woman Contemplating the Moon)は、ベルリン国立美術館に所蔵されている[18]。英語でのタイトルは Man and Woman Observing The Moon とも表記される[23]キャンバス油彩で描かれた作品である。縦34センチメートル、横44センチメートルの大きさをもつ[7]。かつては1830年から1835年の間に製作されたとするベルシュ=ズーパンの説が有力であったが、後年になってベルリン国立美術館のキュレーターが1824年ごろに製作されたものとする説を唱え、現在ではこれが通説となっている[17][24][7]

1922年にベルリンの美術商、サロモンの所有となる。1932年に開催された、ベルリンのパウル・カッシーラーの展示会で展示される。1936年9月8日までザンクト・ガレンフリッツ・ネイサン英語版の展示会で展示される。同年、ベルリン国立美術館の所有するところとなる[25]

この作品では、月を眺めているのが一組の男女になっている[7][19][17]。ノイエ・マイスター絵画館所蔵作やメトロポリタン美術館所蔵作と比べて、2人が頭を接近させておらず、胴体はまっすぐに保たれている[17]。1922年以降、この男女は、フリードリヒとその妻、カロリーネドイツ語版がモデルとなっているのではないかとの指摘がなされている[17]。1991年、デンマークの美術史家カスパー・モンラッドデンマーク語版は、この作品に描かれている月は月食が始まった状態の月であるとの旨を述べている[18]

夕暮れ時の空は薔薇色がかった藤色をしており、前景は全体的に暗い[17][7]。ノイエ・マイスター絵画館所蔵作と比べて空が明るくなったために、月がそれほど目立たなくなった一方で、オークの木のシルエットが際立っている[17]。月の光は、青みを帯びている[17][18]。オークの木の根は苔で覆われている[17]。後景のドイツトウヒが、画面右側の岩塊の上やオークの木の根のすき間から覗いている[17]。画面の左上のドイツトウヒの枝は、2人がいる辺りまで伸びている[17]。画面前景の小道は、ノイエ・マイスター絵画館所蔵作と比べて、幅員が広くなっている[17]。男性は杖を持っていない[17]

メトロポリタン美術館所蔵作

『月を眺める二人の男』
ドイツ語: Zwei Männer in Betrachtung des Mondes
英語: Two Men Contemplating the Moon
作者カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
製作年1825年 - 1830年ごろ
種類油彩画
素材キャンバス
寸法34.9 cm × 43.8 cm (13.7 in × 17.2 in)
所蔵メトロポリタン美術館ニューヨーク
ウェブサイト公式ウェブサイト

月を眺める二人の男』(つきをながめるふたりのおとこ、: Zwei Männer in Betrachtung des Mondes: Two Men Contemplating the Moon)は、ニューヨークメトロポリタン美術館が所蔵し、2階のギャラリー807に展示されている[7][26]キャンバス油彩で描かれた作品である。縦34.9センチメートル、横43.8センチメートルの大きさをもつ[7]。1825年から1830年ごろに製作されたものとされている[7]

医師のオットー・フリードリヒ・ローゼンベルク (Otto Friedrich Rosenberg) は医療サービスをフリードリヒに提供しており、その見返りとして1840年までにこの作品を受け取る。ローゼンベルクの娘の1人でフリードリヒに絵画を教わったこともあるセオフィラ・ミンナ・ローゼンベルク (Theophila Minna Rosenberg) が1850年から1882年まで所有していた。1999年に競売会社のクリスティーズに売却される。2000年にライツマン基金がメトロポリタン美術館に提供する[7]

この作品は、ノイエ・マイスター絵画館所蔵作に極めて似ており、相違点はほとんど見受けられない[5]。空の色や明るさは、ベルリン国立美術館所蔵作と同様であり、人物はノイエ・マイスター絵画館蔵作と同様、2人の男性になっている[7][5]。赤外線反射撮影を用いた調査によって、フリードリヒは下絵を描かずにこの作品に取りかかったことが明らかになっており、ノイエ・マイスター絵画館所蔵作やベルリン国立美術館所蔵作と比べて輪郭線が見えにくいことから、流れるように描かれたものと考えられる[7]


  1. ^ a b c d 佐藤 2007, p. 37.
  2. ^ Richard Eyre (2000年11月25日). “From Brecht to Beckett via a tale of two cities”. ガーディアン. https://www.theguardian.com/books/2000/nov/25/stage 2021年11月23日閲覧。 
  3. ^ a b c d e f Rewald 2001, p. 30.
  4. ^ a b c d e f g h i j k 佐藤 2007, p. 38.
  5. ^ a b c Rewald 2001, p. 34.
  6. ^ a b Zwei Männer in Betrachtung des Mondes”. ドレスデン美術館. 2021年11月23日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n Two Men Contemplating the Moon”. メトロポリタン美術館. 2021年11月23日閲覧。
  8. ^ a b c Two Men Contemplating the Moon by Caspar David Friedrich”. The British Library. 2021年11月23日閲覧。
  9. ^ a b c Makschies 2011, p. 307.
  10. ^ a b c Haubrichs 2008, p. 77.
  11. ^ 有川治男. “ヘラルト・テル・ボルフ:父の訓戒 - 多くの主題解釈を許す優雅な風俗画”. 学習院大学大学院人文科学研究科. 2021年11月23日閲覧。
  12. ^ Russell 2016.
  13. ^ Bering 2015, p. 61.
  14. ^ Summaries 2015.
  15. ^ Rewald 2001, p. 22.
  16. ^ a b c d e Makschies 2011, p. 308.
  17. ^ a b c d e f g h i j k l m Rewald 2001, p. 33.
  18. ^ a b c d 佐藤 2007, p. 39.
  19. ^ a b Wrightsman 2005, p. 344.
  20. ^ a b Christine Dixon. “Zwei Männer in Betrachtung des Mondes”. オーストラリア国立美術館. 2021年11月23日閲覧。
  21. ^ a b Makschies 2011, p. 309.
  22. ^ 佐藤 2007, p. 42.
  23. ^ Zoe Pilger (2013年1月18日). “Gerard Byrne, State of Neutral Pleasure, Whitechapel Gallery, London”. インデペンデント. https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/art/reviews/gerard-byrne-state-of-neutral-pleasure-whitechapel-gallery-london-8457744.html 2021年11月23日閲覧。 
  24. ^ 佐藤 2007, p. 41.
  25. ^ Mann und Frau in Betrachtung des Mondes”. ベルリン国立美術館. 2021年11月23日閲覧。
  26. ^ 佐藤 2007, p. 40.


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