新交通システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 13:29 UTC 版)
概念
広義の「新交通システム」は新規の技術開発によって従来の交通機関とは異なる機能や特性をもつ交通手段や既存の交通手段に改革を行うことで発展させた新しい交通システムのことであり、これらは主に中量輸送を対象とする公共交通システムである[1](中量軌道輸送システムも参照)。
国土交通省では、「動輪にゴムタイヤを使用した案内軌条式鉄軌道 (AGT) や、ガイドウェイバスなど、従来の鉄道とは異なる新しい技術を用いた中量軌道輸送システム」とされている[2]が、あくまでさまざまな形態のものを包含する概念とされており、決まった定義はない。日本産業規格(JIS)では、懸垂式鉄道及び跨座式鉄道、案内軌条式鉄道、無軌条電車、鋼索鉄道並びに浮上式鉄道を「特殊鉄道」として扱っている[3]。
路線の一般道などとの立体交差・自動運転・無人運転のシステムが多く、このうち AGT とモノレールが現在最も普及している。多くの新交通システムは日本万国博覧会、沖縄国際海洋博覧会、神戸ポートアイランド博覧会、国際科学技術博覧会、バンクーバー国際交通博覧会、'88さいたま博覧会、横浜博覧会、国際花と緑の博覧会、2005年日本国際博覧会等の博覧会で試験的に運行されたり、博覧会に合わせて開業される路線もあり博覧会と新交通システムの関係は密接につながっている。博覧会での運行は実用化に向けた試金石でもありその後の実用化に少なからず影響を与える。現在、運行されている新交通システムの原型はその大半が以前に開催された博覧会で運行されたもので、博覧会での運行結果が芳しくなかったものは実用化に至らないことが多い。営業路線として実用化していないものに電波磁気誘導式のバスシステムIMTSがある。
注釈
- ^ 元々はウェスティングハウス・エレクトリック社が開発したAGTの一種のシステムを指す名称であったが、海外ではこのシステムが当初は多く採用されたため、他のシステムを含めた AGT 全体のことを APM と呼称する。三菱重工業で製造された海外・空港向けの車両も APM として輸出している。
- ^ フランス語発音: [val] ヴァル
- ^ フランス語発音: [veikyl otɔmatik leʒe] ヴェイキュロトマティクレジェ。元々はこのシステムで最初に開業した路線 (仏: Villeneuve d'Ascq à Lille) の頭字語とされていたが、同システムが他都市でも導入されたことから軽量自動車両を意味する頭字語へと改められた。
出典
- ^ a b c d 塚口ほか 2016, p. 104.
- ^ 『鉄道ファン』通巻637号、 95頁
- ^ “日本工業規格 特殊鉄道車両用語”. 日本工業規格. 2016年2月19日閲覧。
- ^ 井口雅一「実現した新交通システム-中量軌道システム-」『電氣學會雜誌』第102巻第1号、電気学会、1981年10月5日、6-9頁、doi:10.11526/ieejjournal1888.102.6。
- ^ 1972年_014号「新しい交通機関としてのパラトランシステムについて (PDF) 」(インターネットアーカイブ)
- ^ 日立製作所『日立評論』1972年4月号日立ニュース「全く新しい交通方式"パラトランシステム"を共同開発 (PDF) 」
- ^ 水間毅、松本陽「いろいろな都市交通システムの比較」『電気学会誌』第119巻第3号、電気学会、1997年11月5日、152-155頁、doi:10.1541/ieejjournal.119.152。
- 新交通システムのページへのリンク