揚陸指揮艦 揚陸指揮艦の概要

揚陸指揮艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/17 16:36 UTC 版)

概要

海上における軍事行動、特に揚陸戦においては、水上艦船のほか、陸上部隊、航空部隊についても指揮・統制を行う必要がある[2]

第二次世界大戦後半ともなると、上陸作戦は大規模化し、多数の司令部人員や通信能力を必要とした。そのため、充分な容積を確保し、充分な通信能力を備えた指揮専用艦艇・揚陸指揮艦が用いられるようになった[2]

アメリカ海軍初の揚陸指揮艦アパラチアンは第二次世界大戦中の1943年戦時標準船を改造して竣工している。主に対日本戦(太平洋戦争)に使用するためのものであった。重要防御対象であったために、大戦中はその存在自体が秘匿されていた[2]

アパラチアン級は1970年代まで用いられ、その後はブルー・リッジ級などに引き継がれた。なお、強襲揚陸艦の大型化に伴いタラワ級ワスプ級は揚陸指揮艦任務を兼ねるようになっている。

ブルー・リッジ級では、通信機能を重視し電波干渉を避けるため、広い平甲板を持った船型を採用しているのが特徴である[2]

第二次世界大戦中のイギリス海軍においては同種の艦を司令部艦英語版(Headquarters ship)と称した。民間船改造のブローロを嚆矢として、北アフリカ戦線や西ヨーロッパ戦線での上陸戦において運用した[3] 。大戦中に合計4隻が運用された[4]

中華民国海軍では、アメリカ海軍から供与されたLST-542級戦車揚陸艦デュークス・カウンティ(USS Dukes County, LST-735)に所要の改造を施し、1962年から揚陸指揮艦高雄として運用した[5]

揚陸指揮艦一覧

アメリカ海軍

アパラチアン級揚陸指揮艦:4隻


マウント・マッキンリー級揚陸指揮艦英語版:8隻

アディロンダック級揚陸指揮艦英語版:3隻
  • アディロンダック英語版(USS Adirondack, AGC-15)
  • ポコノ英語版(USS Pocono, AGC-16/LCC-16)
  • タコニック英語版(USS Taconic, AGC-17/LCC-17)

  • ビスケーン英語版(USS Biscayne, AVP-11/AGC-18)
  • ウィリアムズバーグ英語版(USS Williamsburg, PG-56/AGC-369)
  • バルカー英語版(USS Valcour, AVP-55/AGF-1)
  • ラ・サール(USS La Salle, LPD-3/AGF-3)
  • コロナド(USS Coronado, LPD-11/AGF-11)

ブルー・リッジ級揚陸指揮艦:2隻

イギリス海軍


中華民国海軍

  • 高雄(ROCS Kao Hsiung, AGC-1)

  1. ^ a b US Navy. “AMPHIBIOUS COMMAND SHIPS - LCC The US Navy Fact File”. 2015年11月29日閲覧。
  2. ^ a b c d アメリカ揚陸艦史 世界の艦船 2007年1月号増刊 海人社 EAN 4910056040171
  3. ^ WW2 HQ SHIPS”. 2024年3月17日閲覧。
  4. ^ 「第2次大戦のイギリス軍艦」『世界の艦船』第839号、海人社、2016年2月、181頁、ASIN B01EYMD2LI 
  5. ^ “[https://www.navsource.org/archives/10/16/160735.htm NavSource Online: Amphibious Photo Archive USS Dukes County (LST-735) ex USS LST-735 (1944 - 1955)]”. 2024年3月17日閲覧。


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