押出成形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/06 08:36 UTC 版)
設計
押出し断面の形状は押出しの容易さに対して重大な影響を与える。押出し断面の形状を囲む最小の外接円の直径は必要な金型の大きさに直結し、それによって使えるプレス機械が制限されることになる。大型のプレス機では、アルミニウムでは直径60cmほど、鋼やチタンでは直径55cmほどまで可能である[3]。
押出し形状の複雑さを大まかに定量化する数値として「形状係数」があり、単位質量あたりの表面積で表される。形状係数は器具のコストや生産性に影響する[18]。
厚い部分は一般に金型の入口も大きな穴が必要である。素材がうまく流れるようにするには、マンドレルを支える脚部の長さを厚さの10倍未満にするのが望ましい。断面形状が非対称な場合、隣接する部分はなるべく同じ大きさにするのが望ましい。鋭い角は避けるべきである。アルミニウムとマグネシウムでは、角の最小半径は0.4mm以上、鋼では0.75mm以上にすべきで、角の内径は3mm以上にすべきである。次の表は、各種金属で押出し可能な最小断面積と最小の厚さを示している[3]。
素材 | 最小断面積 [cm2 (sq. in.)] | 最小の厚さ [mm (in.)] |
---|---|---|
炭素鋼 | 2.5 (0.40) | 3.00 (0.120) |
ステンレス鋼 | 3.0-4.5 (0.45-0.70) | 3.00-4.75 (0.120-0.187) |
チタン | 3.0 (0.50) | 3.80 (0.150) |
アルミニウム | <2.5 (0.40) | 1.00 (0.040) |
マグネシウム | <2.5 (0.40) | 1.00 (0.040) |
アルミニウム合金の押出成形でのダイスからの流出速度の調節は、ダイスの狭隘部である「ベアリング部」の形状でも行われる。チョーク角を持った「チョークベアリング」ではメタルフローが遅くなり、リリーフを持った「リリーフベアリング」ではメタルフローが早くなる。金属素材の流速を適正にコントロールすることは、単に素材内での流速の不均一性の低減がクラックの発生を抑えるだけでなく、摩擦で生じるダイスの加熱を抑えて変形量を設計範囲内に収める事を目的とする[1]。
- ^ a b c d 現場で生かす金属材料シリーズ アルミニウム pp. 205-215
- ^ アルミニウムの基本と仕組み pp. 117-120
- ^ a b c d e f g h i Oberg et al. 2000, pp. 1348–1349.
- ^ a b c Drozda et al. 1984, pp. 11–13
- ^ a b c Avitzur 1987, pp. 80–109
- ^ Drozda et al. 1984, p. 13
- ^ a b c d e Drozda et al. 1984, pp. 13–14
- ^ 日立ケーブル
- ^ Drozda et al. 1984, pp. 13–21
- ^ a b Drozda et al. 1984, pp. 13–16
- ^ Drozda et al. 1984, pp. 13–20
- ^ 塑性加工 基礎の基礎 pp. 70-74
- ^ Drozda et al. 1984, pp. 13–16
- ^ 流川、稲、宮本、髙井 (2012-07). “溶接接合教室、実践編、第6回、「鉄道・車輛(設計編)」”. 溶接学会誌 第81巻 (第7号): 35、36、37. doi:10.1299/jsmemag.107.1026_416_1. ISSN 2424-2675 .[出典無効]
- ^ Bauser, Sauer & Siegert 2006, p. 270
- ^ 図解 繊維がわかる本 pp. 62-67
- ^ Brick manufacturing process
- ^ Aluminum Extrusion Tooling - MakeItFrom
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