工業高等学校 概要

工業高等学校

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/21 08:54 UTC 版)

概要

地域の産業技術の次世代の担い手になる有為の人材を育成することを主眼にして、工業産業の技術習得に関する教育課程を編成している。教育活動の対象となる専門分野には、さまざまなものがあり、教育課程は、各地域特有の産業分野の後継者の育成を念頭においたものも見られる。

資格取得や検定取得に熱心な高校が多いのが特徴で、取得した資格や技能は就職活動や将来の生業において大きな糧となる[3]商業高校明治期に福澤諭吉慶應義塾大学創設者)の簿記講習所以降、簿記教育と簿記検定試験を重視してきたのと同様に、工業高校も各種検定試験合格へ力を入れている。資格試験においては令和2年より所定の単位を修めれば実務経験無しでも卒業後の二級建築士試験を受けられるようになった。このほかにも電気工事士など実技がある試験では、学校に機材が揃っており教員の指導を受けられるため有利である[注 1]。また授業として測量や電気工事の実習を行うため、雇用側にとっては資格を取得しただけの者よりも使いやすいという利点がある。

工業高等学校は学区の規制を受けないため学区内に普通高校の理数科が無い地域[注 2]では理数科の代わりとなっていることがあり、普通科より入学難易レベルの高い高校も存在する。また一部の工業高等学校では、高等専門学校(高専)に不合格になった受験生が多く集まる場合もある。これは高専が工業を中心としたカリキュラムを組むことがほとんどなことから、高専を第一志望、工業高等学校を第二志望にしている受験生が多いことに起因し、高専に通学することが地理的に難しい地域ではこのような事態が起こる。

工業高等学校や工業科を置いている高校のほとんどが、社団法人全国工業高等学校長協会」(全工協会、全工協)の会員校となっており、資格取得や各種検定において強い影響力を持っている。各種検定や全国製図コンクール・ロボット競技大会は全工協会が主催となっているものが多く、危険物取扱者などの試験会場としても利用されている。

学区の規制を受けず県全域から生徒を集められるため、部活動においても有力な選手を集めることが出来る。全日本バレーボール高等学校選手権大会においては都城工業高等学校坂出工業高等学校など公立校が上位に入っている。

かつての荒れているイメージが保護者にあるため進学に影響している[3]


注釈

  1. ^ 通常は各種工具と機材を自腹で揃えて参考書や動画を見ながら練習するか、有料の講習会を受講する。
  2. ^ 宮城県立高等学校学区制度などを参照。
  3. ^ 全校生徒全員男子の公立工業高校も存在。

出典

  1. ^ 東京都教育委員会. “都立工業高等学校の名称変更について|東京都教育委員会ホームページ”. 東京都教育委員会ホームページ. 2022年8月5日閲覧。
  2. ^ UNESCO (2008年). “Japan ISCED mapping”. 2015年10月31日閲覧。
  3. ^ a b c d e 工業高校って必要ですか? - NHK





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