園芸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/10 14:28 UTC 版)
鑑賞園芸
歴史
食用でなく鑑賞目的で花などを育てる行為の起源は古い。古代エジプト中王国時代のテーベにある遺跡からは、約4000年前の花壇らしき遺構が発見されている[8]。
日本で園芸植物が栽培されるようになった時期は定かではないが、平安時代の「和名類聚鈔」にはボタン、「枕草子」にはセキチク(64段)とボタン(143段)が掲載されており、平安時代中期には中国原産の園芸植物が貴族階級で鑑賞されていた[9]。
伝統的な園芸植物
- 古典園芸植物 - 日本および中国において古くから栽培されてきた園芸植物。唐代にはすでにさかんにボタンが育種され、宋代にはランがもてはやされた。日本では特に江戸時代、爆発的な発展を見せた。世界的に見ても高度な育種が行なわれ、ツツジやカエデ、サクラ、ハナショウブなど現在世界的に愛好されている植物も多く、またマツバランなど日本独自の美意識が高く反映されたものが多く、世界園芸史上においても貴重な存在である。
- フローリスツ・フラワー - 英国、ベルギーで16世紀から育種されてきた十数種の古典的園芸植物
ガーデニングとの関係
西洋の「ガーデニング」と日本で使われてきた「園芸」や「庭仕事」の関係については同義性と相違性の識別が十分に吟味されてこなかったとされる[10]。そこで「ガーデニング」と「園芸」を区別する要素を探る研究も出されており、従来の「園芸」や「庭仕事」が植物の栽培そのものを楽しむものだったのに対し、「ガーデニング」はデザインに留意して生活空間の向上に利用する意図も含まれる点に違いがあるなどの見解がみられる[10]。
「ガーデニング」に関しては、日本では一方では「ホビー・スポーツ」といった趣味として位置づけながら、もう一方では住まいを快適にすることも意識されたため、園芸業者などの産業界からの園芸や庭づくりまでも含んできたために概念が曖昧に拡散してきたとの指摘もある[11]。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 森 和男「日本園芸経営論(学)体系化の意義と手がかりについて」『農林業問題研究』第16巻第1号、富民協会、1980年、1-10頁、doi:10.7310/arfe1965.16.1。
- ^ a b c d “蔬菜園芸学”. 北海道大学農学部長・農学院長・農学研究院. 2023年4月10日閲覧。
- ^ 古在 豊樹「「農」と「市民」を基盤とした文化・学術」『文化看護学会誌』第1巻第1号、文化看護学会、2009年、52-59頁、NAID 40017238990。
- ^ a b c “5.園芸作物の特徴”. 京都大学オープンコースウェア(OCW). 2023年4月10日閲覧。
- ^ a b c d 水島 かな江「近代における園芸領域への団らんの浸透―女学雑誌と園芸書の分析から―」『日本家政学会誌』第59巻第2号、日本家政学会、2008年、69-79頁。
- ^ a b 小原 聰、太田 成美「施設園芸の現状と今後の課題」『農業施設』第1巻第1-2号、農業施設学会、1971年、95-102頁。
- ^ “6.施設園芸”. 枚方市. 2023年4月10日閲覧。
- ^ “エジプト 「ガーデニング」跡か 4000年前の花壇”. 毎日新聞インターネット版. (2017年5月5日)
- ^ 天野 誠. “「くらしの中に息づく植物—園芸植物の歴史—」”. 国立歴史民俗博物館. 2023年4月10日閲覧。
- ^ a b 高橋 ちぐさ、下村 孝「特集・イングリッシュガーデンから『ジャパニーズガーデン』へ ガーデニングブームの実態と背景―雑誌、出版物を通して見たガーデニングブーム―」『ランドスケープ研究』第65巻第1号、日本造園学会、2001年、27-32頁。
- ^ 水島 かな江「ガーデニングと明治期の家庭園芸」『園芸文化 : 恵泉女学園大学園芸文化研究所報告』第7巻、恵泉女学園大学園芸文化研究所、2010年、12-23頁、NAID 110007887325。
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