名鉄モ780形電車 豊橋鉄道への譲渡

名鉄モ780形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/27 16:20 UTC 版)

豊橋鉄道への譲渡

豊橋鉄道モ780形電車
豊橋鉄道移籍後の781
(2017年6月・市役所前 - 札木間)
基本情報
運用者 豊橋鉄道
種車 名鉄モ780形
導入年 2005年
総数 7両 (781 - 787)
運用開始 2005年8月2日
主要諸元
軌間 1,067 mm
電気方式 直流600 V架空電車線方式
車両定員 64人(座席28人)
自重 19.2 t
全長 13,580 mm
全幅 2,100 mm
全高 3,770 mm
車体 全鋼製車体
台車 インダイレクトマウント台車
FS-559
主電動機 かご形三相誘導電動機
TDK-6307-A
主電動機出力 60 kW
搭載数 2基 / 両
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
歯車比 6.55
制御方式 VVVFインバータ制御方式
制御装置 GTOサイリスタインバーター
ATR-M260-RG629E
制動装置 回生併用電気指令式ブレーキ
MBS-R
備考 出典:『鉄道ピクトリアル』通巻852号178-179頁等
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豊橋転出

名鉄岐阜市内線・揖斐線の廃止に伴い、本形式は7両そろって豊橋鉄道に譲渡された[16]。形式名は「モ780形」のままで、車両番号も781 - 787で変更はない[16]

移籍先の豊橋鉄道東田本線は、愛知県豊橋市を走る路面電車線である。名鉄からはモ800形1両をあわせた計8両が移籍した[16]。最初に豊橋入りしたのは781とモ800形801の2両で、名鉄線廃止から1か月も経たない2005年4月26日に赤岩口車庫へ搬入された[17]。次いで28日に第2陣の782・783が搬入[17]。残り4両については、同年10月24日に784・785、27日に786・787が搬入されている[18]

豊橋鉄道移籍に際し、全車赤岩口の自社工場にて整備工事が行われた[16]。連結器の撤去が目立つほか、車体塗装も全面広告電車とするため変更されている[19]。内装では降車合図ボタンが新設された[19]。連結器がないため豊橋鉄道での車両全長は13.58メートルになった[16]

豊橋鉄道での運用

本形式は、2005年8月2日より豊橋鉄道での営業運転を開始した[19]。当日投入されたのは781で、モ800形801とともに運行が始まった[19]。その後同年末までに782 - 785の4両も就役[20]。残る786・787の2両は翌2006年(平成18年)3月3日から営業運転に投入され、7両全車が運転を再開した[21]。モ780形・モ800形の豊橋移籍に伴い、旧型車のモ3700形1両とモ3100形6両が置き換えられた[21]

東田本線におけるワンマン運転方式は前側のドアを乗車口、中央のドアを降車口とする「前乗り中降り」方式を採っており[16]、名鉄時代とは逆である。2011年(平成23年)2月11日ICカード乗車券manaca」運用開始に伴い、ICカード対応運賃箱や旅客案内ディスプレイが車内に設置された[22]。さらに2018年(平成30年)2月に、801と同様に室内灯がLED照明に取り替えられた[23]

本形式は全車全面広告車両として運用されており、標準塗装の設定はない[22]

今後の予定

豊橋鉄道の発表によると、2019年(令和元年)以降、VVVFインバータ制御装置を始めとする電子機器の交換・更新が行われる予定である[24]


注釈

  1. ^ この時点の揖斐線の運行パターンは、黒野駅発着の岐阜市内線直通急行が毎時2本、忠節 - 美濃北方間の線内普通列車が毎時2本(「輸送と運転 近年の動向」(1996) 34頁)。揖斐線には黒野 - 本揖斐間の末端区間もあるが、この時点では運転系統が分割されているため扱わない。
  2. ^ 徹明町交差点を曲がる地点が直径20メートルの急カーブであった。
  3. ^ 運転時は、運転士のいる先頭のドアが降車ドアで、最後尾のドアは締切扱いとされる。

出典

  1. ^ a b c 「LRTスタイルで新登場 揖斐線直通急行用モ770形」
  2. ^ a b 『名鉄600V線の廃線を歩く』54-61頁
  3. ^ 「私鉄車両めぐり〔154〕」212頁
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 「名古屋鉄道モ780形」(『鉄道ファン』)
  5. ^ 『RM LIBRARY130 名鉄岐阜線の電車(下)』38-41頁
  6. ^ a b c d e f g h i 「名古屋鉄道 現有車両プロフィール2005」246-251頁
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay 「名古屋鉄道780系電車」(『車両技術』)
  8. ^ a b c d e 「日本の路面電車現況」(2000)
  9. ^ a b c d 「名古屋鉄道780形」(『鉄道ピクトリアル』)
  10. ^ a b c 「名古屋鉄道(株)向 780系車両用電機品」
  11. ^ a b c d e f g h 「岐阜市内、揖斐・谷汲、美濃町線の記録」114-120頁
  12. ^ 『名鉄600V線の廃線を歩く』38頁
  13. ^ 『名鉄600V線の廃線を歩く』36頁
  14. ^ 『名鉄600V線の廃線を歩く』33頁
  15. ^ a b 『RM LIBRARY130 名鉄岐阜線の電車(下)』43-45頁
  16. ^ a b c d e f 「日本の路面電車各社局現況」(2011)
  17. ^ a b 「名鉄・豊鉄路面電車のわだい」
  18. ^ 「TOPIC PHOTOS 豊橋鉄道への旧名鉄780形の搬入完了」
  19. ^ a b c d 「RAILWAY TOPICS 名鉄「旧岐阜600V線」車両が豊橋鉄道で再起」
  20. ^ 「TOPIC PHOTOS 元名鉄のモ780形が豊鉄市内線の主力に」
  21. ^ a b 「戦中製の名車豊橋鉄道モ3100形引退」
  22. ^ a b 『日本の路面電車ハンドブック』2018年版54-58頁
  23. ^ 「2017年度民鉄車両動向」158頁
  24. ^ 運賃改定の申請について (2)ウ.780 形車両制御器更新工事 2019/07/02 報道発表


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