協力ゲーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/11 03:35 UTC 版)
数学的な定義
協力ゲームはあらゆるNの部分集合S(提携)にある値を特定することにより与えられる。数学的には、このゲーム (提携ゲーム) は有限なプレイヤー集合と関数 によって定義される。この関数は特性関数 (characteristic function) とも呼ばれる。協力ゲームはプレイヤーの集合Nと特性関数vの組によって表される。協力ゲームの表現・解析には特性関数がよく用いられ、vをゲームと呼ぶこともある。
関数は、における提携それぞれに報酬を対応づけるものと解釈される。ある提携Sに対する特性関数の値v(S)はSのプレイヤーが獲得できる最良の値を表し、を提携値と呼ぶ。通常は(誰も参加しない提携への報酬を与えないこと)を仮定する。
また、提携ゲームにおける報酬とは反対に、における提携それぞれでの費用を対応づける費用関数(cost function) を用いて記述する方法もある。これを費用ゲーム(cost game)と呼ぶ。費用関数によって得られる値は提携したプレイヤーたちが支払う費用を示す。提携ゲームでの概念は費用ゲームにおける概念へ簡単に書き換えることができる。
双対性
を報酬ゲームの関数とする。 の双対ゲーム(dual game)である費用ゲームの関数 の値は以下のように定められる。
直観的に、双対ゲームは全体提携 N に参加しないことによる提携 の機会費用(opportunity cost)を表現していると考えられる。
報酬ゲームは同様に、費用ゲームの双対報酬ゲームとして決まる。 協力ゲームとその双対ゲームはいくつかの意味において等価なものであり、 それらは多くの性質を共有している。 例えば、あるゲームとその双対ゲームにおいてそのコアは等しい。 (協力ゲームの双対についての詳細は (Bilbao 2000) を参照のこと。)
部分ゲーム
ある提携ゲーム において を空でないプレイヤーの集合とする。 での部分ゲームは自ずと
と定められる。
言い換えれば、単にSに含まれる提携に制限して注目するということである。 部分ゲームは、全体提携 N に対して定められた 解の概念 を N より小さな提携に適用することを可能とするため有用である。
注釈
- ^ 単純ゲームが 「計算可能である」ことの定義は、ライスの定理に類する結果を参照。特に、任意の有限ゲームは計算可能である。
- ^ Kumabe and Mihara (2011) の Table 1 を修正。 16個ある Type は伝統的な4つの性質 (単調かどうか、プロパーかどうか、強いかどうか、拒否権プレーヤーなしかどうか) で決まる。 たとえば type 1110 とは単調 (1) でプロパー (1) で強く (1) 拒否権プレーヤーあり (0) の単純ゲームたちを指す。 その行は type 1110 ゲームのなかに、有限かつ計算不能なものが不在であり、有限かつ計算可能なものが存在し、無限かつ計算不能なのものが不在であり、無限かつ計算可能なものが不在であることをしめす。
出典
- ^ Peleg, Bezalel (2002). Chapter 8 Game-theoretic analysis of voting in committees. 1. pp. 395–423. doi:10.1016/S1574-0110(02)80012-1. ISSN 15740110.
- ^ Kumabe, Masahiro; Mihara, H. Reiju (2011). “Computability of simple games: A complete investigation of the sixty-four possibilities”. Journal of Mathematical Economics 47 (2): 150–158. doi:10.1016/j.jmateco.2010.12.003. ISSN 03044068.
- ^ Kumabe, Masahiro; Mihara, H. Reiju (2008). “The Nakamura numbers for computable simple games”. Social Choice and Welfare 31 (4): 621–640. doi:10.1007/s00355-008-0300-5. ISSN 0176-1714.
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