七枷社
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 09:58 UTC 版)
ゲーム上の特徴
格闘スタイルは、「七枷社」としては主に打撃系の技が中心で、「乾いた大地の社」としてはオロチの力、その中のひとつである大地の力による投げ技を多用する。また、「乾いた大地の社」は、開発側が“オロチチームは主人公チーム(日本チーム)に対比した形に”ということになったため、大門五郎に対比したキャラクターとなっている。なお、両者の区別のため、「乾いた大地の社」を「裏社」とも呼ぶ[6]。
通常技が強力で、特に蹴りに至っては『'97』では近距離立ち強キックが立ちガード不能にも見えるローキックなのにも拘らず、逆にしゃがみガードが不能という強力ぶりを見せたが、『'98』から以降は立ち・しゃがみの両ガード可能に修正されている。
オロチとしての社は、攻撃のリーチの長さはそのままに、投げ技を多く持つ。通常技を叩き込んで投げ技でキャンセルし、大ダメージを与えることが可能で、相手を一方的に捻じ伏せる強さを持つ。相手を掴んで無防備状態にする「くじくだいち」は動作が全体的に速く相手を捕えやすかったが、『'98』以降は遅くなった。
『'97』にて中ボスとして登場するオロチの社はガードが堅く、不用意に接近すると投げ技を決めてくる。
技の解説
技名が併記されているものは前者が「七枷社」、後者が「乾いた大地の社」としての名称である。
「乾いた大地の社」の技は日本名にキリル文字(大文字)を当てた独自の表記がなされる(概ね日本語のキリル文字表記に沿っているが一部例外あり)。これは他の四天王(ゲーニッツ、荒れ狂う稲光のシェルミー、炎のさだめのクリス)も同様。漢字表記については公表されたのが『'97』と『京』のみであるため、判明しているもののみ表記[7]。
通常投げ
- レバーブロー(Lever Blow) / БАКУ (ばく / 縛)
- 打撃投げ。相手を掴むと、上半身をひねって勢いをつけて思い切ったボディーブローで相手を殴り飛ばす。
- ハチェットスルー(Hatchet Throw) / БЕКИ (べき / 幕)
- 相手を片手だけで掴み上げて、そのまま逆方向側の地面に叩きつける。ダウン回避不可。
特殊技
- ステップサイドキック(Step Side Kick) / БУ (ぶ / 錻)
- 文字通り、ステップしながら中段の横蹴りを出す。『'97』では必殺技キャンセルが不可能だったが、『'98』からは必殺技キャンセル可能となり、この技から必殺技につなげて連続技に組み込むことができるようになった。
- リグレットバッシュ(Regret Bash) / САКУ (さく)
- 『'98』にて追加された特殊技で、前方へ踏み込みつつ全身を使って拳を振り下ろす。単体で出して当てると、発生が遅い代わりに相手を強制的にダウンさせるうえ、ダウン回避も不可。「ステップサイドキック」同様、この技から必殺技につなげて連続技に組み込むことができるほか、攻撃の際に前に大きく踏み込む分、キャンセルで出した必殺技が連続ヒットしやすくなるという利点もある。『KOF'98 ULTIMATE MATCH』(以下『'98UM』と表記)では、ダウン中の相手に追撃が可能という新たな性能が付加された。
必殺技(七枷社)
- アッパーデュエル(Upper Dual)
- ジャンピングアッパーカット。対空技だが、相手に攻撃が当たるとアッパーを2回繰り出す。技の流れは最初に地上でアッパーを出し、それがヒットすると続けてもう片方の手で2度目の攻撃となるジャンピングアッパーを繰り出す。最初のアッパーにはガードポイントがあるので、カウンターとしても強力だが、ヒット・ガードを問わず、相手に当たりさえすれば自動的に2度目の攻撃まで出てしまうため、ガードされると隙が大きい。
- ジェットカウンター(Jet Counter)
- 常人には真似できないほどのスピードで相手に詰め寄り、一撃を繰り出す突進技。『'97』では「レバーブロー」と同様に攻撃がボディーブローで、弱・強の違いも距離によるものだったが、『'98』以降は強バージョンの攻撃動作が変更され、拳を思いっきり振り下ろすような動作になった。この技のモーションは、攻撃が出るまでの移動で一瞬消えるが、移動中でもしっかり食らい判定があるため、相手の攻撃をかわすという芸当はできない。
- ジェットカウンター・スティル(Jet Counter Still)
- 『'98』にて追加された、「ジェットカウンター」後の追撃技。弱がストレートパンチ、強がアッパーカットとなる。『2002』からは、通常「ジェットカウンター」のコマンドを入力した際のボタンと同じ強さでしか出せなくなったが、最初のコマンド入力を弱と強のパンチボタン同時押しで行い、その後に強パンチボタンによる追加コマンドを入力すると、強パンチのみで出したアッパーとは別のモーションのアッパーが出る。
- ミサイルマイトバッシュ(Missile Might Bash)
- 前進しながら腕全体を横に往復で振りつつ攻撃する。『'97』では、その前述の攻撃の仕方で、フィニッシュも「レバーブロー」の攻撃部分の流用である。進む距離が短いうえに攻撃後の硬直も長い。『'98』では技のグラフィックが全て書き直され、腕全体を横に振るものから、左右の腕を使ったフックの連打に変わり、前進距離が伸びるようになり、フィニッシュも専用のアッパーモーションに変わった。そこそこ使えるものとなったが、使用する機会は少ない。『2002』では削除されているが、リメイク版の『KOF2002 UNLIMITED MATCH』(以下『2002UM』と表記)では復活している。
- スレッジハンマー(Sledge Hammer)
- 勢いよく飛び上がり、鉄鎚(かなづち)のように拳を縦に振り叩く。全ての登場作品にて使用可能。『'98』から上半身を大きくひねりながら孤を描きつつ突進するように変更されて、攻撃範囲がより広くなった。使用直後に社の足元の食らい判定がなくなるため、相手の足払いを回避しつつ攻撃が可能であり、ヒットすればダウンを奪えるが、技後の硬直が長い。
超必殺技(七枷社)
- ミリオンバッシュストリーム(Million Bash Stream)
- 「ミサイルマイトバッシュ」の強化版で、腕全体を横に振りながら攻撃する動作が多くなり、かつモーションの速度が速くなり、フィニッシュはしゃがみ強パンチ同様のアッパーになる。『'98』では発生中はボタンを連打しないと途中で強制的にフィニッシュ部分に移行してしまう。腕を横に振る動作は『'97』と『'98』ともに、それぞれの「ミサイルマイトバッシュ」の突進部分の流用である。MAX版は腕を振る回数が増え、かつ攻撃速度もかなり速くなっており、フィニッシュが「アッパーデュエル」となっている。ヒット時に与えられるダメージは「ファイナルインパクト」よりも多く、連続技用としては使えるものの、技後の隙が大きい。「ミサイルマイトバッシュ」とともに『2002』では削除されているが、リメイク版の『2002UM』ではMAX版のみ復活している。
- ファイナルインパクト(Final Impact)
- 一撃必殺の打撃技で、渾身のストレートパンチで相手を吹き飛ばす。発動後、攻撃発生までの間にボタンを押しっぱなしにすることにより溜めておくことが可能で、最大まで溜めるとガード不能になるだけでなく、溜めずに当てた時よりも遥かに大ダメージを与えられる。『'97』から存在している技ではあるが、当時のインストラクションカードには載っていなかった。また、『'97』でのこの技は、溜めている最中のモーションが『'97』と『'98』のエキストラモードでのパワーゲージためのモーションと同じであるうえに攻撃判定が発生するまでが『'98』以降のものより相当長かった。『2002』では唯一の超必殺技となり、MAX版に対応する超必殺技もこの技のみである。
- 「ERROR…」code "2002"(エラー コード トゥーサウザンドトゥー)
- 『2002』と『KOF NEOWAVE』(以下『NEOWAVE』と表記)でのMAX2で、突進系乱舞技。低く構えてから勢いよく突進して、ヒットするとロックして乱舞を見舞い、最後は「アッパーデュエル」で締める。乱舞の終盤に「ジェットカウンター」の弱と強を交互に撃ち出す。
必殺技(乾いた大地の社)
- НИРАГУ ДАЙЧИ (にらぐだいち / 淬ぐ大地)
- 投げ技。相手の両肩を使って前転しながら相手の背後に回りこんで、すばやく上に放り投げる。『'97』での動作は、相手の背後に回りこむと同時に、相手を持ち上げてバックブリーカーをきめた後、相手を持ち上げて空中投げの要領で地面に叩きつける。なお、『'98』からは性能が変わり、相手が落ちていくところに追撃することができる。
- МУСЭБУ ДАЙЧИ (むせぶだいち / 哽ぶ大地)
- 同じく投げ技。通常投げの「べき」の要領で相手を持ち上げ、相手を往復で連続3回地面に叩きつけた後に、そのまま空中投げの要領で地面に叩きつける。
- ОДОРУ ДАЙЧИ (おどるだいち / 躍る大地)
- 相手に近付いた後、すばやく後ろに回りこむと同時に抱えながらバック転のように飛び、そのままバックドロップで地面に叩きつける。
- КУЖИКУ ДАЙЧИ (くじくだいち / 挫く大地)
- 移動投げの一種のようなもので、下に腕を伸ばしながら前方に飛び、相手の頭を掴んだ後、後ろに回りこむと同時に相手の姿勢を崩し無防備にする特殊な必殺技。『'97』では相手を崩した後にそのまま必殺技を仕掛けることが可能になっているが、『'98』以降はそのまま投げを仕掛けることがやりにくくなっており、通常技からの連続技に組み込むという形でコマンド投げを仕掛けることが可能にはなっている。掴む際に相手が地上にいれば、何かの動作の最中であろうが、(投げられ判定が残る)無敵状態であろうが掴めるが、空中にいる相手は掴むことはできない。
- クリスやシェルミーも後の作品でこれに似た技を使用するようになった(ただし彼らの場合は「表」のときのみである)。
- УНАРУ ДАЙЧИ(うなるだいち)
- 『2002UM』で追加された技。両手を上に挙げ地面に大きく降り下ろし、衝撃波を出す。乾いた大地の社にとって初の打撃必殺技である。
- 強のみ中段判定である。
超必殺技(乾いた大地の社)
- АНКОКУ ЖИГОКУ ГОКУРАКУ ОТОЩИ (あんこくじごくごくらくおとし / 暗黒地獄極楽落とし)
- 製作者たちの間で「オロチチームは日本チームに対比した形に」ということになったため、社は大門に対比した技を持つことになり、「地獄極楽落とし」を基にされこの技ができた。最初の「相手を持ち上げる(1Hit)⇒そのまま離して蹴り崩しつつ地面に転ばす(2Hit)」ところが連続ヒット扱いされているなど、流れは大門の技の流れを汲む。MAX版は、フィニッシュが地面に落ちる直前にオメガ・ルガールの「ギガンティックプレッシャー」などを決めた際に出てくるのと同じ髑髏が浮かぶ気の柱を一気に放出して追撃するという形となっている。また、掴んだ際に相手を恫喝する柄の悪い台詞を放つ。
- АРАБУРУ ДАЙЧИ (あらぶるだいち / 荒ぶる大地)
- 『'97』では、相手を持ち上げた後に逆方向に叩きつけて、そのまま空中投げの要領での叩き付けを数回行ってから鉄鎚のように拳を地面に叩きつけて、そこからドクロの気の柱を出して追撃する。MAX版は最初の部分が「むせぶだいち」の3回叩きつける部分に変更されて、その後は通常版と同じ。その有効間合いの広さは、大門の「嵐の山」と並ぶ。
『'98』からは「くじくだいち」と同じ動作による移動投げに変更され、それに伴いコマンドも変更された。相手を掴んだあとはそのまま空中投げの要領で叩きつけに移行する。「くじくだいち」同様、空中の相手を掴むことはできない。空中を飛んで移動する移動投げであるため、相手の飛び道具をかわしながらこの技を決める、という使い方が可能である。 - ХОЭРУ ДАЙЧИ (ほえるだいち / 吼える大地)
- 社(「表」・「裏」ともに)の唯一の飛び道具。握り拳を地面に一瞬合わせて、そのままストレートパンチの形で、その場で気を放出する技。リーチが長い。「ファイナルインパクト」と同様にボタンを押し続けることで溜めが可能であり、最大まで溜めるとガード不能になるが、硬直時間が長く、技自体の隙が大きい。『2002』では削除されている。
- ХАРУМАГЭДОН (ハルマゲドン / Armageddon)
- 『2002』および『NEOWAVE』のMAX2で、一撃必殺の打撃技でガード不能技。力を溜めたあとに思いきり相手を殴りつけるもの。攻撃が発生するまでの溜めモーションが長い。動作中は背景が専用の一面溶岩に覆われたようなものに変わる。
その他
彩京の格闘ゲーム『堕落天使』には彼そっくりのビジュアルを持つ「壬生灰児」というキャラクターが登場するが、これは社をデザインした開発者がSNKから移り、社が採用されたとは知らずに類似したデザインを用いたためであるという[要出典]。
SNKプレイモアの携帯ゲーム『Days of Memories』では、条件を満たして進むとほかのオロチ四天王と揃って登場するが、庵と出くわした瞬間に動揺するシーンがある。
異名である「乾いた大地」については、開発スタッフのコメントとして伏字を使って由来があることが触れられており、「社はザ○ン○ル」と明かされている[8]。なお、『戦闘メカ ザブングル』のエンディング曲に「乾いた大地」という同名の曲が存在する。
『THE KING OF FIGHTERS ALLSTAR』では通常の社のほか、2019年7月30日より女体化されたプリティー・社が登場。美少女キャラクターとして登場する[9]。髪形や衣装は通常の社とほとんど変わらないが、ボトムがホットパンツになっている。
注釈
出典
- ^ 『'97 オフィシャルコレクション』 82頁。
- ^ a b “新作対戦格闘ゲーム『KOF XV』に参戦する「七枷 社」のキャラクタートレーラーが公開!”. アスキーゲーム. KADOKAWA (2021年3月25日). 2021年3月25日閲覧。
- ^ 『オロチ完結編』 112頁。
- ^ 『ザ・キング・オブ・ファイターズ'98 アレンジサウンドトラックス/SNK 新世界楽曲雑技団』 PCCB-00337(CD) ポニーキャニオン 1998年9月18日
- ^ 『オロチ編完全設定原画集』 270頁。
- ^ KOF OFFICIAL SITE 乾いた大地の社「キャラ設定裏話」
- ^ 『'97 テクニカルマニュアル』 176頁、ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ 京』。
- ^ KOF OFFICIAL SITE シェルミー「キャラ設定裏話」
- ^ “『KOF AS』チャン・コーハンが女体化。社やビリー・カーンも!”. 電撃オンライン (2019年7月22日). 2019年7月24日閲覧。
- ^ kof_allstarのツイート、2019年8月15日閲覧。
- ^ “【お知らせ】今後のアップデートに関しまして”. THE KING OF FIGHTERS for GIRLS (2020年3月13日). 2020年3月19日閲覧。
固有名詞の分類
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