ミキシング・コンソール 出力関連の仕様など

ミキシング・コンソール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/12 01:48 UTC 版)

出力関連の仕様など

DIRECT OUT

ダイレクト・アウト。フェーダー操作後の音声出力(フェーダーのワイパーからフェーダー・バッファー・アンプを経由した出力)をバス回路を経由させずに直接外部に取り出す為の出力である。用途としてはミキシング・バランスの中から特定のトラックを別の音声グループに構成してSTEMミックスとして取り出したり、バス回路を通過させずに直接レコーダーへ接続する事で、回路をいくつかバイパスさせる事による音質向上を求める際などに使用される事がある。

BUS / GROUP

混合したいくつかの音声信号を1つの信号系統にまとめるための回路[注 2]。小規模の音声調整卓でも複数のBUSが用意されており、「AUX BUS」などと呼ばれる。どのバスにどの信号をどれだけ混ぜて送るか調整し、「メイン出力 (STEREO OUT)」とは違うバランスでミキシングした音声信号[注 3]を取り出す事もできる。「Group」も「BUS」とほぼ同じ概念だが、「Group」は最終の「メイン出力」をミックスする「前段階」的な配置(同義語としてSTEMミックス)になっており、ミキサーの規模により数が異なるが4 - 32のGroupにまとめられた信号を、各Groupのグループ・マスター・フェーダーが並んだ「マスター・セクション」で最終的なミキシングを行い、「メイン出力」を調整して作り出したり、別々の音声トラックとして使用する。「Group」はマルチトラック・レコーダー (MTR) への出力に使われたり、PA用途では楽器群のまとめ、ドラムスに立てた10本のマイクロホン信号を1 - 2本のGroupにまとめておくなどの使い方にもよく利用される。

TAPE / GROUP / MONITOR

この部分はパッチ・ベイ上での表記を元とするが、コンソール上やパッチ・ベイ上での表記方法はコンソールの生産国やメーカー毎に微妙に異なっている場合があるので、機種毎の確認は必要となってくる。

TAPE

各種マスター・レコーダーやマルチ・トラック・レコーダーからの入出力がRouting上にある場所に対して「TAPE」という表記になっている場合が多く、このパッチング・ポイントは「TAPE IN」という概念で各種レコーダーへの入力ポイントとして扱われている事が多い。

GROUP

Solid State Logic社製コンソールの場合1 - 32 chの「BUS OUT」が「GROUP」という黄色いラベルの貼られたパッチ・ポイントにあたり、レコーダーへの入力用出力としてだけではなく、チャンネル・モジュールへのダイナミクス系制御用サイド・チェーン入力用としての出力取り出しポイントとしても使われる。

MONITOR

このポイントはインライン型及びスプリット型コンソールのどちらにも存在するパッチング・ポイントとなるが、コンソールのモニター・セクションへの入力用パッチングさせるためのポイントとなっている。Solid State Logic社製などのインライン型コンソールの場合にはMASTER SECTIONでのステータスによって、音声信号が立ち上がる場所は変わってくるため、SMALL FADERに立ち上げたいのかLARGE FADERに立ち上げたいのかはその都度変わるため、このMONITORという表記のパッチング・ポイントに入力した音声信号の行き先はステータスとの相関関係にある。

MATRIX

マトリックス。大規模ホールなどで採用されているPA用ミキサーコンソールに付加されていたり、連絡系に使用するミキサーにある機能。多数のAUX BUSで、バランスやミックスされた信号に内容の違いを作った上で、送出先(ホール外のロビーやホワイエ・楽屋・舞台照明操作室・舞台設備操作室など)によって、どのBUSの信号を送り出すかをスイッチで操作する機能。


注釈

  1. ^ ソロとは各チャンネル・モジュールで取り扱っているオーディオ信号の単独試聴する為に設けられている機能。このスイッチを押す事によって、他のチャンネルが自動的にミュートされ、ソロで選ばれたチャンネルだけを聴く事が可能になる。
  2. ^ 「BUS」は「乗合バス」と同義。
  3. ^ 例:エフェクターへの信号・ステージ・モニター・スピーカーへの信号
  4. ^ パッチベイで用いる比較的短い機器間接続用ケーブルを特にパッチ・ケーブルと呼び、接続関係が判りやすい様に色分けされている場合が多い。
  5. ^ デジタル式の機種ではプログラムした設定値が瞬断で消えることがあるので、無停電電源装置 (UPS) を用いるのが無難である。
  6. ^ 即興のDJ ミックスとは、いわゆる「リアルタイムリミックス」を指す。

出典

  1. ^ "VUメーター". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2023年12月12日閲覧
  2. ^ IEC 60268-17:1990 Sound system equipment. Part 17: Standard volume indicators
  3. ^ 半粟澤公一著、『図でわかるPAの基本』、誠文堂新光社、2011年12月20日発行、ISBN 9784416311202、128頁






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