マラ・サルバトルチャ 概要

マラ・サルバトルチャ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/27 04:28 UTC 版)

概要

カリフォルニア州ロスアンゼルスのピコ・ユニオン地区にてエルサルバドル内戦後に内戦から逃げる為に難民としてアメリカに移民したエルサルバドル人達の戦争孤児達により、恐らく1970年代後半〜1980年頃に結成された。結成当初はヘヴィメタルを好みストーナー文化を好む軟派な不良集団であったという。当初の結成の目的はロスアンゼルスにはすでにメキシコ系、アジア系、アフリカ系などの他の人種によるギャング集団がおり、そのギャング集団からエルサルバドル人の移民達を自警する事であった。1990年までに政情不安定なエルサルバドルとグアテマラからの亡命者がアメリカに増加し多くの若者がメンバーになったとされている。組織メンバーは失業した元兵士の若者や元少年兵も多くいた。1992年のエルサルバドル内戦終結後に多くのメンバーが逮捕されたり、アメリカからエルサルバドル本国に強制送還された。強制送還されたメンバーの多くはエルサルバドル本土を中心に他の中央アメリカ諸国にも進出し組織が拡大していった。

組織はエルサルバドルを中心にメキシコグアテマラホンジュラス及びその他の中央アメリカ諸国出身者などで占められている。組織の内部はいくつかの排他的なグループや派閥があり、2017年の時点でアメリカ大陸に3万人の構成員が存在するとされる[1]。組織メンバーには失業した内戦中、兵士だった若者や元少年兵なども多くおり、内戦終了後も 不安定な政情や内戦の影響での経済の悪化や貧富の格差による貧困や失業などから組織に入る若者が増えているとされている。

現在、マラ・サルバトルチャの構成員はアメリカ及びエルサルバドルだけに留まらずメキシコホンジュラスグアテマラベリーズパナマスペインなどでもその存在が確認されておりその活動が活発化している。

犯罪組織としての活動は麻薬密輸、ブラックマーケットにおいての銃の不法販売、不法入国、殺人の請負、窃盗などを行い、さらには当局に対しても好戦的な活動を行っている。それを全て取り仕切っていたのは、マラ・サルバトルチャの歴史の中でもっとも最悪と恐れられていたMKであった。MKはアジアを中心に麻薬、人身売買、銃の販売をおこなっていた。

組織のコミュニケーションのジェスチャーの一つに人差し指と小指を立てて逆さまに表示されると「M」を形成する「デビルズ・ヘッド(devil's head)」と呼ばれる手の記号がある。結成当初、マラ・サルバトルチャの創設者がヘヴィメタルのコンサートに参加した時、ヘヴィメタルバンドやヘヴィメタルファン達がこの手のポーズのジェスチャーをやっていた事から、組織でもこのジェスチャーを採用してやる様になったとされている。

組織の「マラ・サルバトルチャ」の名前の語源の由来には様々な説があり論争となっているが、エルサルバドルの首都サンサルバドルの通りのラ・マラ(La Mara)と「サルバトルチャ」の用語はエルサルバドル内戦のファラブンド・マルティ民族解放戦線の農民ゲリラの訓練への言及から由来するなどと言われている。なお、メンバーにはファラブンド・マルティ民族解放戦線の元農民ゲリラだった者もいる。さらに「マラ」はカリシェ・スラングのギャングを意味し、スペイン語でグンタイアリを意味する「マラブンタ(marabunta)」から取られている。またエルサルバドルのスペイン語読みを意味するサルバドル(Salvadoran)と中央アメリカのスペイン語の方言カリシェで警戒するを意味するトルチャ(trucha)の組み合わせの意味も持っているなど示されている。

なお、“13”とはカリフォルニア南部のラテン系ギャングの連合体スレーニョスを総括するプリズンギャング、メキシカン・マフィアに忠誠を誓う組織の証である(Mがアルファベットの13番目であるため)。組織が他ヒスパニック・ギャングとの抗争を経て成熟し始めた頃、メキシカン・マフィアより服従か死かの選択を迫られた後、1993年にスレーニョスへと加入する事となったという。また、マラ・サルバトルチャへの加入を志願する者は13秒間メンバーから袋叩きにされる、という儀式を経てメンバーとなる。

エルサルバドル内でも、他の組織との抗争は生じている。2019年12月14日には、刑務所内で収容されていた構成員5人が別の収容者から襲撃を受けて殺害されている[2]

同じくピコ・ユニオン地区にて結成されたエイティーンス・ストリート・ギャングとは結成初期は友好的な関係にあったとされるが、現在では恒久的な対立状態にある。




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