マイヤー・ヴィートリス完全系列
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/29 14:29 UTC 版)
簡単な応用例
超球面
k-次元球面 X = Sk のホモロジーをきちんと計算するために、A および B をそれらの交わりが (k − 1)-次元赤道球面にホモトピー同値な X の二つの半球面とする。k-次元半球面は k-次元円板にホモトピックで、これは可縮だから、A および B のホモロジー群は自明である。簡約ホモロジー群に対するマイヤー・ビートリス完全系列から
マイヤー・ヴィートリス完全系列のもう少しだけ難しい応用として、クラインの壷 X のホモロジー群の計算を挙げよう。二つのメビウスの帯 A, B をそれらの境界円にそって貼合せた和として X を分解すれば、A, B およびそれらの交わり A ∩ B は円にホモトピー同値であるから、マイヤー・ヴィートリス完全系列の非自明な部分は
位相空間 X を二つの空間 K および L の一点和 (wedge sum) とし、さらにそれらの同一視された基点は U ⊂ K および V ⊂ L なる開近傍の変位レトラクトであるものとする。 このとき A := K ∪ V および B = U ∪ L とおけば A ∪ B = X かつ A ∩ B = U ∪ V で、後者は作り方から可縮である。簡約版のマイヤー・ヴィートリス完全系列から(その完全性により)各次元 n に対して
位相空間 X が別の空間 Y の懸垂 SY のとき、A および B をそれぞれ二重錐の上点 (top vertex) および下点 (bottom vertex) の X における補集合ととれば、X は共に可縮な A, B の和 A ∪ B として書けて、交わり A ∩ B は Y にホモトピー同値であるから、マイヤー・ヴィートリス完全系列により、各 n に対して
を得る[18]。図は一次元球面 X を零次元球面 Y の懸垂と見たものだが、一般に k-次元球面は (k − 1)-次元球面の懸垂になっており、上掲の球面のホモロジー群を帰納法によって導くことも容易である。
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- ^ Mayer 1929
- ^ Dieudonné 1989, p. 39
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- ^ Hatcher 2002, Example 2.46, p.150
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- ^ Hatcher 2002, Exercise 31
- ^ Hatcher 2002, Exercice 32
- ^ Hatcher 2002, p. 152
- ^ Massey 1984, p. 208
- ^ Eilenberg & Steenrod 1952, Theorem 15.4
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- ^ Hatcher 2002, Proposition 2.21, p.119
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- ^ Kōno & Tamaki 2006, pp. 25–26
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- ^ Verdier 1972 (SGA 4.V.3)