ホルスの4人の息子 イムセティ

ホルスの4人の息子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/21 09:21 UTC 版)

イムセティ

イムセティ (Imsety)
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iim
z
tii

イムセティは、人間の頭を持ち、死者の肝臓を守り、一方で女神イシスに守護される。ホルスからは、「持ち上げろ」と命じられており、死者を復活させるのを助ける役目を担っていたと見られる。

「お前は N のところに来た。来て我が父 N を持ち上げてその下にあり、イムセティの名の下に離れずにいよ」[11]

起き上がることは生きていることを意味し、横たわっていることは死を意味すると見られる。

死者の書の第151章では、イムセティが次のような言葉を発するとされている。

私はあなたを守るために来た。私はプタハの命に従い、またラーの命に従い、あなたの家を長く栄えさせる。[10]

ここでも家を栄えさせるという暗喩で甦らせることを示している。ここでは、プタハラーの権威に基づいてそれを行うことになっている。

死者の書の第148章でホルスの4人の息子と4方位が対応付けされている。イムセティは南に対応する。

ドゥアムトエフ

ドゥアムトエフ (Duamutef)
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N14G14t
f
orN14
D37
t
f

ドゥアムトエフは、ジャッカルの頭を持ち、死者のを守り、一方で女神ネイトに守護される。彼の役目は死者を礼拝することと見られ、その名の意味は「母を礼拝する者」である。コフィン・テキスト英語版(棺に書かれた文書)では、ホルスが次のように呼びかけている。

「私のために来て我が父 N を礼拝せよ。ちょうどあなたがドゥアムトエフの名のもとに我が母イシスを礼拝したように」[12]

ここに明らかになったようにイシスには2つの役割があり、若干混乱させられる。一般にイシスはオシリスの妻でホルスの母だが、同時にホルスの配偶者でもあり、従ってホルスの息子たちの母でもある。ドゥアムトエフは、ホルスではなくオシリスを父と呼ぶようになり、さらに曖昧となっていった。

死者の書の第151章では、ドゥアムトエフが次のような言葉を発するとされている。

私は我が父オシリスを傷つける者から守るために来た。[10]

この文書では、オシリスを傷つけるのが誰なのか明らかにされていないが、考えられる候補は2人いる。まず1人はセトで、実際にオシリスを殺したという神話がある。母であるイシスを礼拝する息子は、どういうわけかセトに打ち勝つ助けになるとされている。別の候補はヘビの姿をした悪魔アペプで、太陽の運行を妨げることからオシリスの復活も妨げるということになる。いずれにしてもドゥアムトエフは、イシスを礼拝することで死者を守る力を持ったと見られる。

彼もシューの天の支柱の1つ、天国の梯子の1つとされており、東に対応付けられている。

ケベフセヌエフ

ケベフセヌエフ (Qebehsenuef)
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W15snsnsnf

ケベフセヌエフは、ハヤブサの頭を持ち、死者のを守り、一方で女神セルケトに守護される。その役目は死者に元気を与えることと見られ、その名は「同胞に献酒する者」を意味する。ホルスは、彼に次のように命じている。

「来て我が父を元気付けよ。ケベフセヌエフの名のもとに彼に仕えよ。あなたは来て、彼のために涼しさを生み出すだろう」[13]

献酒や冷たい水をかけることは、古代エジプトでの伝統的な礼拝形式だった。ファラオが神に献酒する様子を描いた絵が多数存在する。これには、浄化と元気付けという2つの意味があった。

死者の書の第151章では、ケベフセヌエフが次のような言葉を発するとされている。

私はあなたの骨を集め、内臓を集め、心臓をもたらし、それをあなたの体のその場所に置くために来た。[10]

セトオシリスを殺した後、その死体を隠すために切り刻みナイル川のデルタ地帯にそれをばらまいた。古代エジプトでは、これは復活を妨げる呪いであり、ケベフセヌエフが身体の部分を集めると言っている背景には、その考え方がある。

ケベフセヌエフは西に対応付けられている。


  1. ^ a b Aufderheide 2003, p. 258.
  2. ^ Aufderheide 2003, p. 237.
  3. ^ British Museum, Synopsis of the Contents of the British Museum, R. & A. Taylor 1855, pp.201ff.
  4. ^ Assmann 2005, p. 357.
  5. ^ Eyma 2003, p. 218.
  6. ^ Assmann 2005, p. 467.
  7. ^ Griffiths 1961, p. 49.
  8. ^ Lurker 1974, p. 104.
  9. ^ Faulkner 2004, p. 521.
  10. ^ a b c d Faulkner 2004.
  11. ^ Faulkner 2004, p. 520.
  12. ^ Faulkner 2004, p. 522.
  13. ^ Faulkner 2004, p. 523.






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