プリント基板 プリント基板の概要

プリント基板

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/21 02:58 UTC 版)

DVDプレーヤー内のプリント基板。緑色のプリント基板が多用されるのは製造、検品時の目の疲れを軽減できるためであると言われる。
  • 絶縁体でできたの上や内部に、導体の配線が施された(だけの)もの。電子部品が取り付けられる前の状態。プリント配線板PWB = printed wiring board)と呼ばれる。
  • (上記の板に)電子部品はんだ付けされ、電子回路として動作するようになったもの。プリント回路板PCB = printed circuit board)と呼ばれる。電気製品の主要な部品の1つである。

概要

Albert Hanson の特許(英国特許4681号、1903年)が、世界最初の配線板のアイデアとされている。その後、金属箔エッチングによるパターン成型(Arthur Berry 英国特許14699号、1913年)等を経て、オーストリア人の発明家パウル・アイスラー(Paul Eisler)が考案した配線手法である。日本においては1936年(昭和11年)に成立した日本初のプリント配線板の特許が起源となる[1][2]集積回路抵抗器コンデンサー等の多数の電子部品を表面に固定し、その部品間を配線で接続することで電子回路を構成する板状またはフィルム状の部品。狭義には部品を含まない基板だけを指すが、広義には基板に電子部品を実装した状態も含む。主に、基材に対して絶縁性のある樹脂を含浸した基板上に、銅箔など導電体で回路(パターン)配線を構成する。いわゆるプリンテッドエレクトロニクスの一種であり、スクリーン印刷フレキソ印刷グラビア印刷インクジェットオフセット印刷など様々な印刷技術が駆使されている。

用語はJIS規格のJIS C 5603で以下のように定義されている。また、その参照元であるIECが制定したIEC 60194でも同様である。

プリント回路 (printed circuits)
プリント配線と、プリント部品及び(又は)搭載部品とから構成される回路。
プリント配線 (printed wiring)
回路設計に基づいて、部品間を接続するために導体パターンを絶縁基板の表面又は表面とその内部に、プリントによって形成する配線又はその技術。
プリント回路基板 (printed circuit board)
プリント回路を形成した板。プリント回路実装品 (printed circuit assembly) ともいう。
プリント配線基板 (printed wiring board)
プリント配線を形成した板。
プリント板 (printed board)
プリント配線板の略称。

これによるとプリント配線板(もしくはプリント板)が「電子部品がはんだ付けされておらず、配線だけの状態のもの」(ベアボード)、プリント回路基板(もしくはプリント回路実装品)が「電子部品がはんだ付けされて、電子回路として動作するようになったもの」と定義されることになる。実際にはプリント配線板のことをプリント基板、または単に基板と呼ぶ。生板(なまいた)、生基板(なまきばん)などの呼称もあるがこれは俗称である。プリント回路板のことはユニット、ボード、モジュール、パッケージ、アッシーなどの別名をあてることも多い。また、JISでの用語が示すとおり日本語における漢字表記は基であり、基は誤りである。

同様に英文でも頭文字をとってPWBが基板単体、PCBが基板に部品を実装した物を指すことになるが、明確に使い分けをする場合も有る一方、混同して使用される、もしくは部品の実装の有無に関わらず一方のみを使用する例も有る。PCBは有害物質「ポリ塩化ビフェニル」の略語PCBとの混同を受けることが有る[3]

またプリント基板に関する標準規格は、IPCAssociation Connecting Electronics IndustriesJPCA(日本電子回路工業会)KPCA(韓国電子回路産業協会)TPCA(台湾)、CPCA(中国)などがある。

グローバル市場の状況

世界全体のプリント基板メーカーは2014年時点で約2500社あり、このうち中国メーカーは1200社以上、次いで韓国・台湾・日本メーカーでほとんどのシェアを占めている。中国は世界最大のプリント基板生産地となっている。2012年のプリント基板の世界市場は約4兆円、プリント基板材料は約2兆円、およびその実装関連製品・装置は約2兆円規模となっている[4]


  1. ^ 特許第119384号「メタリコン法吹着配線方法」、産業技術史データベース、産業技術史資料情報センター
  2. ^ 世界最初のプリント配線の回路
  3. ^ Circuit board or wiring board?” (英語). University of Bolton. 2008年11月16日閲覧。
  4. ^ 世界の半導体実装関連市場(富士キメラ総研)”. 2014年3月14日閲覧。
  5. ^ a b c d 見てわかる高密度実装技術 前田真一 工業調査会。
  6. ^ 赤塚, 正志. “金めっきに潜む 問題点”. 赤塚正志によるプリント基板のやさしい教科書 プリント基板の基礎入門 カテゴリー: 目からウロコの 鉛フリーのお話. 2024年4月26日閲覧。
  7. ^ 超初心者向けプリント基板の基礎知識:表面処理”. プリント基板製造BLOG. MEIKO Labo (2022年10月7日). 2024年4月26日閲覧。






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