ニレ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 00:31 UTC 版)
ニレ属 | ||||||||||||||||||
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セイヨウハルニレ (Ulmus glabra 'Lutescens')
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分類 | ||||||||||||||||||
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種 | ||||||||||||||||||
本文参照 |
形態
広葉樹であり、かつ基本的に落葉樹だが、南方に分布する一部に半常緑樹のものがある。樹高は10m未満のものから大きいと40mを超すものまである。最大種は中米の熱帯雨林に分布するUlmus mexicanaという種で樹高80mに達する。樹形は比較的低い高さから幹を分岐させ、同科のケヤキ(ニレ科ケヤキ属)などとよく似る種が多いが、比較的真っ直ぐ幹を伸ばすものもある。樹皮は灰色がかった褐色で縦に割れる種が多いが、一部に平滑なものもある。
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幹が低い位置から分枝する独特の樹形 Ulmus americana
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多くの種は秋に紅葉(黄葉)し落葉する U. minor
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真っ直ぐ伸びやすい種や個体も U. minor
枝は真っ直ぐでなく左右にジグザグに伸びる(仮軸分岐)。葉は枝に互生し、葉の基部は左右非対称になることが多い。葉は先端に向かうにつれて急に尖る。オヒョウのように複数の先端を持つものも多い。葉脈の形態は中央の1本の主脈から側脈が左右に分岐する形(羽状脈)である[3]。ニレ科でもエノキ属 (Celtis)、ウラジロエノキ属 (Trema)、ムクノキ属 (Aphananthe)などは主脈が3本に見える三行脈である[3]。ただし、これらは最近はニレ科でなくアサ科に入れることが多い。葉の縁には鋸歯を持つ。ニレ属は二重鋸歯と呼ばれる鋸歯を持ち、大きな鋸歯同士の間に小さい鋸歯を挟む。これに対し、ケヤキ属は普通の鋸歯である。
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枝はジグザグに伸びるU. davidana
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葉は互生 U. minor
花は両性花、花粉の散布方式は風媒であり花は地味である。種子は扁平な堅果で膜質の翼を持つ[3]。
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早春に咲くU. minorの花
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U. minorの花
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若い果実 U. minor
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種は膜状の翼を持つ U. minor
生態
斜面下部、谷沿い、川沿いなど湿潤で肥沃な所を好む種が多い。また、陽樹であり日当たりを好む。花は風媒花であり、ほとんどの種類は春に花を咲かせる。種によって芽吹く前に花を付けるもの、芽吹いた後花を付けるものがある。一部の種類は秋に花を付ける。果実は開花後数週間で熟す。種子は風散布、萌芽更新、倒木更新もよく行う。
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萌芽更新で巨大化した U. minorの群落
何種類もの昆虫がニレの色々な部分を餌として利用している。
- ^ a b c d e 辻井達一 1995, p. 135.
- ^ 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、202頁。ISBN 4-522-21557-6。
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- ^ 古代エジプト人、痛恨のミス 日本の科学がツタンカーメンに挑む|中東解体新書| - NHK
- ^ 漬物ポータルサイト:全日本漬物協同組合連合会
- ^ a b ジョンソン et al. 2014, pp. 178–181.
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- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ulmus procera Salisb. オウシュウニレ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年2月19日閲覧。
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