スタートレック 作品の概要

スタートレック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 01:24 UTC 版)

作品の概要

このフランチャイズの主要な構成は、宇宙船もしくは宇宙ステーションで活動する登場人物(地球人のみならず異星人も含む)が、艦長や司令官の指揮のもとに様々な困難を乗り越えて活躍し、未知の生命体や文明と交流していくというものである。これらの登場人物と、習慣や価値観の異なる異星人や、不可思議な宇宙現象との遭遇等が絡みあい、ドラマが繰り広げられる。

時代設定

時代は作品ごとに違うが、おおむね22世紀から24世紀の話である。地球人は銀河系内の約4分の1の領域に進出しており、様々な異星人と交流しながら、残りの領域の探索を進めている。地球からは貧困や戦争などが根絶されており、見た目や無知から来る偏見、差別も存在しない、ある意味で理想的な世界と化している。貨幣経済はなくなり、人間は富や欲望ではなく人間性の向上を目指して働いているとされる。 

地球は統一政府「地球連合(United Earth)」に統治され、150個ほどの星系とともに惑星連邦(United Federation of Planets)という連邦国家を形成しており、宇宙艦隊を編成して銀河系の探査や学術調査、外交、治安維持等の任務にあてている。惑星連邦の本部はパリにあり、宇宙艦隊の本部はサンフランシスコにある。惑星連邦内では軍事力を伴った紛争がほぼ根絶されたが、他の星間国家との間ではそうはなっていない。クリンゴン帝国ロミュラン帝国カーデシア連合などの侵略的な星間国家との関係は必ずしも良好ではなく、武力行使を含めた外交の駆け引きが繰り広げられている。『スタートレック:エンタープライズ』では惑星連邦設立以前の時代を描いているが、他の作品に出てくる星間国家や異星人が登場しており、フランチャイズとしての一貫性が保たれている。また、銀河系の一部しか知られていないという設定のため、後の作品では既成の事実や知識となっている未知の異星人や、天文現象と初めて遭遇するパターンも多く使われている。『スタートレック:ディスカバリー』第3-4シーズンでは、地球連合やバルカン星などが脱退し、惑星連邦が瓦解した32世紀の世界が描かれている。

共有される設定

長く作品が製作され続けるフランチャイズでは、これまでの作品を「なかったこと」にして、複雑化した設定を一新することがよくあるが、このフランチャイズではほとんどすべての作品が同じ宇宙を共有している。そのため、これまでに製作されたテレビドラマ・テレビアニメはすべて『宇宙大作戦』から見て過去または未来の出来事である。一方で、作品の根幹としてマルチバースの概念が取り入れられており、物語の主軸として描かれている宇宙とは異なる平行宇宙(いわゆるパラレルワールド)が登場する話もある。映画第11作から映画第13作まではいわゆるリブート作品であり、『宇宙大作戦』とは別の宇宙が舞台となっているが、タイムトラベルの影響で異なる歴史が生じた平行宇宙を舞台にするという設定により、フランチャイズとしての連続性が保たれている(『宇宙大作戦』から始まる宇宙は別に存続しており、これまでの作品の出来事が書き換えられたわけではない)。

このほか、『宇宙大作戦』第33話「イオン嵐の恐怖英語版」が初出となる「鏡像宇宙」は、地球が惑星連邦ではなく侵略的なテラン帝国を形成した宇宙である。また、同じ宇宙の中においても、『新スタートレック』第63話「亡霊戦艦エンタープライズ'C'英語版」などで描かれているように、タイムトラベルの影響で異なる歴史が生じたタイムラインがいくつも存在している。『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』第37話「宇宙の原型英語版」では宇宙に内包されるかたちで別の宇宙が発見されるなど、この作品の宇宙は多元多層の非常に複雑な構成になっている。

登場する異星人にはヒューマノイド型の異星人が多い。これは元々の遺伝子が同じものであったからということが『新スタートレック』で語られている。クリンゴン人を始めいくつかの種族には独自の言語が設定されているが、高性能な宇宙翻訳機があるため、基本的にどの星の人とも英語で会話ができる(フェレンギ人が過去の地球に囚われてしまった話では、翻訳機が頭に埋め込まれていることを示唆する描写がある)。未知の言語であっても普通はコンピューターが短時間で解析し翻訳できるようになるが、一部の特殊な言語を持つ種族に対しては翻訳が不能であるなど例外もある。22世紀ではまだ翻訳機の性能が低く、意思疎通に苦労することも多い。


注釈

  1. ^ 日本でのテレビ放送権を持つ東北新社が中黒なし、ソフト販売と映画配給を行うパラマウント映画が中黒ありを用いているため、同じ作品でも媒体によって邦題が異なる場合がある。たとえば、『スタートレック:ディスカバリー』は映像ストリーミング時は中黒ありだったが[1]、テレビ放送時は邦題とロゴから中黒が取り除かれている[2]
  2. ^ 2006年に、新たな作品として"Star Trek: Final Frontier"が企画されていた[15][16]ウェブ配信によるアニメーション作品で、26世紀のU.S.S.エンタープライズが活躍するという内容であった[15]。作中の設定やキャラクターデザインも出来上がっており、5話分の脚本も完成していたが、リブート映画の製作が優先されたために結局はお蔵入りとなった[16]
  3. ^ ただし、フォード大統領は決定に投書が与えた影響について特に言及しておらず、ただ「『エンタープライズ』という名が気に入っている」からだと述べている[20]
  4. ^ 当初の原題は『Star Trek』だったが、他作品との区別のため変更された(レトロニム)。
  5. ^ 再放送では長編が分割され178話である。
  6. ^ 再放送では長編が分割され176話である。
  7. ^ 再放送では長編が分割され172話である。
  8. ^ 当初の原題は『Enterprise』だったが、第3シーズンから『Star Trek』を冠するよう変更された。
  9. ^ 再放送では長編が分割され98話である。
  10. ^ a b アメリカ、カナダ以外の国々ではNetflixが第1シーズンから第3シーズンまでを配信していたが、第4シーズン開始直前の2021年11月17日をもって全シーズンが配信停止となった[23]。アメリカ、カナダ以外の国々での配信は、2022年以降に順次世界展開するParamount+、および日本でのGoogle TVなど各国での種々の配信サービスで行われる。
  11. ^ a b たとえば、『スタートレックパラマウント社公認オフィシャルデータベース』には「本章ではTVと映画の両シリーズ(ただしアニメ版は除く)の設定上の歴史を、STの正史として解説を行っていく」と記述されている[25]
  12. ^ 当初の原題は『Star Trek』だったが、他作品との区別のため変更された(レトロニム)。
  13. ^ 2023年12月25日より日本でも配信されたが音声・字幕とも日本語対応はされておらず、プロフィールの言語を日本語以外にしないと検索・視聴できない
  14. ^ a b c d e f g h i j k アーカイブ出演。
  15. ^ a b アーカイブ出演。ナレーションのみ。
  16. ^ 第1シーズンは ゲスト。第2シーズンでリカーリング。
  17. ^ 第1シーズンは "C" 扱い。
  18. ^ 転送事故による複製としての登場。
  19. ^ 声の出演のみ。
  20. ^ 鏡像宇宙の人物としての登場。
  21. ^ 本人および流動体が変身した偽物として登場。
  22. ^ 第1シーズンは "Recurring" 扱い。
  23. ^ 第1シーズンは "Recurring" 扱い。
  24. ^ 第2シーズンは "Recurring" 扱い。
  25. ^ 第3シーズンは "Recurring" 扱い。
  26. ^ 第1シーズンは "Recurring" 扱い。
  27. ^ 訓練用ホログラムとしての登場。
  28. ^ 映像のみ。
  29. ^ 劇中でマッコイであることは明言されていない。
  30. ^ 映画第3、4、6作のみ出演。
  31. ^ ナレーションのみ。
  32. ^ 老スポック役。
  33. ^ 後続作品によれば、21世紀にも優生戦争は勃発し、第二次南北戦争や第三次世界大戦のきっかけとも言われている。
  34. ^ この時代の前後から『Star Trek Online』のタイムラインと分岐する。
  35. ^ メタネタないしは夢オチ

出典

  1. ^ スター・トレック: ディスカバリー - Netflix”. Netflix. 2021年9月28日閲覧。
  2. ^ スタートレック ディスカバリー シーズン1”. 海外ドラマ専門チャンネル スーパー!ドラマTV. 2021年9月28日閲覧。
  3. ^ Roddenberry, Gene (1964年3月11日). “Star Trek Pitch” (英語). 2016年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月31日閲覧。
  4. ^ マイケル・オクダ『スタートレックエンサイクロペディア 完全日本語版 スタートレックBOOKスペシャル』ダイエックス出版、2003年。ISBN 978-4-8125-1872-4 
  5. ^ Shatner, William (2008). Up Till Now: The Autobiography. New York: Thomas Dunne Books. pp. 119. ISBN 978-0-312-37265-1 
  6. ^ a b Davies, Máire Messenger; Pearson, Roberta (2007). NBC: America's network. Berkeley: University of California Press. pp. 209–223. ISBN 978-0-520-25079-6 
  7. ^ Solow, Herbert F.; Justman, Robert H. (1996). Inside Star Trek: The Real Story. New York: Pocket Books. pp. 377–394. ISBN 978-0-671-89628-7 
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  10. ^ Burns, Jim (1976). “The Star Trek movie”. Starlog (2): 13. https://archive.org/stream/starlog_magazine-002/002#page/n12/mode/1up. 
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  13. ^ Harmetz, Aljean (1986年11月2日). “New 'Star Trek' Plan Reflects Symbiosis of TV and Movies”. The New York Times: p. 31. https://www.nytimes.com/1986/11/02/arts/new-star-trek-plan-reflects-symbiosis-of-tv-and-movies.html?pagewanted=all 2015年2月11日閲覧。 
  14. ^ Erdmann, Terry J.; Paula M. Block (2000-08-01). Deep Space Nine Companion. ISBN 978-0-671-50106-8 
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  16. ^ a b Star Trek: Final Frontier” (英語). Memory Alpha. 2022年5月7日閲覧。
  17. ^ Alex Kurtzman To Shepherd 'Star Trek' Franchise Expansion Under New 5-Year Overall Deal With CBS TV Studios”. Deadline (2018年6月19日). 2019年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月7日閲覧。
  18. ^ @StarTrekOnPPlus (2023年3月30日). "Star Trek: #StarfleetAcademy is coming to @ParamountPlus! From executive producers @Alex_Kurtzman and @NogaLandau, the series will follow the adventures of a new class of Starfleet cadets as they come of age in one of the most legendary places in the galaxy. #StarTrek". X(旧Twitter)より2023年3月31日閲覧
  19. ^ Oscar Winner Michelle Yeoh (Finally) Returns in STAR TREK: SECTION 31 Paramount+ Original Movie Event”. 2023年4月18日閲覧。
  20. ^ Lewine, Frances (1976年9月6日). “Star Trek Fans Win on Space Shuttle”. The Lewiston Daily Sun: p. 20. https://news.google.com/newspapers?id=JGIgAAAAIBAJ&pg=2595,1284578 2011年5月5日閲覧。 
  21. ^ JPL Small-Body Database Browser”. ジェット推進研究所. 2019年8月14日閲覧。
  22. ^ JPL Small-Body Database Browser”. ジェット推進研究所. 2019年8月14日閲覧。
  23. ^ Patten, Dominic (2021年11月16日). “‘Star Trek: Discovery’ Exits Netflix Tonight; Set For 2022 Launch On Paramount+ Globally”. Deadline. 2021年11月16日閲覧。
  24. ^ Bailey, Kat (2022年1月18日). “Star Trek: Discovery Renewed For Season 5 Amid a Flurry Of New Release Dates”. IGN. 2022年1月18日閲覧。
  25. ^ 岸川靖『スタートレックパラマウント社公認オフィシャルデータベース』ぶんか社、1998年、22頁。ISBN 978-4-8211-0570-0 
  26. ^ Shows and Movies” (英語). Star Trek. 2022年3月30日閲覧。
  27. ^ Otterson, Joe (2019年2月13日). “‘Star Trek’ Animated Kids Show in the Works at Nickelodeon – Variety”. Variety. 2019年2月17日閲覧。
  28. ^ How to Watch Star Trek: Prodigy Now That It's Been Removed From Paramount+”. gizmodo. 2023年6月30日閲覧。
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  30. ^ Star Trek: Lower Decks Transports to Amazon Prime In Multiple International Territories” (英語). Star Trek. 2020年12月17日閲覧。
  31. ^ Zalben, Alex (2021年9月9日). “'Star Trek: Prodigy' Reveals October Premiere Date, Full Trailer”. Decider. 2021年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月10日閲覧。
  32. ^ ‘Star Trek: Prodigy’ Reveals October Premiere Date, Full Trailer” (英語). Decider (2021年9月9日). 2021年9月9日閲覧。
  33. ^ 'Star Trek: Prodigy' First Look Reveals A Whole New Janeway And More Show Details”. TrekMovie.com (2021年4月5日). 2021年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月6日閲覧。
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  35. ^ 公式サイトのオフィシャルライセンス契約を伴わないファンムービーに関する記載
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  39. ^ Star Trek Online Starships Make Worldwide Debut in Star Trek: Picard5D. 2022.3.3.
  40. ^ HOW STAR TREK: PICARD SEASON 2 FIXED ITS BIGGEST STARSHIP CONTROVERSYINVERSE 2022.3.4.
  41. ^ Star Trek Online公式twitter2022.3.3.
  42. ^ 本作の開発スタッフであるトーマス・マローンのtwitter発言2022.3.3.
  43. ^ 『スタートレック:ピカード』のプロダクションデザイナーであるデイヴ・ブラスのtwitter発言2022.3.4.
  44. ^ Trekspere.comのtwitter発言2022.3.4.
  45. ^ The ‘Abramsverse’ Is No More | TREKNEWS.NET”. TREKNEWS.NET (2016年6月23日). 2019年8月14日閲覧。






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