サン・マイクロシステムズ フリーソフトウェアとの関係

サン・マイクロシステムズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/05 13:06 UTC 版)

フリーソフトウェアとの関係

SunOSは、BSD版UNIXを基にしたもので、このBSD版UNIXのライセンスはGPLの基になったフリーソフトウェアライセンスであった。

当初のBSD UNIXはAT&Tのライセンスを必要としたが、独自のコードと実装を進め、その後のAT&Tとのライセンス交渉において、AT&TのUNIXライセンスに縛られないものとなった。その際にカリフォルニア大学バークレー校で拡張互換UNIX開発チームが書いたコードは、多くのUNIXの実装に影響を与えている。

この開発チームにて実装やソースのレビューとレベルチェックやリポジトリを管理していたのが、Cshの開発やUNIXの実装に大きな影響を与え、スーパーエンジニアとしても有名なビル・ジョイであった。

つまり、フリーソフトウェアを中心としたLinuxやGNUの思想は、サンの遺伝子を色濃く残したもので、サンとフリーソフトウェアの親和性の高さは、こういった歴史的な経緯から来ている。

また、NFSはサンにより作られたネットワーク・ファイルシステムの規格であるが、サンからNFSのライセンスを受けるとSunOSのソースコードが送られて来ていた。現在のLinuxなどで使われているNFSは独自のフリーな実装が使われている。

NISもサンにより開発され、アカウントなどの集中管理用として他社UNIXやLinuxにも採用されている。

Solarisのデスクトップ環境として 以前から利用していたCDEからGNUプロジェクトフリーソフトウェアであるGNOMEに変更するなど、既存のオープンソースソフトウェアと連携した動きも多い。GNOMEの開発の中心にいる企業Ximianに出資していた。また、以前はLinuxに対して非協力的であったが、最近は自社製品にLinuxを搭載している。

OpenOffice.orgを、フリーソフトウェアかつコピーレフトGNU LGPLで公開している。OpenOffice.orgは豊富な機能を持ったオフィススイートで、多くのプラットフォーム (OS) をサポートしオープンソース運動を加速している。サンはOpenOffice.orgの成果をもとに、ソース非公開の StarOffice(日本ではNECが既に商標をとっていたためStarSuite)を開発し販売している。なお、StarOfficeは教育機関などに向けての無料ライセンスもある。

OpenOffice.orgのベースとなったStarOfficeは当初、ドイツのソフトウェア会社StarDivisionで開発されていたソフトウェアで、サンは同社を買収した後すぐにオープンソースプロジェクトとして公開し注目を集めた。当初はSun業界基準使用許諾(SISSL)と呼ばれるサン独自のオープンソースライセンスとGNU LGPLとのデュアルライセンスであったが、2005年9月2日にSISSLを廃止し、GNU LGPLに一本化した。

Sun ONE - One : Open Network Environment[1]

オラクルによる買収後、サンのMySQL創業者がスピンオフしてMariaDBを立ち上げたほか[13]、OpenOffice.orgも開発者の一部が離脱してLibreOfficeを立ち上げるなど、プロジェクトの分裂が相次いでいる。その他Javaなど今後への懸念も報道されている[14]。これに対してはオラクルも、2011年6月にOpenOffice.orgをApacheソフトウェア財団に寄贈するなど(現在のApache OpenOffice)、一部プロジェクトについてオープンソースコミュニティへの移管を行うことで、懸念解消に務めている。


  1. ^ サンから、買収後初めてのCobalt Qubeが登場
  2. ^ 米国サンがMySQLとの買収合意を発表
  3. ^ マイクロソフトとサンが包括提携をし、係争の和解に合意
  4. ^ 富士通とサンが提携関係を拡大
  5. ^ IBMがサンと買収交渉、米紙が報道
  6. ^ IBMがサン買収か、IT市場はどう変わる?
  7. ^ Oracle、Sunを買収
  8. ^ Sun and Oracle
  9. ^ SPARC/Solarisへの投資継続を表明、オラクル
  10. ^ オラクルのサン買収を欧州委員会が承認
  11. ^ Oracle Completes Acquisition of Sun
  12. ^ オラクル、Itaniumチップ対応ソフトウェア開発の中止を決定
  13. ^ MySQLがフォークか、オープンアライアンスが誕生
  14. ^ 【中国OSS】Javaはここ一年リーダー不在の状態
  15. ^ COMDEX/Fall '99現地レポート”. pc.watch.impress.co.jp. 2022年11月16日閲覧。
  16. ^ 米Oracle、Sun仮想化プロダクトの開発終了へ”. TECH+(テックプラス) (2013年7月16日). 2022年11月16日閲覧。
  17. ^ Sun Ray製品”. Oracle. 2022年11月16日閲覧。 “Sun Ray製品はすべて、生産が終了しています。”
  18. ^ 日経クロステック(xTECH). “シン・クライアント端末Sun RayでWindows操作が標準で可能に”. 日経クロステック(xTECH). 2022年11月16日閲覧。
  19. ^ KKSブログ: 大阪大学、SunRayシンクライアントを事務用端末に採用”. www.kknews.co.jp. 2022年11月16日閲覧。
  20. ^ 阪大情報科学科、演習システムをOracle VDIに刷新--Sun Ray 2を100台導入”. ZDNet Japan (2012年1月26日). 2022年11月16日閲覧。
  21. ^ 1万人が利用するITシステムの利便性を向上するため、シンクライアントの刷新やインフラの強化を実現したい。 | NTTデータ カスタマサービス株式会社”. www.nttdatacs.co.jp. 2022年11月16日閲覧。
  22. ^ @IT Special: よりセキュアに、より環境に優しく、 ――シンクライアントSun Rayの実像”. atmarkit.itmedia.co.jp. 2022年11月16日閲覧。
  23. ^ Oracle Japan / オラクルについて / 沿革”. Oracle. 2023年12月3日閲覧。
  24. ^ 日本オラクル株式会社 (2010年6月2日). “サン製品取り扱い開始に関するお知らせ” (PDF). Oracle. 2023年12月3日閲覧。






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サン・マイクロシステムズ」の関連用語

1
ソラリス デジタル大辞泉
100% |||||

2
Javaスクリプト デジタル大辞泉
100% |||||

3
エヌ‐アイ‐エス デジタル大辞泉
100% |||||




7
ジャバ デジタル大辞泉
78% |||||

8
スパーク デジタル大辞泉
78% |||||



サン・マイクロシステムズのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



サン・マイクロシステムズのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサン・マイクロシステムズ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS