サイレントe
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/10 00:18 UTC 版)
本当に発音しない⟨e⟩
歴史的に長い母音を持っていたいくつかのよく使われる単語においては、サイレント⟨e⟩は、もはや通常の長音化の効果をもっていない。たとえば、comeにおける⟨o⟩(coneにおけるoと比較) や doneにおける⟨o⟩(domeにおけるoと比較)など。これは、たとえば give や love のように、歴史的に ⟨v⟩の代わりに⟨f⟩を持っていたいくつかの単語において特によくみられる。古英語では、/f/ が2つの母音のあいだに出現したときは/v/になったが(OE giefan, lufu)、その一方、長子音 の⟨ff⟩は二重性を失い、その位置で/f/をもたらした。このことは、たとえば、もともとフランス語で-ifを持っていた captive(ここでも、"hive"におけるのとはちがって、⟨i⟩は"長く"ならない) のような、形容詞の接尾辞-iveのあるたくさんの単語にもあてはまる。
フランス語からの借用語には、「無音のe」あるいは「脱落性のe」と呼ばれるフランス語のサイレントeを維持するものもあり、そのeは先行する母音に影響を及ぼさない。また、フランス語由来の単語の女性形は、たとえばfiancée, petite, née のように、サイレントeで終わるものもある。
英語の単語のなかには、名詞として使われるか形容詞として使われるかによって、アクセントのある音節が変化するものがある。たとえば、minuteのようないくつかの単語では、このことがサイレントeのはたらきに影響することがある。形容詞としては、minúte ([maɪˈnjuːt], "small")はサイレントeによって通常の音価を持つが、その一方で、名詞 mínute ([ˈmɪnɪt], the unit of time)の場合、サイレントeは機能しない。例外を引き起こしうる同様のパターンについては、en:initial-stress-derived noun[11]を参照のこと。
歴史的に、フランス語の用法にしたがい、審美的な目的で語末にサイレントeをそえることがおこなわれていた。たとえば、-le で終わる単語(as in subtle and table) は、(s)に付けるのと同じように (such as house and tense, etc)、余分なサイレントeを持っている。過去においては、サイレントeは同様の様式的な理由のために多くの名詞にも、たとえばposteやtesteなどのように、そえられていた。
- ^ 単語の綴りを構成要素に分解して理解する。
- ^ Ramsden, Melvyn (2004年). “Suffix Checker (PDF)”. 2022年3月1日閲覧。
- ^ 接尾辞を付けるときに e を "replace" するということ。ただし、replaceable の場合、先行する子音字 c の読み方にかかわるので e を replace せず維持する。
- ^ Ramsden, Melvyn (2004年). “Suffix Checker (PDF)”. 2020年4月21日閲覧。
- ^ ちなみに、"butte"は、子音の二重音字があり、eが無音だが、先行する母音は長い。
- ^ たとえば、"apostrophe", "catastrophe", "recipe"などの語末のeは、サイレントではないが、そのことを示す手がかりは綴りの中に存在しない。
- ^ See en:broad A and cot–caught merger for some of the cross-dialect complexities of the English ⟨a⟩ group.
- ^ chanceとは異なり、changeの場合はeによってgの読み方が決まって、aは長い母音になる。
- ^ アメリカ式の綴り"catalog"には、⟨u⟩もサイレントeもない。
- ^ eのない名詞とeのある動詞でthの発音が異なるということ。
- ^ いわゆる「名前動後の単語」に近いものだと思えばいい。
- 1 サイレントeとは
- 2 サイレントeの概要
- 3 解説
- 4 本当に発音しない⟨e⟩
- 5 サイレントeの脱落
- 6 歴史
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