コミックおきなわ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/20 13:59 UTC 版)
コミックおきなわ | |
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ジャンル | ご当地 |
読者対象 | 中学生、高校生、大学生[1] |
刊行頻度 | 月刊→隔月刊 |
発売国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
定価 | 480円→390円 |
出版社 | コミックおきなわ社 |
発行人 | 与那覇正俊 |
編集長 |
須藤將史(初代) →中江裕司(2代目) →島袋直子(3代目) |
刊行期間 | 1987年4月(創刊号) - 1990年8月(第30号) |
特記事項 | 1999年5月に『別冊コミックおきなわ 同窓会スペシャル』が刊行。 |
概要
「沖縄の歴史・文化を若い人たちに分かりやすく伝える」「沖縄の漫画家を育成する」ことをコンセプトに、1987年4月に創刊[4][3]。発売当時の定価は480円だったが、8号より390円に引き下げられた。様々な情報が入った「コミックマガジン」という方向付けがされており、内容も漫画だけでなくインタビュー記事、コラム、対談、映画情報、イラストルポなどで構成されていた[4]。また、創刊初期より若手の育成・新人の発掘に力を入れており、沖縄から漫画家を輩出する登竜門的な役割も果たしていた。
本誌に参加した漫画家の中には、県内を活動拠点にしていた新里堅進やすでに全国誌で活躍していたなかいま強らがおり、映画監督の中江裕司も編集長として携わっていた[4]。
歴史
創刊から休刊まで
元々本誌は作家陣のメンバーである新里堅進の作品集という形で刊行が予定されていたが、「みんなが描けるように雑誌にしては」という新里の提案により、漫画雑誌として制作することとなった。この時本誌の刊行のためにコミックおきなわ社が設立され、代表には初代編集長の須藤將史が勤めていた県内の印刷会社・丸正印刷の代表理事であった与那覇正俊が就任している[4]。当初の編集方針は「ためになって、面白い」と定められていたが、第4号刊行時の売り上げが芳しくなかったため、須藤に代わって編集長の職を引き継いだ中江によって、編集方針を中・高校生向けに変更。作家も無名の若手を積極的に起用し、一時期は30人以上にまで増えた[4]。この変更が読者に受け入れられ、発行部数が3000~5000部を記録するほどにまで人気が高まっていった。この頃、本誌の購入客の中には地元県民だけでなく、土産物として買っていく観光客もいた[1]。
しかし売り上げの好調は長くは続かず、1989年4月発行の第24号より月刊から隔月刊へ変更。そして刊行3周年を迎えた1990年8月の第30号にて休刊[4]。9年後の1999年には、休刊時の編集長だった島袋直子が、一回限りという形で『別冊コミックおきなわ 同窓会スペシャル』を出版[5]。発売後にはロックバンドの人間椅子を招いたライブが開催された[4]。だがそれ以降復刊することはなく、事実上の廃刊となった。島袋は休刊の原因について、売り上げの不振により利益が出なかったこと、主力となる連載作品を生み出せなかったことを挙げており、漫画家・編集者・経営者共に今後の雑誌の方向性を決めることができておらず、「漫画家のための本」になってしまったと振り返っている[4][5]。
休刊後
上記『同窓会スペシャル』の刊行後、島袋は漫画家からの発表の場を求める声に応え、2007年8月に無料配信の漫画ポータルサイト『コミックチャンプルー』を創刊。「沖縄であれば何でもOK」をコンセプトに据え、起用する漫画家も県出身者にはこだわらない方針をとっている。また、同サイトでは障害のある人や精神疾患のある人も漫画家として起用している。月刊誌のスタイルを採っており、掲載作品は毎週金曜日に一本ずつの更新だったが、2008年3月より週2本ずつ、2009年8月週3本ずつと増やしている。2012年には有料の電子書籍の販売を開始した[5][6][7]。
2016年8月、『コミックおきなわ』が文化庁のメディア芸術アーカイブ推進事業の一つとしてデジタルアーカイブおよび電子書籍となることが報じられた[8]。
主な掲載作品
※作品名および作者名が判明しているもののみを記す[4][5]。
- か
- GAJU (知念政順)
- 彼女たちのエルドラド (佐久本まちこ)
- 月刊スポーツワイド笑 (大味ちょうじ)
- ゲートボールぶる~す (田名俊信)
- ゲレン (保里安則)
- 拳牙神 (作画:橋口まり子/原作:西里秀篤)
- 國場幸太郎物語 (平敷善憲→田名俊信[注釈 1])
- さ
- G… (保里安則)
- 島の女(新崎智)
- 島んちゅ純情 (知念政順)
- 舜天王(平敷善憲)
- シルガンター虎十 (新里堅進)
- シルバーアイランド (久松勇士)
- 1990年の幽霊(根間黄猫)
- た
- タロー君の日記 (大城ゆか)
- トロピカル・ボビー (当間貴嗣)
- な
- ナチブー朝光(なかいま強)
- は
- パイナップルの家(大城ゆか)
- フェイントKIMETE(島尻ぐん)
- Friend(津嘉山メイ子)
- フレンド(たまきのうみ)
- HEAVY WEATHER (田名俊信)
注釈
引用
- ^ a b c 本浜、p.203-204。
- ^ 『最新版 沖縄コンパクト事典』、p.181。
- ^ a b 大城、p188。
- ^ a b c d e f g h i j 島袋「コミックおきなわ奮戦記」、p194-206。
- ^ a b c d 島袋「沖縄とマンガ:地方から発信するということ」、p213-220。
- ^ “"最南端のマンガ編集部"「コミックチャンプルー」と沖縄マンガの12年”. マグミクス (2019年1月21日). 2021年7月20日閲覧。
- ^ “沖縄マンガをネットで配信!?【島ネタCHOSA班】”. 琉球新報社 (2019年3月11日). 2021年7月20日閲覧。
- ^ “コミックおきなわ電子書籍化 アーカイブ化へ情報募る”. 琉球新報社 (2016年8月6日). 2021年7月20日閲覧。
- ^ いしかわ「秘密の本棚」、p.296-300
- ^ いしかわ「漫画の時間」、p.209-211
- ^ [池澤、p.102-103]
- 1 コミックおきなわとは
- 2 コミックおきなわの概要
- 3 本誌への評価
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