クトゥルフの呼び声 (TRPG)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 14:18 UTC 版)
クトゥルフの呼び声 Call of Cthulhu | ||
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著者 | サンディ・ピーターセン | |
発行日 | 1981 | |
発行元 | ケイオシアム | |
ジャンル | ラヴクラフト的恐怖 | |
国 | アメリカ合衆国 | |
言語 | 英語 | |
形態 | テーブルトップ・ロールプレイング・ゲーム、作品群 | |
公式サイト | http://www.chaosium.com/call-of-cthulhu-rpg | |
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日本では1986年以後ホビージャパンによる第2版および第5版の翻訳が、また、2003年よりはKADOKAWA(エンターブレイン)から『クトゥルフ神話TRPG』と改題された第6版、『新クトゥルフ神話TRPG』と改題された第7版の翻訳が発売されている。
ゲームデザインは『ルーンクエスト』などにも関わっているサンディ・ピーターセンや『ストームブリンガー』などにも関わっているリン・ウィリス(Lynn Willis)らが担当していた。
日本語での作品の名称について
『クトゥルフの呼び声』というタイトルはホビージャパンがゲーム分野での商標登録出願を行い1993年に登録が受理されている[1]。後にホビージャパンがケイオシアムのTRPG作品の翻訳権を手放した後もこの商標は保持し続けた為、アークライトは翻訳権を獲得した[2]後に上述の改題を行い再展開を行う事となった[3]。
さらに、ホビージャパンは商標維持のために「クトゥルフの呼び声」の名前を使ったカードゲームやボードゲームを定期的に発売し続け、2022年に"Sandy Petersen's Cthulhu Mythos"というTRPGサプリメント(『ダンジョンズ&ドラゴンズ第5版』のOGLライセンス作品)を翻訳出版する際にこの商標および同一のロゴを再び用い、『サンディ・ピーターセンの暗黒神話体系 クトゥルフの呼び声TRPG』[4]とした。このため、現在の日本のTRPG界では原題"Call of Cthulhu" = 現日本語版『クトゥルフ神話』、原題"Cthulhu Mythos" = 現日本語版『クトゥルフの呼び声』となる転倒現象が起こっている。
また、d20システムをつかったスピンオフ作品である『コール・オブ・クトゥルフ d20』という製品も新紀元社より翻訳されていたが、この項目で主に扱うのはあくまでケイオシアム社の原題"Call of Cthulhu" = ホビージャパン発売の旧『クトゥルフの呼び声』、アークライト翻訳/KADOKAWAエンターブレイン発売の『クトゥルフ神話TRPG』『新クトゥルフ神話TRPG』である。なお、「クトゥルフ神話RPG」は2020年に個人により(第6435529号。区分09,41)、「クトゥルフ神話TRPG」は2022年にKADOKAWAにより(第6672211号。区分16)商標登録されている。
版の歴史と日本語版の関係
英語版 | 出版年, フォーマット | 日本語版, 訳者 | 出版年, 出版社, フォーマット | 詳細 |
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1st edition | 1981[5], Boxed set | - | - | メインのルールブックの他に16ページのBasic Role-Playingブックレットが付属[6]。 |
2nd edition | 1983, Boxed set | クトゥルフの呼び声(訳:有坂純) | 1986年, ホビージャパン, ボックス版 | ルールブックは1冊のみ。小規模なルール変更。[7]日本語版は3版の内容も加味されている。 |
3rd edition | 1986, Boxed set | - | - | ルールはInvestigator's BookとKeeper's Book2冊のブックレットに分割された[8]。 |
4th edition | 1989, Softcover | - | - | サプリメントのCthulhu CompanionおよびFragments of Fear: The Second Cthulhu Companionの内容が追加されている[9]。 |
5th edition | 1992, Softcover | クトゥルフの呼び声(改訂版)(訳:中山てい子) | 1993年, ホビージャパン, ソフトカバー | 日本語版の表紙絵は独自のもので、直後に発売されたHC版の翻訳の為5.1版となっている。 |
Edition 5.5 | 1998, Softcover | - | - | 5版の内容を再編集したアップデート版、表紙の絵が変更されると共にタイトルページに"Edition 5.5"と明記された[10]。 |
20th Anniversary Edition | 2001, Leather-bound hardcover book | - | - | 限定版。緑の皮装丁で、古文書風のレイアウトがなされている[11][12]。 |
6th edition | 2004, Hardcover, softcover, or PDF file | クトゥルフ神話TRPG(訳:中山てい子、松本雅之) | 2004年, エンターブレイン, ソフトカバー | 20th Anniversary Editionと全く同一の内容とレイアウト[13]。限定版に対する普及・廉価版という扱い。日本語版の表紙絵は独自のもの。 |
7th edition | 2014, electronic file, Hardcover, softcover | 新クトゥルフ神話TRPG(訳:松本雅之ほか、アーカム・メンバーズ) | 2019年, KADOKAWAエンターブレイン, ソフトカバー | Paul FrickerおよびMike Masonによるルールの大規模改訂。英語版の書籍形態一般発売は2016年春[14]。日本語版の表紙絵は独自のもの。 |
『クトゥルフの呼び声』はケイオシアム社の浮き沈みに影響されながら、40年近くに渡って同社の主力商品のひとつであり続けた。1998年以後のトレーディングカードゲームの失敗による危機を20th Anniversary Editionの収益でカバーし、2003年以後の経営難を凌ぐのにも日本での同作品のヒットが寄与した。2013年にアナウンスされた最新版の第7版の開発はクラウドファンディングサイト・キックスターターにより56万ドルの出資を獲得して行われたが、経営陣の交替等紆余曲折を経て難航し、電子版から約2年遅れで書籍版が支援者に発送される事となった[15]。
各版の違いは程度の差こそあれ少なく、バージョン間のコンバート等は他のTRPGと比較しても容易な部類に入る。サプリメントの類も版をまたがって使用できるものが多い。第7版での主なルール変更は「プッシュ・ロール」システムの追加、『ダンジョンズ&ドラゴンズ第5版』の普及に影響された「ボーナス・ダイス」システムの導入、煩雑であった「抵抗表」の撤廃などである。
注釈
- ^ このゲームにおけるSAN値、正確には「能力値SAN」とは、POW×5で算出される値であり、正気度とは別の能力値である。第5版20ページには「(正気度を解説している)その章では能力値のSANと正気度、最大正気度の違いを説明しています」とさえある。
- ^ 第5版20ページの解説から抜粋すると「正気度99の人物は、意志の力が大変強い人物ということを示しています」。また「自然の出来事でも失うことがあります」と記されており、実際に、通常の死体を見た場合でも失われる正気度は死体の損壊度ごとに列記してあり、超自然現象に限らない。
- ^ 第5版ルールブックには「狂気に陥る」としかない。
- ^ "Cthulhu Invictus", 未訳
- ^ "Cthulhu Reign of Terror", 未訳
- ^ "Cthulhu Down Darker Trails", 未訳
- ^ "End of the World", 未訳
- ^ "Punktown ", 未訳
- ^ "Cthulhu Dark"が代表的
出典
- ^ 登録2594408 (商願平03-070727)、登録2603493 (商願平03-070728)
- ^ Chaosium_Incのツイート(1138070292763295745)
- ^ なお、「クトゥルフ神話TRPG」(第6版)のルールブック奥付に、「Call of Cthulhuはホビージャパンの登録商標である」という記載が見られるが、日本の特許情報データベースにそのような記録はない。
- ^ 玩具流通商品、ISBNなし
- ^ “Call of Cthulhu 20th Anniversary Edition”. Valkyrie Quarterly. 2015年9月2日閲覧。
- ^ “Call of Cthulhu (1st Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
- ^ “Call of Cthulhu (2nd Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
- ^ “Call of Cthulhu (3rd Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
- ^ “Call of Cthulhu (4th Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
- ^ “Call of Cthulhu (5th Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
- ^ “20th Anniversary Edition Call Of Cthulhu RPG”. Chaosium.com. Chaosium. 2001年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月12日閲覧。
- ^ “Call of Cthulhu (6th Edition/20th Anniversary releases)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
- ^ “Call of Cthulhu (6th Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
- ^ “Call of Cthulhu (7th Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
- ^ Shannon Appelcline. “Advanced Designers & Dragons #3: Chaosium - Recent History: 1997-Present”. RPGnet. 2016年8月17日閲覧。
- ^ ASCII.jp:ニコ動のTRPG動画4万本を大調査! ネットでアナログゲームが復活!-
- ^ 第7版発売時プレスリリース [1][2]
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