クトゥルフの呼び声 (TRPG) システム

クトゥルフの呼び声 (TRPG)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 14:18 UTC 版)

システム

進行役とプレイヤー

このゲームではゲームマスターではなくプレイヤーの中の「キーパー」と呼ばれる役割の人物がゲームの進行をする。これはThe Keeper of Arcane Loreの略であり、日本語にするなら「神秘の護り手」「いにしえの知識の守護者」のような意味となる。また、日本語版のルールブックおよび関連製品では本作のプレイヤーキャラクター(PC)を「探索者」と呼称しているが、これは日本語版の独自の呼称で、原語版では“Investigator”であり、調査官や研究者と言った意味合いである。これ以後は日本語版に合わせた表記とする。

BRP、スキル制RPG

基幹システムは『ルーンクエスト』や『ストームブリンガー』などと同じベーシック・ロールプレイング(BRP)を採用している。キャラクターは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に代表されるキャラクタークラスによって能力が規定される形ではなく、「技能(スキル)」ポイントの配分と「職業」テンプレートの適用によってカスタマイズが行われるという形を採用している。行為判定の成否はD100パーセンテージロールによる下方ロール(低い目を出す事で良い結果を得る)で統一されている。

正気と狂気

特徴的なルールとして「正気度」という概念がある。英語のSanityから、「SAN値」とも呼ばれるが誤用[注釈 1]である。

正気度の数値は、Power(精神力)という能力値から算出される「正気度ポイント(Sanity Point)」であらわされる。おおむね、意志の強さや感情的なショック耐性を示す数値である[注釈 2]。ショッキングな出来事に遭遇した場合、「正気度ロール」と呼ばれる行為判定を行い、成功すると正気度ポイントの減少無しか減少量が失敗に比べ少なく済むが、失敗すると多く減る。正気度ポイントが多く減るとプレイヤーキャラクターは狂気に陥り奇異的な行動を行う可能性がある。これを「発狂」という[注釈 3]

狂気は「一時的狂気」と「不定の狂気」に分かれており、一度のロールで5ポイント以上の正気度を失い、かつアイデアロールに成功した場合、つまり現状を正しく把握した場合に「一時的狂気」に陥る。これは数秒から数日(最短で1D10戦闘ラウンド、最長で1D10日)でおさまるパニック状態に過ぎないが、1ゲーム中にトータルで正気度の20%分を失った場合には「不定の狂気」に陥る。これは精神病院に入って適切な治療を受けなければ正気に戻ることはない。正気に戻ったとしても、後遺症が残る。なお、正気度が0になった探索者は、永久的狂気に陥り、基本的にはゲームアウトとなる(回復するかは、各キーパーの裁量)。

正気と狂気が細かくルールで表現されているのは、ラヴクラフトの小説の多くにおいて宇宙的恐怖に出遭った被害者が狂人として描かれているからである。


注釈

  1. ^ このゲームにおけるSAN値、正確には「能力値SAN」とは、POW×5で算出される値であり、正気度とは別の能力値である。第5版20ページには「(正気度を解説している)その章では能力値のSANと正気度、最大正気度の違いを説明しています」とさえある。
  2. ^ 第5版20ページの解説から抜粋すると「正気度99の人物は、意志の力が大変強い人物ということを示しています」。また「自然の出来事でも失うことがあります」と記されており、実際に、通常の死体を見た場合でも失われる正気度は死体の損壊度ごとに列記してあり、超自然現象に限らない。
  3. ^ 第5版ルールブックには「狂気に陥る」としかない。
  4. ^ "Cthulhu Invictus", 未訳
  5. ^ "Cthulhu Reign of Terror", 未訳
  6. ^ "Cthulhu Down Darker Trails", 未訳
  7. ^ "End of the World", 未訳
  8. ^ "Punktown ", 未訳
  9. ^ "Cthulhu Dark"が代表的

出典

  1. ^ 登録2594408 (商願平03-070727)、登録2603493 (商願平03-070728)
  2. ^ Chaosium_Incのツイート(1138070292763295745)
  3. ^ なお、「クトゥルフ神話TRPG」(第6版)のルールブック奥付に、「Call of Cthulhuはホビージャパンの登録商標である」という記載が見られるが、日本の特許情報データベースにそのような記録はない。
  4. ^ 玩具流通商品、ISBNなし
  5. ^ Call of Cthulhu 20th Anniversary Edition”. Valkyrie Quarterly. 2015年9月2日閲覧。
  6. ^ Call of Cthulhu (1st Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
  7. ^ Call of Cthulhu (2nd Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
  8. ^ Call of Cthulhu (3rd Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
  9. ^ Call of Cthulhu (4th Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
  10. ^ Call of Cthulhu (5th Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
  11. ^ 20th Anniversary Edition Call Of Cthulhu RPG”. Chaosium.com. Chaosium. 2001年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月12日閲覧。
  12. ^ Call of Cthulhu (6th Edition/20th Anniversary releases)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
  13. ^ Call of Cthulhu (6th Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
  14. ^ Call of Cthulhu (7th Edition)”. RPGGeek.com. 2015年9月1日閲覧。
  15. ^ Shannon Appelcline. “Advanced Designers & Dragons #3: Chaosium - Recent History: 1997-Present”. RPGnet. 2016年8月17日閲覧。
  16. ^ ASCII.jp:ニコ動のTRPG動画4万本を大調査! ネットでアナログゲームが復活!-
  17. ^ 第7版発売時プレスリリース [1][2]





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