インスタントカメラ・チェキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 03:51 UTC 版)
概要
1998年12月、インスタントカメラ・チェキ(instax mini 10、初代チェキ)発売。10代から20代までの若い男女をメインターゲットとしている。
フィルムサイズごとに、名刺程度のサイズ(縦長)の「instax mini」(愛称:チェキ)と、横幅が約2倍の「instax wide」(愛称:チェキワイド)、画角が1:1の「instax SQUARE」(愛称:チェキスクエア)の3種類がある。
インスタントカメラの他、同じインスタントフィルムを使用するスマホ対応携帯プリンターにおいても「チェキ」のブランドが使用されている。2014年に販売が終了した同社のモバイルプリンター「Pivi」の後継モデルにあたる。
プリクラブームを受けた2002年には年間販売台数が100万台に達し、最初のブームとなった。2000年代において、写真がフィルムカメラからデジタルカメラに移り変わる時代の中、2004年にはフィルムカメラであるチェキの年間販売台数が10万台まで落ち込み、インスタントカメラの当時最大手だったポラロイド(ポラロイド社の倒産に伴い2008年に販売を停止)の後をフジも追うと思われた時期もあった。2010年代に海外の若年層を中心としてチェキの販売を盛り返し、2014年にはチェキの年間販売台数(300万台)が富士フイルム社のデジカメの販売台数(200万台)を超え、2018年にはチェキの年間販売台数が1000万台を突破するなど、2010年代後半には富士フイルム社の経営の柱の一つにまで成長した。
2010年代において、写真がデジカメからスマホに移り変わる時代の中、デジカメメーカー各社がコンパクトデジカメ(コンデジ)を縮小して高級路線に舵を切る一方で、富士フイルムは逆にコンデジに力を入れ、2017年にはチェキにデジカメ機能を併せ持ったハイブリッドインスタントカメラ「instax SQUARE SQ10」を、2019年には「instax mini LiPlay」を発売。2021年に発売されたハイブリッドインスタントカメラ「instax mini Evo」は、フイルムカメラでありながら日本のデジカメ機種別販売台数シェアで1位となった[1]。
「“チェキ” instax mini HELLO KITTY」など、他社の人気キャラクターとのコラボモデルも富士フイルム社から販売されている。タカラ(現・タカラトミー)の「めちゃハヤカメラ ポケピィ」など、他社から発売されたチェキのOEM製品も存在する。ライカのインスタントカメラ「ゾフォート」[2]など、富士フイルムの商標である「チェキ」や「instax」を使用してはいないものの、同一のinstaxフィルムを使用するサードパーティ製品も市場に存在する。
初代「instax mini 10」が発売された1998年当時は「フジカラーのお店」(富士写真フイルム特約店)を中心として大々的なキャンペーンが行われ、当時若年層の男女に大きな人気があった滝沢秀明がイメージキャラクターとして起用された。2000年には後継機「instax mini 20」の発売に合わせ、赤塚不二夫の代表キャラクター「ニャロメ」とユースケ・サンタマリアがイメージキャラクターとして起用され、ニャロメのノベルティグッズを抽選でプレゼントする「チェキでChance!」キャンペーンが行われた。
instax
instaxは、富士フイルムが1981年から展開しているインスタント写真システム「フォトラマ」[3]をベースに開発されたシステムで、1999年から展開している。特に「instax mini」による「チェキ」の商品群が、写真システムのディジタル化の中で、銀塩写真システムとして更新が続けられていることが特筆される。
富士フイルムの呼称で「モノシートタイプ」(他の呼称としては、シートフィルム方式、integral film 等)の手軽さと、露光面の裏に像があらわれる方式のため反転が不要でカメラの小型化に有利な点はフォトラマ譲りである。フォトラマは F・800・ACE の世代があるが、その 800 および ACE 世代のプロセスとISO感度 (800) をベースに、高感度ながらも良好な粒状性・シャープネスの向上・温度範囲の拡大・色再現性の向上が図られている。フィルムパッケージ中の、使用済みぶんの空間を押出すためのバネが、パッケージではなくカメラのフィルム室側にある構造もフォトラマACEを引き継いでいる。各種最適化により、薬剤室のための余白部分の割合もフォトラマに比べて小さく、自然に見えるものになっている。用途として「気軽に撮る写真」と「本格的な写真」の2種類を想定し、フィルムサイズに、縦横比が約1.3(約4:3)に近い縦長(画面サイズ 46mm×62mm)のinstax mini(チェキサイズ)と、縦横比が約1.6に近い横長(画面サイズ 99mm×62mm)のinstax(現 instax wide)を設定した。それぞれのカメラとして「インスタックス ミニ 10」と「インスタックス 100」を用意した。当初からプリンタも開発している[4]。
2016年9月20日に、モノクロタイプのinstax miniフィルム「instax mini モノクローム」の同年10月7日発売と、画面サイズ62mm×62mmの「スクエアフォーマット」の2017年春からの展開およびPhotokina 2016への出展が発表された[5]。
2017年4 - 6月期の富士フイルムグループ全体の純利益は358億円に達し、チェキの好調な売り上げが牽引している[6][7]。
- ^ デジカメ市場で富士フイルムが初めて2位浮上、新発売のチェキが貢献 - BCN+R
- ^ “ライカ ゾフォート”. Leica Camera AG. 2016年11月3日閲覧。
- ^ “フォトラマ”の誕生 - フジインスタント写真システムの開発
- ^ 新しいインスタント写真システム インスタックスの開発,富士フイルム株式会社 研究報告 No. 44(1999)
- ^ “インスタントカメラシリーズ「instax」若い世代から写真愛好家まで幅広い層で人気の「スクエアフォーマット」を新たに開発 ユーザーニーズに合わせた新たなインスタント写真の楽しみ方を創出!”. 富士フイルム (2016年9月20日). 2016年11月3日閲覧。
- ^ 富士フイルムの4─6月純利益は過去最高、インスタントカメラ好調,ロイター,2017年8月14日
- ^ 富士フイルムホールディングス平成30年3月期第1四半期決算短信
- ^ “アナログ技術にこだわった新機能を搭載!撮ったその瞬間を光と色で自由に彩るアナログインスタントカメラ最上位モデル「INSTAX mini 99(インスタックス ミニ ナインティーナイン)™」新発売”. 富士フイルム (2024年3月27日). 2024年4月16日閲覧。
- ^ “INSTAX“チェキ”の楽しさをギュッと詰め込んでさらに進化 インスタントカメラ“チェキ”「INSTAX mini 12(インスタックス ミニ トゥエルブ)」新発売”. 富士フイルム (2023年3月8日). 2024年1月25日閲覧。
- ^ “世界中で人気のカワイイ“チェキ”がスタイリッシュにリニューアル! よりシンプルな操作性と高品質なプリントを実現したエントリーモデル登場 インスタントカメラ“チェキ”「instax mini 11」新発売 オシャレな大理石調デザインの、ミニ&スクエアフィルムも同時発売”. 富士フイルム (2020年2月26日). 2021年11月10日閲覧。
- ^ “どんなスタイルにも合わせやすいクラシックなデザインのチェキが新登場! インスタントカメラ“チェキ”「instax(インスタックス) mini 40」新発売 クラシックな雰囲気を楽しめる ミニフィルム「コンタクトシート」も同時発売”. 富士フイルム (2021年4月7日). 2021年11月10日閲覧。
- ^ “人気のスクエアフォーマットに対応したエントリーモデルが登場! よりシンプルな操作で撮影を楽しめる インスタントカメラ“チェキ”「instax SQUARE(インスタックス スクエア) SQ1」新発売 スクエアフィルム「レインボー」「モノクローム」も同時発売”. 富士フイルム (2020年10月28日). 2021年11月10日閲覧。
- ^ “インスタントカメラ“チェキ”「INSTAX SQUARE SQ40(インスタックス スクエア エスキューフォーティー)」新発売”. 富士フイルム (2023年6月15日). 2023年6月30日閲覧。
- ^ 『音』も記録する新時代チェキ登場!音声メッセージ付きのチェキプリントで、写真に込めた想いも伝えられるハイブリッドインスタントカメラ“チェキ”「instax mini LiPlay(インスタックス ミニ リプレイ)」新発売 - 富士フイルム 2019年6月12日(2019年6月14日閲覧)
- ^ ““チェキ”instaxシリーズの最上位機種がクラシックなデザインで登場! 100通りの撮影エフェクトで、情景を感じたままに表現できる ハイブリッドインスタントカメラ “チェキ”「instax mini Evo(インスタックス ミニ エヴォ)」新発売 重厚なフレームデザインで高級感を演出するミニフィルム「ストーングレー」も同時発売”. 富士フイルム (2021年11月17日). 2021年11月22日閲覧。
- ^ “INSTAX“チェキ”シリーズの大ヒットモデル「INSTAX mini Evo(インスタックス ミニ エヴォ)」に新色 「Brown(ブラウン)」をラインアップ”. 富士フイルム (2023年6月15日). 2023年6月30日閲覧。
- ^ “「遊べる」Linkプリンターがさらに進化!ARエフェクトを空間に描画できる新機能搭載!スマートフォン用プリンター“チェキ”「instax mini Link(インスタックス ミニ リンク) 2」新発売”. 富士フイルム (2022年7月8日). 2022年10月10日閲覧。
- ^ “ARエフェクトで個性的に彩ったチェキプリントに! スマホプリンター“チェキ”「INSTAX SQUARE Link(スクエア リンク)」新発売”. 富士フイルム (2022年10月27日). 2022年10月28日閲覧。
- ^ “instaxシリーズ初のワイドフォーマットプリンターが登場! スマートフォン用プリンター“チェキ”「instax Link WIDE(インスタックス リンク ワイド)」新発売 写真が引き立つクールなワイドフィルム「BLACK(ブラック)」も同時発売”. 富士フイルム (2021年10月13日). 2021年11月22日閲覧。
- ^ “INSTAX“チェキ”シリーズに、いつでもどこでも気軽に撮影できる“手のひらサイズカメラ”が登場「INSTAX Pal(インスタックス パル)™」新発売”. 富士フイルム (2023年9月21日). 2023年11月11日閲覧。
- ^ プリントス(Printoss)|タカラトミー
- ^ “富士フイルム、チェキ新モデル「instax mini 70」”. デジカメ Watch (2015年10月2日). 2021年11月10日閲覧。
- ^ “チェキ”史上初!多彩な画像の編集・加工機能を搭載 ハイブリッドインスタントカメラ「instax SQUARE SQ10(インスタックス スクエア エスキューテン)」新発売 - 富士フイルム 2017年4月19日(2017年4月19日閲覧)
- ^ 被写体の「動き」も表現できる新発想のチェキ登場!決定的な瞬間をスクエアフォーマットのチェキプリントで楽しめるハイブリッドインスタントカメラ「instax SQUARE(インスタックス スクエア) SQ20」新発売 - 富士フイルム 2018年9月25日(2018年11月16日閲覧)
- ^ 大人気のスクエアフォーマットに対応したラインアップを拡充!多彩な機能とスタイリッシュなデザインで日常の撮影を楽しめるインスタントカメラ“チェキ”「instax SQUARE(インスタックス スクエア) SQ6」新発売 - 富士フイルム 2018年5月15日
- ^ インスタントカメラ“チェキ”「INSTAX mini 90™」国内販売終了のご案内 - 富士フイルム 2024年4月1日(2024年4月17日閲覧)
- ^ Fujifilm Value from Innovation | 富士フイルムホールディングス
- ^ X-T1, X-Pro2, X-T2, X-T20, X-E3, X-A5, X-H1, X-T100 (2018年6月現在)
- ^ a b “みんなと「遊べる」ユニークな機能満載! スマートフォン用プリンター“チェキ”「instax mini Link(インスタックス ミニ リンク)」 新発売 直感的な操作性と優れた携帯性で楽しみ方広がる”. 富士フイルム (2019年10月2日). 2021年11月10日閲覧。
- ^ インスタックスデジタルフィルム(インスタックスデジタルモバイル プリンターMP-100「Pivi」専用インスタントカラーフィルム)の開発,富士フイルム株式会社 研究報告 No. 50(2005)
- ^ a b c d 吉田満梨 (2018年5月30日). “デジタル時代に大復活した"チェキ"の価値”. BLOGOS. PRESIDENT Online. 2019年3月4日閲覧。
- ^ “海外で人気が拡大するチェキ”. (2012年2月7日) 2013年2月7日閲覧。
- ^ “インスタントカメラ「チェキ」 国内前年比2.5倍の売れ行き (Social News Network)”. (2013年10月20日) 2013年10月20日閲覧。
- ^ 清談社. “チェキ撮影で「妙なポーズ」を要求、アイドルの母親を口説く…アイドルファンたちのヤバすぎる実態”. 文春オンライン. 2023年7月18日閲覧。
- 1 インスタントカメラ・チェキとは
- 2 インスタントカメラ・チェキの概要
- 3 製品
- 4 フィルム
- 5 ユーザー層
- 6 脚注
固有名詞の分類
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