アールト大学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/27 16:59 UTC 版)
Aalto University Aalto-yliopisto Aalto-universitetet | |
ラテン語: Universitas Aalto | |
種別 | 公立 |
---|---|
設立年 | 2010年 |
資金 | 7億ユーロ[1] |
予算 | 年間約4億2000万ユーロ[2] |
総長 | アンネ・ブルニラ |
学長 | トゥーラ・テーリ |
プロヴォスト | イルッカ・ニエメラ |
教員数 | 4,985人[2] |
学生総数 | 19,683人(2013年)[2] |
所在地 |
フィンランド エスポーとヘルシンキ |
キャンパス | 都心型 |
スクールカラー | 青、黄、赤 [3] |
CLUSTER, UArctic, CESAER, AACSB, AMBA, EQUIS, CEMS | |
公式サイト | www.aalto.fi |
大学名はフィンランドの著名な建築家・デザイナーであるアルヴァ・アールトにちなんでいる。彼は、かつてのヘルシンキ工科大学の卒業生であり、メインキャンパスであるオタニエミキャンパスの大部分のデザインも手がけた。
概要
フィンランドにあった3つの大学が合併して出来た。もともとの大学名はそれぞれ、ヘルシンキ工科大学(1849年創立)、ヘルシンキ経済大学(1904年創立)、ヘルシンキ美術大学(1871年創立)である。科学、ビジネス、美術の各コミュニティが密接に連携することで、学際的な教育と研究を実現しようとしている。2010年、フィンランド政府はイノベーションを基礎に置く大学を創る取り組みに着手し、3つの大学を1つにまとめあげた。フィンランドの大学がイノベーションを引き起こすというモデルの役割を担わせようとしたのである[4]。
アールト大学は6つの学部からなり、19,000人の学生と5,000人の教職員から構成されている。規模としてはフィンランドで3番目に大きな大学である。6つの学部はどれも各領域で高い評価を得ている。メインキャンパスはエスポーのオタニエミにあり、工学部はここに設けられている。ヘルシンキには2つの学部があり、それぞれ、ビジネス学部がトーロに、美術・デザイン・建築学部がアラビアンランタに位置する(美術・デザイン・建築学部は、2018年夏にオタニエミに移転予定)。加えて、ヘルシンキの外のミッケリ、ポリ、ヴァーサにもいくつかのユニットがある。
アールト大学は、フィンランド政府による新たな高等教育の公開実験の場でもある。アールト・デザイン・ファクトリー、AppCampus、ADD LAB、アールト・ベンチャー・プログラムは、大学の使命である学際的な学習へのラディカルな移行を後押ししており、ヘルシンキをスタートアップ企業の中心地として盛り上げるための重要な貢献を果たしてきた。Aaltoes(Aalto Entrepreneurship Society、アールト起業家協会)は、学生により運営されるヨーロッパ最大の起業家コミュニティであり、スタートアップとしてサウナ促進プログラムを組織し、2010年以降に3,600万米ドル以上のファンドを集めた。
沿革
2004年、フィンランド金融省のアンネ・ブルニラが主導するワークグループは、フィンランドには大学やその他の高等教育機関が多すぎるので整理・統合すべきであると結論づけた。この決定を受け、当時ヘルシンキ美術大学の学長であったユルヨ・ソタマーは、2005年の学長就任演説にて、既存の大学を合併しアールト大学を創設するという提案を行った。そうすれば、ユニークかつ学際的な大学が誕生し、革新的な考えを生み出すことができるようになるとソタマーは考えたのである。
フィンランド教育省はこの構想に注目し、金融省のトップであるライモ・サイラスに声をかけ、大学合併の可能性を探る調査官に任命した。サイラスのグループは、合併はフィンランドのアカデミズムと経済にとって有益であると報告した。この調査結果をもとに、フィンランド政府は2007年11月11日、合併プロジェクトを進めることを決定した。
2008年5月29日、新しい大学の名前はフィンランドの建築家アルヴァ・アールトにちなんだものにすると政府は発表した。技術、経済、アートという3領域にわたるアールトの功績を讃えてのことである。2008年6月25日、当時のフィンランド教育大臣サリ・サルコマーは、フィンランドの産業界と専門機関の代表者とともに、ヘルシンキにてアールト大学憲章に署名した。2008年12月19日、理事会はトゥーラ・テーリ教授をアールト大学初代学長に選出した。
アールト大学は2010年1月1日に開学した。大学が基金を集められるようにするため、創立過程において、フィンランドの大学関連法規は改正された。寄付金集めは現在も続いており、目標値は個人寄付だけで2億ユーロを達成することである。個人寄付の総額の2.5倍、最大5億ユーロがフィンランド政府により補強されるので、資金調達プロジェクトの目標額は合計7億ユーロとなる[5]。
ヘルシンキ工科大学
アールト大学創立時に出来た4つの理工系学部は、もともとヘルシンキ工科大学(TKK)にあった学部であった。1849年に、ニコライ1世によって創立された大学である。大学の地位を得たのは1908年であった。1966年、工科大学はヘルシンキの下町ヒエタラハティから、現在のオタニエミキャンパスに移転した。アールト大学の創設時には、工科大学は約250人の教員と約15,000人の学生を抱えていた。アールト大学を構成する大部分が、ヘルシンキ工科大学を基としている。
2011年、かつての工科大学(新たにアールト大学理工学部と呼ばれるようになった)は4つの学部に分割され、合併前の学科構成に対応するように再編された。現在の学部構成は、化学技術学部(CHEM)、電気工学部(ELEC)、工学部(ENG)、理学部(SCI)である。
ヘルシンキ経済大学
ヘルシンキ経済大学(HSE)は、1904年に財界の手によりヘルシンキで創立された。1911年には大学の地位を得た。それ以降、私立大学として運営されていたが、1974年からはフィンランド政府が大学の予算を管理するようになった。
合併後、大学名はアールト大学経済学部になったが、現在はアールト大学ビジネス学部(Aalto BIZ)へと改名している。
ヘルシンキ美術大学
ヘルシンキ美術大学は、北欧最大規模の美術大学であった。1871年に創立された。視聴覚メディアの国立研究開発センターであるメディアセンター・ルームも大学内に設置されていた。学士、修士、博士課程を持っていた。
ヘルシンキ美術大学は、民間セクターを通じた研究プロジェクトの企画と産業コラボレーションを盛んに推進していた。ユルヨ・ソタマーのリーダーシップのもと、フィンランドのイノベーションネットワークにデザインを統合する動きが活発であった。
大学合併により、大学の名前はアールト大学美術学部へと変わった。2012年には、もともとヘルシンキ工科大学の一部であった建築学部の移転・合併に伴い、アールト大学美術・デザイン・建築学部(Aalto ARTS)に改名した。
- ^ Private donations were collected over a couple of years. By the deadline of July 2011 a total of 200 million in private donations was collected. The state of Finland has agreed to boost all the collected funding by a factor of 2.5. Totaling the pledged sum to 700 million euros. “Aalto University’s foundation capital has been amassed”. Aalto University (2011年6月30日). 2011年7月7日閲覧。
- ^ a b c “Key figures and annual reports”. Aalto University. 2014年9月24日閲覧。
- ^ Aalto University revealed its new visual identity
- ^ http://www.microsoft.com/eu/whats-next/article/finlands-model-for-an-innovation-university.aspx
- ^ http://www.hs.fi/kotimaa/artikkeli/HS-selvitys+Yliopistot+ker%C3%A4nneet+lahjoituksia+325+miljoonaa+euroa/1135267137616
- ^ “Factories: workshops for novel expertise”. Aalto University. 2012年1月28日閲覧。
- ^ “Aalto University main campus to be located in Otaniemi”. Aalto University (2011年6月17日). 2012年1月29日閲覧。
- ^ “School of Arts, Design and Architecture began operations at the start of the year”. Aalto University (2012年1月2日). 2012年1月29日閲覧。
- ^ 小泉隆『北欧の建築 エレメント&ディテール』学芸出版社、2017年、97頁。ISBN 978-4-7615-3232-1。
- 1 アールト大学とは
- 2 アールト大学の概要
- 3 運営組織・構成
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