de novo予測法の限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 21:10 UTC 版)
「de novoタンパク質構造予測」の記事における「de novo予測法の限界」の解説
de novoタンパク質予測法における主な限界は、タンパク質の天然のコンフォメーションをうまく解明するために、膨大なコンピュータ時間を必要とすることである。Rosetta@homeに代表されるような分散型の手法では、データ処理のためにアイドル状態の自宅のコンピューター時間をボランティアで提供してくれる個人を募集することで、この問題を解決しようとしている。しかし、これらの方法にも課題がある。たとえば、ワシントン大学とハワード・ヒューズ医学研究所の研究チームは、アミノ酸配列からタンパク質T0283の三次構造を予測するために分散型の手法を用いた。この分散手法の精度を、蛋白質構造データバンク(PDB)に登録されている実験的に確認された構造と比較するブラインドテストを行ったところ、この予測ツールは登録された構造と見事に一致した。しかし、この偉業に要した時間とコンピュータ数は、それぞれ約2年と約70,000台の家庭用コンピュータという膨大なものであった。 このような制限を克服するために提案されている方法の一つに、マルコフモデルを使用する方法がある(マルコフ連鎖モンテカルロ法を参照)。一つの可能性として、自由エネルギーの計算とタンパク質構造予測を支援するために、そのようなモデルを構築し、おそらく計算シミュレーションを改良することが考えられる。計算能力の限界を回避する別の方法は、粗視化モデリング(英語版)の使用がある。粗視化タンパク質モデルにより、小さなタンパク質や大きなタンパク質断片の構造を短い計算時間でde novo予測することができる。
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