谷山による問題(谷山・志村予想の原型)
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「谷山豊」の記事における「谷山による問題(谷山・志村予想の原型)」の解説
谷山予想は、1955年9月に栃木県日光市で開かれた代数的整数論の国際会議で、日本の若手の出席者が中心となって未解決の興味ある問題を集め、それを英訳して配布したものの中に問題という形で、今日「谷山予想」と呼ばれているものの原型が含まれていた、といわれている。この時配布されたものは印刷されずに終わったが、後に、英文によるものは『谷山豊全集』pp.147-148に、また日本語訳のものは『数学』第7巻第4号(岩波書店)に掲載された。以下の2つの問題が、谷山予想の原型である。 問題12 C {\displaystyle C} を代数体 k {\displaystyle k} 上で定義された楕円曲線とし k {\displaystyle k} 上 C {\displaystyle C} の L函数を L c ( s ) {\displaystyle L_{c}(s)} とかく: ζ c ( s ) = ζ k ( s ) ζ k ( s − 1 ) L c ( s ) {\displaystyle \zeta _{c}(s)={\zeta _{k}(s)\zeta _{k}(s-1) \over L_{c}(s)}} は、 k {\displaystyle k} 上 C {\displaystyle C} のzeta函数である。もしHasseの予想が ζ c ( s ) {\displaystyle \zeta _{c}(s)} に対して正しいとすれば、 L c ( s ) {\displaystyle L_{c}(s)} よりMellin逆変換で得られるFourier級数は特別な形の-2次元のautomorphic formでなければならない。(cf.Hecke)もしそうであれば、この形式はそのautomorphic functionの体の楕円微分となることは非常に確からしい。 さて、 C {\displaystyle C} に対するHasseの予想の証明は上のような考察を逆にたどって、 L c ( s ) {\displaystyle L_{c}(s)} が得られるような適当なautomorphic formを見出すことによって可能であろうか。(谷山豊) 問題13 問題12に関連して、次のようなことが考えられる。Stufe N {\displaystyle N} の楕円モジュラー関数体を特徴づけること。特に、この関数体のJacobi多様体をisogenousの意味で単純成分に分解すること。また N = q = {\displaystyle N=q=} 素数、かつ q ≡ 3 ( mod 4 ) {\displaystyle q\equiv 3(\mod 4)} ならば、 J {\displaystyle J} が虚数乗法を持つ楕円曲線を含むことはよく知られているが、 一般の N {\displaystyle N} についてはどうであろうか。(谷山豊)
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