蕃登
読み方:ほと,ほど
- 「なりあはざるところ」とは女陰のことなれども、形容詞たるに過ぎず、女陰の名称として最も古きは此「ほと」なり。「古事記」には「美蕃登(みほと)」とあり、「ほと」とは「火処(ほと)」にて、火の出る所といふ意なり。火の門(ひなと)とも云へり。陰核を「ひなさき」と云ふも「火の尖(ひなさき)」なり。火とは血(経水)のこと、赤く温きに因る。又「ほと」は「含処(ほと)」なりとの説もあり。含(ほと)まれる所、即ち物を含みたるが如く膨れし所と云ふ意なり。『陰名考』に「世俗に菩々といふは「蕃登(ほと)」を訛りていふなり」とあり。
- 女陰の古語。語源に諸説あり。守部の「俗語考」に「余按に女の陰を今煩々といふ、古語には保等といへり、保等は含処(フホト)の上略にて煩々(ボボ)は其布保(フホ)の転音なり、初言を濁るは俗言なればなり、相共に含みほほはまりたるよしの名なり、又之を俗言に倍々(ベベ)ともいふ、是も保の通言なり」とある。「さへずり草」には「陰を訓じて保登とす、古事記に美蕃登と見へたり、共に同じ、思ふにほとは火門(ホト)(ヒナト)の義にてやあらむ」とあり。蔵春洞主人の説に「ほとももとは形容詞なり、生殖器には男女とも本来の名詞なきが如し、火の如くほてり熱気あるの意と思はる」とあり。尚「日本紀」に「観女不浄(ホトドコロ)沾湿者殺」。「出雲風土記」に「陰山大山之御陰(ミホト)也」。とあり。
- 女の陰部のことをいふ。古事記に「子生みますに因り、美蕃登灸えて病み臥せり」とあり。〔情事語〕
- 女竅の古語。『日本紀』に『観女不浄(ホトドコロヲ)沾者殺」とあり、又『出雲風土記』には「陰(ホト)山大神之御陰(ミホト)也」とあり、もとは形容詞なり。性器官には男女とも本来の名詞なきが如し。語源は火処、即ち鍛冶用語の火床より出づ。
- 古語、女子の陰部のこと。ホは秀ですぐれる、トは戸で口、すぐれた口(穴)の意か。
- 暖いところゆえ「火所」、つまり女性の陰部。〔風流〕
- 女陰のこと、ぼぼともいう。〔風流〕
分類 情事語
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