精神保健指定医資格不正取得事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 20:09 UTC 版)
「精神保健指定医」の記事における「精神保健指定医資格不正取得事件」の解説
神奈川県川崎市宮前区の「聖マリアンナ医科大学病院」で、精神保健指定医の資格不正取得問題が発覚し、2015年(平成27年)4月15日、厚生労働省医道審議会が不正取得に関わった精神科医師20人(不正取得医師11人と指導医師9人)の精神保健指定医資格を取り消す「異例の事態」となった。不正取得した精神科医は、統合失調症や依存症など8症例のケースレポートを「コピー&ペースト」で、同じ医局の精神科医師が書いた症例を使い回し、あたかも自分が担当医となった様に装っていた。 同年6月19日には、さらに聖マリアンナ医科大学所属の准教授2人と講師1人の指導医3人の精神保健指定医の追加取り消し処分を決定したと発表した。この処分で合計23人(内訳:医師11人、指導医師12人)の精神保健指定医資格が取り消された。聖マリアンナ医科大学は、大学組織ぐるみでの不正については、これを否認している。 これを踏まえて、厚生労働省が2016年(平成28年)に実施した実態調査で、日本国内の精神科医師のうち数10人が、患者の診療歴を偽るなどの手口で、精神保健指定医の資格を不正取得していた疑いがあることが判明している。この中には、聖マリアンナ医科大学の精神科医師2人と、相模原障害者施設殺傷事件の被疑者に対する措置入院に関わった北里大学東病院の精神科医も含まれていた。 2016年(平成28年)10月26日、厚生労働省は、精神保健指定医49人とその指導医師40人を資格取り消し処分にしたと発表した。厚生労働省医道審議会は、処分が出る前に、指定医の辞退届を出した6人と、指定医資格申請中の4人を合わせた99人を、不正取得と認定した。 2019年(令和元年)5月15日、東京地方裁判所(古田孝夫裁判長)は、資格取り消し処分を不当と訴えていた医師1人の処分が違法であるとして、処分の取消を厚生労働省に命じた。 2021年(令和3年)1月27日、東京高裁は指導医の立場で関わり資格を取り消され、処分不当と訴えた医師1名について取り消し処分を違法と判断した。2月10日、国は上告を断念し、判決が確定した。東京高裁は判決で処分基準について「アンフェアな後出しじゃんけん」と厚生労働省の処分基準を批判した。
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