睡眠とねぐら
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 15:36 UTC 版)
鳥類の一日における活動時の高い代謝率は、これ以外の時間の休息によって補われている。眠る鳥は、警戒睡眠 (vigilant sleep) として知られるタイプの睡眠をしばしば取る。このタイプの睡眠では、素早く目を開く「一瞥」 (peeks) がその間に組み入れられ、これによってかれらは異常に対して鋭敏になり、脅威から素早く逃れられる。アマツバメ類は、飛翔中に睡眠を取ることができると考えられており、レーダー観測では、その飛翔中の休息の際、かれらは風上に向かうように自分の方向を定めることを示している。それは、おそらくは飛翔中であっても可能であるような、ある種の睡眠が存在する可能性を示唆している。また、一部の鳥類では、同時に脳の一方の半球 (hemisphere) が、徐波睡眠 (SWS) に入る能力が証明されている(半球睡眠)。鳥類はこの能力を、群れの外側に対し、その位置に応じて働かせる傾向がある。これは、眠っている脳半球の反対側の目が群れの外側を見張ることによって、捕食者に対する警戒を可能にする。こういった適応はまた、海棲哺乳類においても知られている。鳥が集団でねぐらに集まることは一般的であり、それは体熱の損失を抑え、捕食者に関連する危険を減らすためである。ねぐらの場所は、多くの場合、体温調節や安全性を考慮して選択される。 多くの鳥類は、睡眠の際にその頭部を背に折り曲げて、くちばしを背の羽毛のなかに差し込むが、そのほか胸の羽毛のなかにくちばしを納める鳥もある。多くの鳥類は一本脚で休み、なかには特に寒冷な気候において、両脚を羽毛のなかに引き込むものもある。木に止まるスズメ目の鳥には、腱のロック機構が備わっており、睡眠中に止まり木の上に留まるのに役立っている。ウズラ類やキジ類といった多くの陸禽が木に止まる。インコ類のうち、サトウチョウ属 (Loriculus) などいくつかに属する鳥は、逆さまにぶら下がって休む。ハチドリのなかには、夜間、代謝率の低下を伴う休眠状態(英語版)になるものがある。この生理学的適応は、ズクヨタカ類やヨタカ類、モリツバメ類など、100種近いほかの鳥類にも見られる。ただ1種、プアーウィルヨタカ(英語版)は、冬眠状態に入ることさえある。鳥類は汗腺を持たないが、日陰に移動したり、水のなかにいたり、あえぎ呼吸(パンティング、panting)をしたり、表面積を大きくしたり、喉をはためかせたりしてその体を冷却し、あるいはまた、Urohidrosis(冷却のメカニズムとして自分の脚の鱗の部分に糞をする行動)のような特別な行動をすることによって、自身を冷却することがある。
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