病気、災禍に対する説明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 07:47 UTC 版)
「憑きもの筋」の記事における「病気、災禍に対する説明」の解説
現代社会でも「体の調子が悪くて医者に行ったが、どこも異常ないといわれた人が、医者を転々としていたが、最終的に民間宗教者に相談しにいく」というケースをよく耳にする。これは「体の不調の原因を突き止めたい」という願望が、最終的に超自然的な存在にその原因を求めるということであり、医学の未発達だった近世の農村社会では、そういった傾向は一層顕著であったと思われる。 文政2(1819)年、江戸の土田獻は『癲癇狂経験編』において、狐憑きは精神疾患であることを記し、また、水戸の本間救は『内科秘録』に「狐憑は狂癇の変証にしていはゆる卒狂これなり 決して狐狸人の身につくものにあらず」と書いている。しかし多くの精神病や神経性の疾病に対しては、その原因が全く分からないことが多く、治療法も見つからなかったため、患者は最終的には修験者や霊媒、祈禱師などの民間宗教者に頼らざるをえなかった。患者やその家族は「気の病」といったような説明では納得しないことが多く、彼らの納得しうる最良の説明が「他者の呪詛」「祖霊の怨念(タタリ)」そして「動物霊の憑依」であった。これは病気だけでなく、ある特定の家に災難が連続して起こった場合などにも使用された説明体系であった。
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