現代のフォークアート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/06 16:27 UTC 版)
「フォークアート」の記事における「現代のフォークアート」の解説
キルト(手芸)、装飾的な額縁、デコイ(狩猟に使う鳥の模型)など、昔からあるフォークアートの品物でいまも製作が盛んなものは多く、新しい形が絶えず現れている。1960年代から、装飾を施した竹製のパイプ(煙管)がアメリカでフォークアートの人気の品物に加わった。これらのパイプは実用向きに手作りされ、アメリカ・サンフランシスコのヘイト・アシュベリー(英語版)地区(1960年代にヒッピーが多く集まった場所)、ニューヨーク市のグリニッジ・ヴィレッジ地区などの街角で、しばしば作者が自ら売った。 現代のパイプはデザインを見ると、アフリカやボルネオの伝統的な飾りをほどこした竹パイプを思い出す。ただしパイプについて記した本によると、彫刻をほどこしたアメリカの竹パイプのデザインでは、火皿に黄銅を用いている。 1970年代から、サンフランシスコの路上アーティストのダレル,パイプマン,モーティマーはほぼ10,000本の竹パイプに刺青のような線彫りを施し、1点ずつサインと製造番号を入れ、自ら売ってきた。大麻はよくあるモチーフで、アメリカ先住民のモチーフやデザインも多く、あるいはヴィクトル・ヴァザルリやアメリカのマウリッツ・エッシャー(英語:Maurits Cornelis Escher)の作品を思い起こすデザインも目立つ。 現代のフォーク・アートの作家はしばしば独学で技術を身につけ、作品づくりは人里離れた場所や、国のあちこちにある小さな地域社会で行われることが多い。スミソニアン・アメリカンアート美術館(英語版)は、そうした作家70人以上の作品を収蔵している。1980年代初めには、不思議な芸術的才能で有名な現代フォーク・アートの作家が出現した。そのうちのひとりはフィリピン出身の著名なフォークアート画家で、「アマンピントル」と名乗ったエリト・チルカ(英語版)という。彼自身の髪から絵筆を作り、キャンバスの素材感を出すために自分の髪の毛を貼り付け、また自身の血液を絵の具として使って、画面の右側にサインを入れていた。彼は、画家として美術の専門教育を受けたことも、あるいは師となる画家に指導されたこともなく、全くの独学で自分のスタイルを創りだしたのである。
※この「現代のフォークアート」の解説は、「フォークアート」の解説の一部です。
「現代のフォークアート」を含む「フォークアート」の記事については、「フォークアート」の概要を参照ください。
- 現代のフォークアートのページへのリンク