火災事故と復元作業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 18:26 UTC 版)
「カティーサーク」の記事における「火災事故と復元作業」の解説
同船は、長らく当地で保存公開され、多くの見学者を集めていたが、野外展示であることから痛みもあり、一時一般公開を中止し、2006年11月より2008年にかけて、2500万UKポンドを投じて大規模な修理と整備をおこなうこととし、あわせて、船の内外装を、もっとも魅力的だったとされる1869年建造当時の状態に復元すべく、その作業が開始された。 ところが、2007年5月21日、午前4時45分頃、カティサークの船体より火災が発生した。消防車8台・消防士40人が出て消火に当たったが、火は1時間半以上燃え続け、午前6時28分頃漸く鎮火するも、鋳鉄製のフレームを残して多くの部分が焼失した。旧式木造船の構造上、防水用のワックスが大量に使用されていたため木製の構造材は消失した。幸いなことに分解修理中だったこともあり、マストやデッキの木材、船首像など装飾類は既に取り外されて別の場所で修理を受けていたため、焼失は元の船体全体の10%程度、オリジナル部分の2%程度と比較的小規模で済んだとされる。しかし船首部を残すのみで全焼したという報道もあった。復元の可否を判断するには、燃え残った鉄製フレームの強度などの調査が必要とされた。出火が人気のない未明であったことから、ロンドン警視庁は不審火の疑いもあるとして捜査したが、最終的には作業現場に放置されていた掃除機の電源の消し忘れによる発火(失火)と確定された。 復元には4600万ポンドが必要とされ、英国政府が300万ポンドを支出し残りは民間からの寄付金で賄った。2012年4月25日、女王エリザベス2世によって一般公開の再開が宣言された。復元作業前の長年の乾ドックでの展示の結果、竜骨へ多大な負荷がかかり、船底の形の変形が認められたことから、船体を3m持ち上げてドックの側面からの支柱で支える形になっており、観光客は入場料を払えば船内や甲板だけでなく、船底を下から見上げることが出来る。
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