潜在的有効性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/07 14:02 UTC 版)
バクテリオファージによる治療法は細菌感染症に対して一般的に用いる、抗生物質による治療法の代替法となり得る。細菌はファージに対して耐性を獲得し得るが、抗生物質に対する耐性と比較してファージに対する耐性は克服しやすいと考えられる 。細菌がファージに対する耐性を獲得するように対し、ファージもまた耐性を克服するように進化するためである。一方で、ファージが進化することは、ファージセラピーの安全性に疑問を投げかける。 バクテリオファージは極めて特異的であり、標的となる細菌株はせいぜい2,3種類と限られている。従前の抗生物質はこれに比べ多くの種の細菌に対し効果を持ち、消化を助けるようなものを含め、害のある細菌も有益な細菌も、いずれも殺してしまう。バクテリオファージはその特異性により、感染症の治療時に有益な細菌を殺してしまう危険性を小さくできる。 ファージは髄膜炎などの感染症に際し、血液脳関門を通過して、細菌宿主の細胞内で増殖することも明らかになっている。一方で場合によっては患者の免疫系がファージに対して応答を起こしてしまうこともある (ポーランドの調査では44人中2人) 。 広いスペクトラムを持つファージの開発を行うグループは西側諸国に少数存在し、彼らはまた、湿潤療法、熱傷における予防的療法、ファージ浸潤縫合糸など様々な形のMRSA治療法を開発している。ファージ酵素の組み換え体の精製物もそれ自体で独自の抗細菌物質として用いることが可能である。 多剤耐性クレブシエラ・ニューモニエなどの細菌に対しては、毒性のない有効な抗生物質が存在しない。しかし、ファージは腹腔内投与、静脈内投与、経鼻投与において前述のような抗生物質の効きにくい細菌に対しても有効であることが、基礎研究レベルのin vivo実験で示されている。
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