法人擬制説と法人実在説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:24 UTC 版)
法人の担税力については次の2つの考え方に分かれる。 法人擬制説 - 法人は、単に法的に擬制された存在であって、所得は株主や出資者のものであり、法人税はこれらの者に対する所得税の前取りである。したがって、法人税は、個人所得税の源泉徴収と同一視でき、経済的二重課税は個人において排除すれば足りることから、税率も平均税率でよいこととなる。 法人実在説 - 法人は、個人から別個独立した権利能力を有する法的主体であるから、課税面においても法人自らが納税主体になりうる。したがって、法人には個人と同様に担税力に差異があることから、税率は累進税率を適用すべきである。さらに、法人所得税と個人所得税の間には経済的二重課税は生じず、その排除措置を講ずる必要はないこととなる。 なお、法人擬制説と法人実在説は民法における法人擬制説と法人実在説をなぞらえたものとされるが、法人税に関する法人擬制説と法人実在説の議論はあくまでも税制上の議論であり民法におけるそれぞれの立場と同じものではない。これらの議論は租税政策的観点から論じられるもので民法上の議論を持ち込むことには批判があり、株主集合体説と法人独立課税主体説の分類で整理されることもある。
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