歌詞・思想・哲学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 07:06 UTC 版)
音楽性が多岐に及びつつもブラックメタルというジャンルが成立しているのは、思想などといった側面が非常に強く、歌詞や世界観などによる演出にも重点が置かれているということを念頭に置かなければならない。 ブラックメタルのシーンには、音楽活動を通して思想を伝播することを重要だと考えているバンドが数多くいる。一般的なブラックメタルの思想は、サタニズム(悪魔主義)という言葉に集約されている。この点で、第一世代に属していたバンドの多くは実際にサタニストであったわけではないが、'サタニック'なイメージや歌詞を用いていた。一方で、ノルウェーのいわゆる第二世代のバンドにとって、サタニズムはイデオロギーの側面からブラックメタルを定義づけるものであった。ブラックメタル・インナーサークルがスカンディナビアからキリスト教を撤廃し、古代の宗教を復活させるという目標を掲げたこともあり、シーンではキリスト教以外のヨーロッパの宗教(ペイガニズム)を讃えるバンドも存在した 。とはいえ、初期のペイガンバンドが自ら'ブラックメタル'を自称することはあまりなかった。このように、ブラックメタルを自称するバンドはふつう反キリスト、または他の世界宗教への反抗心をテーマにしている。おそらく、これこそがブラックメタルが唯一共有する考えといっていいだろう。 したがって、歌詞ではキリスト教徒の虐殺、キリスト教の滅亡などキリスト教を攻撃するもの、悪魔を称えたり、天使や神、天国を罵るなど冒涜的なもの、人間愛、平和、自由などを否定する反道徳的なもの、自殺、孤独、人間への嫌悪を歌った厭世的なものなどが多い。これらのテーマは全く別のものというわけではなく、それぞれがつながっている。それゆえ、無神論、ペイガニズム、サタニズムのような考えが支持されることが多い。 また、ファンタジーに出てくる悪の象徴、ギリシャ神話や北欧神話(ゲルマン神話)の死の象徴(ハーデースなど)が、悪魔のかわりにテーマとされることがあり、映画や西洋魔術もブラックメタルバンドにインスピレーションを与えている。
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