染色と封入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/12 15:43 UTC 版)
薄切した試料は、完全に脱脂し清浄にしたスライドグラスに卵白アルブミンやポリリジンなどを用いて貼り付け、通常は染色を行う。染色にはきわめて様々な方法があり、観察目的に応じて適切なものを選択する。 必要な処理を行った試料は、適切な封入剤によってカバーグラスの下に封じる。カバーグラスは試料と対物レンズとの間にあるため、光学的に重要な要素となる。通常は厚さ0.17mmのものを用いる。試料を屈折率の差で観察する場合、封入剤の屈折率が問題になる場合もある。たとえば珪藻の殻を観察する場合は高屈折率のプルーラックスがよく用いられる。 封入剤としては、生きた微生物や細胞を観察する場合は水や等張液、緩衝液を用いることもある。しかしこれらは蒸発が早く扱いにくいため、普通は一時プレパラートでもグリセリンや乳酸、ラクトフェノールなどを用いる。蛍光顕微鏡で観察する場合、封入剤が蛍光を発するとバックグラウンドノイズとなるため、特に専用の無蛍光グリセリンが用いられる。永久プレパラート作成に用いる封入剤としては、前述のカナダバルサムの他にアパチーのゴムシロップやグリセリンゼラチン、ガム・クロラール系封入剤のような水溶性のものもあるが、処方によっては標本の染色が早く損なわれる場合もあり、真に永久保存が可能なわけではない。
※この「染色と封入」の解説は、「プレパラート」の解説の一部です。
「染色と封入」を含む「プレパラート」の記事については、「プレパラート」の概要を参照ください。
- 染色と封入のページへのリンク