枕ばねに求められる性能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/27 16:36 UTC 版)
枕ばねには鉄道車両としての特性から、以下の機能が求められる。枕ばね単体で機能を果たせない場合は、複数の材料を組み合わせたり、他の機構を併用して性能を確保する。 車両重量の支持 車両に作用する重量は枕ばねを介して台車に伝達される。したがって、車両の自重はもちろんのこと、貨物や乗客の重量、走行にともなって発生する慣性力など、すべての荷重を受けられる容量のばねが要求される。作用する重量が大きく、単体のばねで支持できない場合には、ばねを並列に配置したり二重化するなどして、枕ばね全体の耐力を確保する。 上下動の緩和 車両の走行にともなって発生する車両の上下動を緩和する働きである。ばねに大きな力が作用すると、ばねは変形してその力をエネルギーとして内部に留め、それを小さな力として徐々に解放する働きを持つ。車両に応じた適度なばね定数を与える必要がある。 振動の減衰 いったんばねが変形するとばねは一定の波長で振動を起こすため、振動を減衰させて揺れを止める機構が必要である。ばね定数が一定とならず、力と変形の関係がヒステリシスループを描く非線形ばねは、ばね自体が減衰機構を有している。一方、ばねに作用する力と変形の関係が一定となる線形なばね(コイルばね等)では、一般に減衰性能が得られないため、オイルダンパなどを併用して別途減衰機構を持たせる必要がある。 前後動・左右動・回転に対する変形性能 台車には上下動のみならず、さまざまな方向の振動・衝動および慣性力が作用する。台車は枕ばね以外の機構により、これらの力を緩和するが、そのためにある程度の変形を許容している。また、車両が曲線部を通過するときには、台車は曲線に沿って回転しなければならない。このようなことから、枕ばねに作用する上下動以外の変位に対して、その機能を失うことなく変形性能を持つものでなくてはならない。枕ばね単体でこの機能が果たせない場合は、枕ばり(ボルスタ)を設け、回転や左右動を吸収する機構を別途備える必要がある(ボルスタアンカーも参照)。
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