東京圏内での転出入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 07:47 UTC 版)
総務省の「住民基本台帳人口移動報告(2018年結果)」において、2018年の時点での東京圏を確認すると、転入者が転出者を2万9868人上回る転入超過であった。都県別に転入超過数の内訳を見ると、東京都は7万9844人、埼玉県2万4652人、神奈川県2万3483人、千葉県1万1889人と、全ての都県で転入超過となっている。伸び率では千葉県のみ縮小したが、その他は拡大しており転入超過幅は前年より1万4338人多くなった。依然として東京圏は全国各地から人々を飲み込み続けているのである。しかし、東京一極集中といっても、東京圏のすべての市区町村に地方から多くの人口が流れ込んでいるわけではない。東京圏にある212市区町村のうち転入超過だったのは政令指定都市や東京8区といった人口集中地区を中心とする124であり、全体の58%に過ぎない。残りの88の市町村では転出超過となっている。転入超過数の市町村ランキング全国1位は東京都区部(東京23区)の6万909人である。23区以外でも東京都は、6位に小平市(2165人)、1位に調布市(2155人)がランクインしている。年齢別に見ても、4 - 6歳の転入超過数は23区が7万5975人で東京都への転入は全国の中で突出して多い。 「東京都住民基本台帳人口移動報告」(2017年)が東京都と隣接3県(埼玉、千葉、神奈川)との転出入についての実態を詳述している。東京都民の場合、特徴的なのは都内で移動している人が多いことである。住み替えた人は3万1214人に上る。地価が高く、適当な間取りの物件を手に入れづらく、地方から移り住んだ人などを中心に賃貸物件を選んでいる人も多い。結婚や子供の成長などで手狭になったり、東京圏の中で勤務地が変わり、通勤に時間がかかるようになったりすると、自分に適した物件へと引っ越すケースが少なくない。渡り歩くように引っ越しを繰り返す人も珍しくない。「東京都住民基本台帳人口移動報告」によると、23区相互間で移動した人が4万1652人と約6割を占めている。23区と多摩地域など市町村部間の引っ越しは8万4157人、市町村部内での引っ越しは6万5405人である。これを23区と市町村部との間の転出入として捉え直すと、23区への転入超過が1057人となっている。長い通勤時間を忌避し、タワーマンションなど都心部へと引っ越す層が増えていることを裏付ける数字のひとつといえる。隣接3県との動きも激しい。23区から見た転入超過数が最も多いのは、神奈川県で5072人、千葉県が1402人であるが、埼玉県に対してだけ2297人の転出超過となっている。多摩地域を中心とした都内の市町村部は、神奈川県から1887人の転入超過だが、23区だけでなく、埼玉県へ505人、千葉県へ411人の転出超過となっている。また、隣接3県以外の道府県から東京都への転入超過数を見ると、23区へは5万5924人、東京都内の市町村部へは1万4426人で、地方から隣接3県へは4万9429人である。東京一極集中といっても、地価や家賃が著しく高い23区を避ける人も少なくない。
※この「東京圏内での転出入」の解説は、「東京一極集中」の解説の一部です。
「東京圏内での転出入」を含む「東京一極集中」の記事については、「東京一極集中」の概要を参照ください。
- 東京圏内での転出入のページへのリンク