札幌オリンピック滑降コース
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「恵庭岳」の記事における「札幌オリンピック滑降コース」の解説
1972年に開催された札幌オリンピックの滑降種目は恵庭岳で実施された。アルペンスキーの主会場であった手稲山競技場では競技規定で定められた標高差を確保できなかったため、唯一札幌市外で開催された競技である。競技コースは西側斜面の溶岩流によって形成された幅の広い尾根の8合目から山麓までに設定され、国立公園内であるため自然保護の見地からオリンピック終了後に原状復元を行うことを条件に国の建設許可(43.7.4)がおりた。コースの開設工事は1968年に着工、29ヘクタールの山林を伐開してオリンピック前年の1971年に完成し、プレオリンピックとして滑降競技会が開催された。コースは男子コース(南側)と女子コース(北側)の2本が設けられ、山麓からスタート地点付近までロープウェイとリフトも建設された。 男子コースはコース距離2,636m・平均斜度17°・最大斜度37°・標高差772m・スタート標高1126m、女子コースはコース距離2,108m・平均斜度14°・最大斜度35°・標高差534m・スタート標高870m、コース幅は20〜60mであった。ロープウェイは山麓駅〜中間駅: 884m・中間駅〜山頂駅: 830m(標高992m)、リフトは330m(標高1106m)であった。この他にスタートハウス・運営本部・プレスセンター・ヘリポートなどの施設が設けられた。 女子滑降競技は1972年2月5日におこなわれマリー=テレース・ナディヒ(スイス)が1分36秒68で優勝した。男子は2月7日におこなわれベルンハルト・ルッシ(スイス)が1分51秒43で優勝した。 1972年7月からオリンピック組織委員会によりロープウェイ・リフト・施設の撤去を含む原状復元工事が総事業費1億6千万円で開始された。1976年に撮影された上に示す航空写真ではコース・施設の跡がはっきりと認められるが、30年後の2002年に撮影された航空写真では回復が進んでいることがわかる。しかし地表には表土の崩壊を防ぐための土留めやコースの下をくぐるトンネルなどの遺構が残っている。
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