時効の要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/27 10:00 UTC 版)
「取得時効 (国際法)」の記事における「時効の要件」の解説
国際法においては国内法の場合と異なり、時効期間の定めがない。そのため組織が未発達な国際法秩序に不安定な要因をもたらすとして時効の制度を否定する見解と、時間的な要因は状況に応じて様々であるから明確化すべきではないとして時効の制度を肯定する見解が対立してきた。国際法上時効に関して明確なルールが確立しているとは言いがたく、国際裁判で時効が直接かつ一般的に承認された例は稀である。例えばパルマス島事件常設仲裁裁判所判決では、取得時効について言及したり一般国際法として承認することを避け、実効的先占または領域主権の継続的かつ平和的な表示の一態様として判断されたのみであった。こうした国際法上の取得時効の効果は時間の経過というよりも他国による黙認にもとづくものと解されている。つまり、当初違法な占有であったとしても、十分な期間にわたり継続的に、かつ平和的な権力を一定の地域に対して事実上行使したことについて他の関係諸国の黙認があれば、適法な領域主権の設定として認められる。しかし実際には、取得時効を援用する国は相手国に先行する領域権原があることを認めることとなるため、相手国より相対的に有利な証拠を提示するのみでは足りず、重い挙証責任が課されることとなる。そのため取得時効が主張されること自体が稀である。
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