春色辰巳園
読み方:シュンショクタツミノソノ(shunshokutatsuminosono)
春色辰巳園
春色辰巳園
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/21 04:33 UTC 版)
深川の会席で落ち合った米八と仇吉の羽織芸者2人、互いに恋人唐琴屋丹次郎のことで言い争い、この家の娘お熊のとりなしで別れる。ある夕には、仇吉は丹次郎に出会い、そのまま連れて朋輩増吉の家に行き忍び会い、あるときは、約束してあった新道の料理屋で忍び会う。仇吉がこしらえた羽織の染めの出来などを話合い、出ようとする門口を通り合わせたのが米八。見るなり丹次郎の羽織をむりやり脱がせ、軒下の泥に投げ込み、駒下駄で踏んづける。大げんかになり、おりしも来合わせた清元の延津賀が仲裁、取り鎮める。仇吉は病気になり、勤めに出ず、高利のかねを借りてその日暮らし。その金貸しの鬼九郎が訪ねてきて、色と欲とで仇吉を責め、困り果てているところに、恋敵米八が、心機一転した義侠心から、いきなり入ってきて、仇吉の借金をきれいに返し、親切になぐさめる。仇吉は全快、米八と姉妹どうぜんむつまじくなる。丹次郎は実父の病気で長期旅行中、帰ってきてこれを知って安心。かくして丹次郎の正妻たるべきお長、米八、仇吉は仲良く暮らす。仇吉は妊娠し、面目なく思ったのか置手紙をして家出する。本妻お長は男児を産み、米八の名にちなみ八十八と命名し、はやくも3年、仇吉のうわさをしながらさがす。ある日、伊気加美の寺(池上本門寺)へ子供連れでお会式に参詣し、八十八を見失う。同じ年頃の迷子を捜し当てると、それはお米という女児で、仇吉の子であった。そこへ駆けつける仇吉が、八十八を背負っていた。ここにめでたくも再会の時が来た。お米の名は、米八に感謝する仇吉の志であった。丹次郎が仇吉をも引き取ることになり、みなむつまじくも朝夕、往来しつつ楽しく栄えたと。
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