日本の工学的土壌分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/16 06:16 UTC 版)
日本国内の工学的土壌分類は地盤工学会基準である。地盤工学会基準では土壌粒子をその粒径によって区分する。 細粒分(< 0.075mm)< 0.005mm:粘土 0.005 - 0.075mm:シルト 粗粒分(0.075 - 75mm)砂(0.075 - 2mm)0.075 - 0.25mm:細砂 0.25 - 0.85mm:中砂 0.85 - 2mm:粗砂 礫(2 - 75mm)2 - 4.75mm:細礫 4.75 - 19mm:中礫 19 - 75mm:粗礫 石分(> 75mm)石(> 75mm)75 - 300mm:粗石 > 300mm:巨石 この粒度区分に基づき、石分の含量によって地盤材料は次のように区分される。 岩石質材料 石分が50%以上を占める。 石分まじり土質材料 石分が0-50%を占める。 土質材料 石分を含まない。 土質材料(いわゆる土)は粒度組成、有機物含量、天然物であるかどうかによって、表1のように7つの分類群(大分類)に大別される。 表1.土質材料の大分類土質材料大分類天然の土で有機物含量が低いもの 粗粒土(細粒分<50%) 礫質土(礫分>砂分)砂質土(礫分≦砂分)細粒土(細粒分≧50%) 粘性土有機質土火山灰質粘性土人工物あるいは有機物含量が高いもの 有機物を多く含むもの 高有機質土人工的に加工・生成されたもの 人工材料表2と3で示すように、大分類のうち、粗粒土(礫質土と砂質土)は礫分や砂分、細粒分の含量によって中分類され、さらに中分類は細粒分と砂分の含量によって小分類される。 表2.礫質土の中・小分類礫質土中分類小分類細粒分<15% 礫砂分<15% 礫細粒分<5%、砂分<5% 砂まじり礫細粒分<5%、5%≦砂分<15% 細粒分まじり礫5%≦細粒分<15%、砂分<5% 細粒分砂まじり礫5%≦細粒分<15%、5%≦砂分<15% 砂礫15%≦砂分 砂質礫5%≦細粒分<15%、15%≦砂分 細粒分まじり砂質礫細粒分<5%、15%≦砂分 15%≦細粒分 細粒分まじり礫 細粒分質礫15%≦細粒分、砂分<5% 砂まじり細粒分質礫15%≦細粒分、5%≦砂分<15% 細粒分質砂質礫15%≦細粒分、15%≦砂分 表3.砂質土の中・小分類砂質土中分類小分類細粒分<15% 砂礫分<15% 砂細粒分<5%、礫分<5% 礫まじり砂細粒分<5%、5%≦礫砂分<15% 細粒分まじり砂5%≦細粒分<15%、礫分<5% 細粒分礫まじり砂5%≦細粒分<15%、5%≦礫分<15% 礫質砂15%≦礫分 礫質砂細粒分<5%、15%≦礫分 細粒分まじり礫質砂5%≦細粒分<15%、15%≦礫分 15%≦細粒分 細粒分まじり砂 細粒分質砂15%≦細粒分、礫分<5% 礫まじり細粒分質砂15%≦細粒分、5%≦礫分<15% 細粒分質礫質砂15%≦細粒分、15%≦礫分 大分類のうち、細粒土(粘性土と有機質土と火山灰質粘性土)は粒度組成、液性限界、塑性限界および塑性指数により中・小分類される。粘性土は塑性図(塑性指数を液性限界に対してプロットした図)のA線(塑性指数Ip=0.73、液性限界wL-20)によってシルトと粘土に分類される。 表3.粘性土の中・小分類中分類小分類シルト塑性図上で A 線より上 シルト(低液性限界)wL<50% シルト(高液性限界)50%≦wL 粘土塑性図上で A 線より下 粘土(低液性限界)wL<50% 粘土(高液性限界)50%≦wL 有機質土の中分類も有機質土である。小分類は次の3つである。 有機質土(低液性限界) wL<50% 有機質土(高液性限界) 50%≦wL 有機質火山灰土 有機質で火山灰質 火山灰質粘性土の中分類も火山灰質粘性土である。小分類は次の3つである。 火山灰質粘性土(低液性限界) wL<50% 火山灰質粘性土(I 型) 50%≦wL<80% 火山灰質粘性土(II 型) 80%≦wL 高有機質土は構成有機質の分解の程度により次の2つに小分類される。 泥炭 有機物の分解が進行しておらず繊維質。 黒泥 有機物の分解が進んでおり黒色。 上記の小分類の項目は粒度の均一性の程度や細粒分の特性によりさらに細分化される。
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