数値予報の精度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 18:04 UTC 版)
数値予報の精度に影響を与えるものとして、格子点の大きさと初期値が重要である。 格子点の大きさは、小さいほど予測精度が高くなるが、計算量に大きく影響を与えるためあまり小さくすることはできない。現実に用いられているものでは、水平方向に10km間隔の格子点が用いられている。 数値予報を行うためには、すべての格子点で、初期時刻の気温、気圧、風速、湿度などの初期値を与える必要がある。現実的な制約から、初期値は格子点での値ではなく、アメダスや気象台などの空間的にランダムに分布した観測点で得られる。陸上の地表付近では情報は密であるが、海上や大気上層の観測データはかなり疎なものとなる。世界気象機関の取り決めにより、規則的な観測時刻で得られる観測値もあるが、初期時刻からずれた時刻の観測値しか得られないことがある。これらのランダム分布のデータから、一様な格子点値を得るための作業を客観解析という。 客観解析により初期時刻の格子点値が得られたとしても、必然的にわずかな誤差が含まれる。このため、前述のように数値予報の結果はカオス理論的な変化を示す。これは、1963年に気象学者ローレンツが発見した挙動に他ならない。この初期値の誤差を評価するために、誤差の範囲でいくつかの初期モデルを作成し、それぞれについて数値予報を行い、誤差の影響を評価しながら天気を予測する手法が後述のアンサンブル予報である。 現在の計算能力では、例えば全球モデルによる数値予報では、3日先までの予報がある程度信頼できる範囲と言われている。
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